OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

電波系ヒットの踊りにいこうよ

2012-04-26 15:45:43 | Rock

踊りにいこうよ / Danny & The Juniors (ABC-Par./ キング)

滅多矢鱈な楽しさっていうのもR&R系ヒットポップスの条件として、例えば本日ご紹介の「踊りにいこうよ / At The Hop」はその典型かもしれませんが、売れたからには、それなりの背景がきっちりありました。

まあ、そういう風に書いてしまうのも、サイケおやじが完全に後追いで調べた結果ではありますが、歌っているダニーとジュニアーズはフィラデルフィア出身の4人組で、しかも地元の高校では同級生だったという仲良しグループがダンスパーティ等々で歌っていたところをスカウトされるという、如何にも当たり前の芸能界デビューは、大ヒットを出したところでラッキーの一言でお終いにされる存在でしょう。

しかし彼等が本当に幸運だったのは、当時のフィラデルフィアにはローカル番組ながら、なかなか人気の高かった「バンドスタンド」というテレビバラエティが放送されており、特に地元高校生を常時出演させ、メジャーな人気歌手やバンドのパフォーマンスに合わせて踊ったり、時には一緒に歌うという演出があったことから、ダニーとジュニアーズもそこに出演していたそうです。

しかも司会者が今や音楽史にその名を刻するディック・クラークという、素晴らしく売れセン狙いが上手いDJであり、同時に卓越したプロデュース感覚が全米ネットのABCとの契約に役だったのは言うまでもありません。

それが1957年頃までの経緯であり、ついに全国放送となった件の伴組は「アメリカン・バンドスタンド」という90分番組に改編され、一説によれば毎週百万通を超すリクエストのハガキや手紙が来ていたというのですから、その影響力は決定的でしょう。

実際、同番組からはコニー・フランシスやフランキー・アヴァロンといった人気スタアが誕生していますし、肝心のダニーとジュニアーズが歌う「踊りにいこうよ / At The Hop」が1958年早々に全米チャートトップのメガヒットになったのも必然性があったのです。

ちなみにダニーとジュニアーズはそうなる以前はフィラデルフィアの小さなレコード会社、つまり今日で言うところのインディーズと契約していたのですが、ディック・クラークの番組に出演するにあたり、未完成だった「踊りにいこうよ / At The Hop」に助言を仰ぎ、結果として痛快な大ヒットに仕上がったのですから、相乗効果も実に大きかったというわけです。

また、やはり無視出来ないのは、ダニーとジュニアーズ本人達の資質と頑張りであって、メンバーはダニー・ラップをリードボーカルに、デイヴ・ホワイト、フランク・マッフェイ、ジョー・テルラノーヴァという、基本的はアメリカ東海岸系の白人ドゥーワップグループの典型でありながら、この「踊りにいこうよ / At The Hop」に顕著なアップテンポのツッコミ型R&Rコーラスは、その頃の他の同系グループよりも遥かに新しいフィーリングが満点♪♪~♪

後のオールディズリバイバルブームで人気を集めたシャナナとか、明らかにダニーとジュニアーズから影響を受けたグループは、我国のチェッカーズが登場している事を鑑みても、夥しいはずです。

というか、実はそれが当たり前になっている感さえあるのは、前述したとおり、全国ネットの人気テレビ番組という存在があればこそという結論さえ、浮かんでくるように思うのですが、いかがなものでしょう?

もちろんヒット曲の歴史にはラジオやテレビといった電波マスコミの威力があってこそ、瞬時なる広範囲の流行が作り出せる利点は欠かせなくなった現代、その先駆けのひとつが、ダニーとジュニアーズの「踊りにいこうよ」であった!?

それは強引なコジツケかもしれませんが、この歌の一番の魅力だと思うスピード感は、電波系と断言したくなるのでした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする