OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

何時も真髄の松尾和子

2016-03-03 17:22:17 | 歌謡曲

人情夜曲 c/w 夜明けのラプソディー / 松尾和子 (日本ビクター)

松尾和子といえば、昭和の芸能界では「ムード歌謡の女王」であり、それは終生変わらぬ真実であった事を証明する1枚が本日ご紹介のシングル盤と書けば、例によってサイケおやじの大袈裟と受けられるかもしれません。

しかし、これが昭和50(1975)年に発売された時、あまりにも彼女にジャストミートした歌の世界が、なんとっ!

当時から既にして過激系フォークのシンガーソングライターとして人気があった泉谷しげるの作編曲&プロデュースによるものだったという真相には驚愕仰天、信じられない思いをした皆様も大勢いらっしゃったにちがいありません。

それでも、まずはA面「人情夜曲」における、シミジミフォークの世界を哀切のムード歌謡に塗り替えていく松尾和子の節回しは、持ち前のジャジーなメロディフェイクが用いられているという推察も含めて、夜の酒場の有線放送や深夜便トラックのカーラジオ、そして一人暮らしのアパートの冷たい布団の中でさえも、ジワジワとハートウォームな雰囲気が広がっていく素晴らしさですよ♪♪~♪

あぁ、これぞっ、松尾和子のムード歌謡!

そして一方のB面「夜明けのラプソディー」が懐古趣味のラグタイム系ジャズサウンドに仕立て上げられているのは、これまたニクイばかりの演出で、松尾和子ならではの歌謡ジャズが披露されているんですねぇ~~♪

実は両曲共、同時期に世に出た彼女のLP「ラプソディ」からのカットなんですが、おそらくはアルバムを優先的に想定して書かれたであろう泉谷しげるの自作曲が、しかしどのぐらい松尾和子という存在を意識していたかは知る由もありません。

なにしろアルバムの中には、泉谷しげる本人によって既に歌われていた、あるいは後にレコーディングする楽曲も含まれているのですから、その良し悪しはリスナー各々十人十色の好みに分かれるのは必定でしょう。

告白すれば、もちろんサイケおやじは少年期からムード歌謡が分かっていたわけじゃ~なくて、ようやく大人の入り口に差し掛かった二十歳前頃になって、その魅力に少~しずつ虜になりつつあった時、この松尾和子の歌に邂逅してシビレが本格化したわけですから、あまり物分かりの良いことは言えませんが、それでも、このシングル盤は文句無しっ!

ちなみに演奏パートは、やはり当時の泉谷しげるのバックをやっていたイエローやラストショウの面々が担当しているあたりにも、なかなかの本気度が感じられると思います。

ということで、残念ながらサイケおやじは松尾和子の全てのレコードを聴いてはいませんが、それでもフランク永井とデュエットした「東京ナイトクラブ」とか、マヒナスターズと共演した「誰よりも君を愛す」、そして代表曲となっている大ヒット「再会」等々の松尾和子をど真ん中でイメージさせる名曲名唱に負けず劣らずなのが、この異端(?)のレコードじゃ~ありません。

機会があれば、ぜひとも皆様様には、前述したLP「ラプソディ」共々にお楽しみいただきたい昭和の歌謡曲であります。

そして、何を歌ってもムード歌謡にしてしまう松尾和子は最高ぉ~~~♪

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