OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

スプートニクスの涙のギター

2012-04-24 16:13:14 | Rock

涙のギター / The Spotnicks (ポリドール)

インスト演奏の利点は言葉の壁が無い事で、つまりは素敵なメロディを優先的に楽しめるわけですよねぇ~♪

ベンチャーズに代表されるエレキインストのバンドが我国にロックの本質を知らしめた事にしても、結局はそこに大きなポイントがあったと思われます。

ということは今日、何かと軽視されがちな海外エレキバンドによる歌謡曲演奏だって、充分素直に楽しんでも、なんら卑屈な思いをする必要も無いわけですよねぇ。

まあ、あえてこういう言い訳を弄する事は自己矛盾しているんですが、しかし例えば本日ご紹介のスプートニクスによる「涙のギター」は、堂々と屹立するエレキの傑作カパーになっていて、もちろんそれは寺内タケシの代表的名演という、すぎやまこういち作曲によるニッポンのオリジナル!

あぁ、それはまさにエレキの夜明けとも言うべき、昭和40(1965)年の大ヒットであり、歌詞付きバージョンも様々なシンガーによって持ちネタになっていたほどウケていましたから、その胸キュンメロディを「Sentimental Guitar」の洋題でベンチャーズもカパーしているほどですし、プロアマ共に我国エレキバンドの必須状態は言わずもがなと思います。

ですから同じ頃、澄みきったサウンドと哀愁フィーリングでグイグイと人気を集めていた欧州系エレキバンドの中でも特別な存在になりつつあったスウェーデンのスプートニクスが、満を持してそれを演じたとて、不思議はありません。

ちなみに「澄みきったサウンドと哀愁フィーリング」なぁ~んて欧州系エレキインストを決めつけてしまったのはサイケおやじの全くの勇み足だとは思いますが、実はスプートニクスはバンド名からもご推察のとおり、ソ連≒現在のロシアが1957年に打ち上げた人工衛星に因んでいますから、宇宙的なイメージを狙ったサウンド作りにも特徴があり、しかもステージ衣装がSFっぽい佇まいということで、単に「哀愁」と言っても、それは所謂スペーシーなミステリアス感覚も滲ませるという凝ったアレンジの演奏を聴かせてくれました。

メンバーは ボー・ウインバーグ(g)、ボブ・ランダー(g,vo)、ピーター・ウインズネス(key,vo)、ビョーン・テリン(b)、ジミー・ニコル(ds) という5人組ながら、それはこのレコードが作られた1966年当時のレギュラーであって、1959年頃と言われるバンド結成から常に流動していたはずです。

なしにろドラマーのジミー・ニコルは本来がイギリスのスタジオセッションプレイヤーであり、その腕前を買われたのでしょう、確かビートルズのオーストラリア公演では病気で倒れたリンゴ・スターの代役でライプ出演までした逸話は有名だと思います。

そしてこの時期のスプートニクスの音源を聴いてみると、その強いビート感のドラミングが他の欧州系エレキインストバンドとは一線を画するサウンド作りに貢献しているんじゃないでしょうか?

この「涙のギター」にしても、それが著しい魅力となって、スプートニクスをベンチャーズやシャドウズと並び立つ評価へ導いていると思うほどです。

それとスプートニクスのバンド名的なウリ(?)であったSFっぽい科学的側面としては、ステージライプで各楽器の音をワイヤレスで飛ばすという噂もありましたが、サイケおやじがテレビで見た時はそんな記憶もありません。

しかし演奏中に曲芸のような、例えばひとつのギターを二人羽織するとか、キーボードの下にもぐりこんだプレイヤーが指だけ出して演奏するとか、そんな事を見せてくれた印象は残っているんですから、案外とお茶目な連中だったのかもしれません。

ということで、エレキインストの魅力は歌謡曲メロディでも活きるという証明が、この「涙のギター」という名曲であり、すぎやまこういちがそれを狙って書いたという真相はあるにしろ、エレキインストなるジャンルが先に存在しての事実は侮れないでしょう。

そして寺内タケシのバージョンはもちろんの素晴らしいわけですが、ベンチャーズにも負けていないスプートニクスの「涙のギター」は、本当に素敵です♪♪~♪

コメント (1)
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