OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ルパンザサ~ァ

2006-02-02 18:38:21 | Weblog

本日は東南アジアの某国からお客さんが来ましたので、いろいろと気を使って、疲れました。昼メシには気の利いたところが無いのでトンカツ屋に行きましたけど、イスラムの人でなくて良かったです。

で、その後、車でいっしょに移動しましたが、話をしてみたらフュージョンが好きというので、このアルバムをBGMにしたところ大喜びされましたです――

ルパン三世オリジナルサウンドトラック (日本コロムビア)

今や日本を代表するアニメ作品となった「ルパン三世」は、その劇伴のカッコ良さも当時から話題を集めていました。特に大野雄二が担当した第2シリーズ以降は、放送用音源とは全く別にアルバムが製作されるほどの大ヒットになっています。

このアルバムはその最初の作品ですが、ここに至るまでの簡単な経緯として、「ルパン三世のテーマ」は大雑把に3バージョン存在しています。それは――

 ●テレビ放送用のバージョン:所謂「TVサイズ」
 ●シングル盤で発売されたバージョン
 ●このアルバム用のバージョン

まず最初の「TVサイズ」とは、昭和52年秋から日本テレビで放送されたアニメ「ルパン三世」のオープニングに使用されたバージョンです。これは約1分20秒ほどの演奏で、後のシングルバージョンよりもテンポが若干、スローですし、当然、モノラル仕様です。

しかしその演奏は、皆様よくご存知のように、16ビートのチャカポコリズムに歯切れの良いブラス、その背後で躍動するシンセサイザー、サビで華麗に展開するストリングス、ふくらみのある女性コーラス、そして素敵なメロディが渾然一体となった傑作です。それは当時流行っていたフュージョンの美味しい部分を完全に取り込んだものでした。

実は私は、リアルタイムでそのテレビ放送初回に接し、そのあまりのカッコ良さ、インパクトの凄さに、思わず食べていた餃子を取り落としてしまった鮮烈な記憶があります。すげぇ~♪ で、ほどなく発売された「ルパン三世のテーマ」と題されたシングル盤を買ったのは言うまでもありません。

しかし、そのシングル盤はテレビ放送で使われているものとはイメージが違っていました。もちろん、それ用に録音し直した音源で、ステレオ仕様になっています。

まず全体のテンポが速くなり、歯切れの良いリズムギターが左右に配置され、ブラスも一層シャープになり、サビのストリングスも分厚くなっています。演奏時間も3分23秒に伸ばされ、間奏ではジャジーなサックスがアドリブを聞かせますが、「TVサイズ」では大暴れしていたシンセサイザーは隠し味程度になっています。う~ん、それにしてもカッコイイ! こんな素晴らしいフュージョンは無い、と当時、本当に思いましたねぇ~♪ もちろん、今でも大好きです。

で、そうこうしているうちに、今度はアルバムが発売されたというわけです。そしてこれがまた、素晴らしいのですねぇ~♪ 新しい曲もたっぷり聴けるのです。

なにしろA面1曲目の「ルパン三世のテーマ」からして、ルパン三世と銭形警部の台詞からスタートするリミックスバージョンになっています。もちろん音源的には「シングルバージョン」と同じですが、間奏でも登場人物の紹介を兼ねた台詞が入っているのです。また全体にドラムスやコーラスが一層、歯切れ良くミックスしてあります。

2曲目の「愛のシルエット」は流麗なストリングと分厚いホーンセクションが、哀切のメロディをじっくりと奏でる素晴らしい演奏です。リズム隊も重いビートと複雑なリズムパターンを完璧にこなしていますし、泣きのサックスもたまりません。世界の何処に出しても可笑しくない、第一級のフュージョンになっています。

そして3曲目がこのアルバムの目玉というべき「抱いてルパン」になるわけですが、前曲からフェードしつつルパン三世と峰不二子のエッチな会話がミックスされているので、ムード満点のこの曲が一層、引き立っています。ちなみにセクシーに歌っているのは、後にサンディ&サンセッツを結成するサンディ・ホーンです。また間奏のエリック・ゲイル調のギターも素晴らしく、とにかく魅惑のメロディに溺れてほしいところです。あぁ、いつまでも聴いていたいです♪

さらに続く4曲目の「殺し屋に紅薔薇を」は、頭に次元大介の台詞が入ったシャッフル系の躍動的なフュージョンで、ブラスと泣きのサックス、絡み合うリズム隊というお約束が楽しめます。ちなみに演奏メンバーは特定出来ませんが、演奏のエレピソロは大野雄二本人かもしれません。

A面ラストはタイトルからして素敵な「月影におやすみ」で、スローなラテン・グルーヴがたまりません。メロディを奏でるサックスも素直ですし、ここでも活躍するギターが、ほとんどエリック・ゲイルという、フュージョン好きにはグッとくる演奏です。

さてB面も銭形警部とルパン三世の掛け合い漫才的な台詞があって、いきなり16ビート全開の「デンジャラス・ゾーン」が始まります。もちろん躍動するエレキベースと迫力のブラス、流麗なストリングスはお約束♪ 緊張感が途切れないアレンジも流石です。ちなみにこの曲はこのアルバム用に作られた後、劇場版「ルパン三世」に転用されています。

そのノリは続く「サンセット・フライト」でも存分に楽しめますが、一層、ジャズ・フュージョン味が強くなっており、演奏メンバーの只ならぬ力量が確認出来ます。

ここで曲間にルパン三世と次元大介の台詞が入り、効果音もあって始まるのが「マグナムダンス~ロンリー・フォー・ザ・ロード」という、前曲を引き継いだジャズ・フュージョン路線です。ここでは微妙に歌謡曲が入ったテーマ・メロディが大野雄二だけの味の世界♪ 間奏のピアノも作者本人かもしれません。本場の第一人者であるボブ・ジェームス(P) も顔色を失いそうな演奏です。

次は一転、私の大好きな明るいボーカル曲「ラヴィン・ユー」で、歌っているのは当時人気絶頂だったロックバンド「ゴダイゴ」のドラマーであるトミー・スナイダーです。「ゴダイゴ」はバンドとしても後に「モンキー・マジック」等の大ヒットを連発するのですが、実はメンバーの実力が高く評価されていてスタジオセッション活動も多く、これもそのひとつだったのかもしれません。

そして最後はお待ちかね「愛のテーマ」です。これはテレビ放送ではラストに流されていた人気曲で、哀愁たっぷりのハーモニカとストリングが華麗に奏でる美しいメロディがたまりません。もちろんリズム隊は重いビートと歯切れ良さで盛り立てます。

もちろんこの曲は「TVサイズ」が存在しており、また前述した「ルパン三世のテーマ」のシングル盤B面に収められた「シングルバージョン」も存在するのですが、ここではそれに台詞を被せてリミックスしたバージョンが使われています。

というこのアルバムは大ヒット! これによって大野雄二の名前が広く一般に知れ渡ったと言っても過言ではありません。ちなみに大野雄二は元々はジャズピアニスト、同時にテレビや映画のサントラ音源製作にも携わり、また歌謡曲の作曲家でもありましたが、その洒落たセンスは最高で、ついにここでブレイクしたというわけです。そして翌年には松田優作主演による「遊戯」シリーズのサントラで、最高のジャズ・ファンク物の発表するのでした。

また当然「ルパン三世」物も数多く製作していきますが、その音源の詳細や演奏メンバーの推測等々は、いずれ本サイトの「偏愛音楽館」で取上げたいと準備中です。

とにかくカッコイイ、まさに聴かずに死ねるかの1枚です。東南アジアからのお客さんも「ルパンザサ~ァ」と歌っていましたよ。

コメント (2)
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