OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

寺内タケシからは逃亡不可

2011-03-26 16:19:05 | 日本のロック

逃亡者 c/w Cruel Sea / 寺内タケシとブルージーンズ (キング)

なんだかんだ言っても、やっぱり寺内タケシのエレキは凄いっ!

何度聴いても、それを痛感させられるのが、本日ご紹介のシングル盤両面2曲です。

ご存じのとおり、これが発売された昭和40(1965)年夏と言えば、アストロノウツベンチャーズを筆頭にするエレキブームにより、日本国中がいろんな意味でシビれていたわけですが、そうした外タレ以上の影響力を発揮していたのが、既にエレキの神様と崇められていた寺内タケシだったと思います。

なにしろ前年に大ヒットさせた「太陽の彼方に」は言わずもがな、連日のライプ活動やテレビ&ラジオ出演は途切れることが無く、レコードの発売も毎月のように新譜が出るという人気は驚異的でした。もちろん自らが率いるバンドのブルージーンズ共々の大ブレイクだったのは言わずもがなでしょう。

当時のメンバーは寺内タケシ(g)、加瀬邦彦(g)、岡本和夫(g)、鈴木八郎(org)、石橋志郎(b)、工藤文夫(ds) という、まさに鉄壁の布陣でしたから、レコーディングされた演奏の充実度は世界に出してもトップクラスの仕上がりになっていたのです。

しかも演目のほとんどがベンチャーズの人気バージョンやリアルタイムのヒット曲だったのですから、その意気込みと自信は相当なものだったと思いますし、実際に聴いて吃驚のエレキ性感度は絶大!

この2曲にしても、共にベンチャーズによって決定的な名演が残され、同じカップリングによるシングル盤も発売されていながら、寺内タケシとブルージーンズは勝るとも劣らない存在感を聴かせてくれるのですから、たまりません♪♪~♪

まずA面の「逃亡者 / The Fujitive」はベンチャーズのバージョンを基本にしたイントロの犬の遠吠えをメンバー達のエコーを強調した声色で表現するという手法が潔く、このあたりはライプステージでの実演を意識したアレンジだったんでしょうか?

そして何よりも凄いのがテーマリフで寺内タケシが披露する強烈な3&6連フレーズのピッキングと運指のコンビネーションで、もちろんそれによって放出されるソリッドなエレキの轟音も最高ですよっ!

ちなみにベンチャーズのバージョンは、このパートでリードを弾くノーキー・エドワーズがピックと中指の合わせ技によるカントリーロック系のテクニックを聞かせてくれますが、寺内タケシはピック弾きオンリーじゃないでしょうか? とにかく強靭なロック的リズム感が要求される曲とアレンジですから、これをコピー出来れば、リッチー・ブラックモアのフレーズだって楽々だと思いますねぇ~。もちろんサイケおやじは、どっちも出来ないわけですが……。

また特筆されるのがブルージーンズによる野太いビートの構築力で、これは当時のキングレコードの録音技術の優秀さを示すものでしょう。それゆえに終盤で炸裂する寺内タケシのリフの変奏から本家「Terry-sh」なフレーズによるアドリブがフェードアウトしてしまうのは、本当に残念の極み!?

しかし、これで良いんですよねぇ~~♪

もっと聴きたいっ!

そう思わせるプロデュースの妙と演奏が完璧に融合した名演だと、聴くほどに確信させられますよ♪♪~♪

そしてB面の「Cruel Sea」が、これまた凄いですっ!

オリジナルは所謂リバプールサウンドの人気バンドだったダコタスが1963年にイギリスでヒットさせた名曲ですが、やはり翌年にカパーしたベンチャーズの演奏によって、我国では知られたメロディでしょう。

ですから寺内タケシとブルージーンズも必要以上にそれを意識していたと思われますが、聴いてみれば納得するしか無いというリズムとビートが生命線の曲展開において、幾分性急なベンチャーズのバージョンに対し、ブルージーンズはヘヴィな質感までも表現したバンドの一体感が圧倒的な迫力!

もちろんサビのキメとなるトレモロフレーズは寺内タケシが十八番ですし、リズム&サイドギターとのアンサンブルも圧巻としか言えません。

ということで、これだけ勢いのあるレコードを出してしまえば、もう寺内タケシとブルージーンズの突進は止まりません!

秋からは畢生のエレキインスト「涙のギター」をメガヒットさせ、年末には出演した東宝映画「エレキの若大将」公開に伴い、その主題歌として加山雄三が歌った「夜空の星」で強烈なギターサウンドを響かせ、日本中を狂熱させたのです。

つまりはエレキだけでなく、日本のロックの夜明けをも告げたのが寺内タケシとブルージーンズだという真実は、決して忘れられることは無いでしょう。

そう思い込むサイケおやじは結局、絶対にエレキのシビれから逃亡出来ないだろうと、今日も自覚するのでした。

コメント (5)
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