OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

とまらない汽車に乗る人生

2011-09-26 15:38:24 | 歌謡曲

とまらない汽車 / 中山千夏 (日本ビクター)

自分の気持に正直に生きる事ほど、難しいものはないでしょう。

しかし、それに向かって努力する事は、誰でも出来るんじゃないでしょうか。例えそれが上手くなかったとしても、自分だけは納得する生き方をしたいと願うかぎり……。

なぁ~んて、本日はノッケから深刻な書き出しで申し訳ございません。

しかし中山千夏の歌や著書、あるいは彼女の言動に接する時、サイケおやじはそんな感じがしてなりません。

ご存じのとおり、現在の彼女は、ますます何が本業か分からなくなるほど、多彩な履歴を持った才人としての存在感は失せることが無く、加えてこれからも何をやらかすか予断を許さない怖さ(?)は、今もって健在というところでしょうか。

そこでサイケおやじは、とにかく歌手としての中山千夏を本日は思い出す事にして、とりあえず歌謡曲デビューから二番目のシングルヒットとなった「とまらない汽車」を聴いています。

ちなみに中山千夏としての芸能活動は、まず子役として注目され、同時にテレビタレントとしての溌剌とした存在感は、本音優先主義の言動も含めて、常に昭和40~50年代を騒がせてきたように思います。

そして歌手としては、まず忘れられないのがNHKで放送されていた人形劇「ひょっこりひょうたん島」での様々な挿入歌で、本人が劇中では博士役の声優も演じていましたから、これは鮮烈でした。

また同時期、これまたNHKの「みんなのうた」で幾つかの歌を聞かせていた記憶もあります。

ですから昭和44年秋、いよいよ歌謡曲のジャンルでデビューした時には、その最初のシングル盤「あたなの心に c/w ZenZenブルース」が驚異的に売れまくったのは必然であり、もちろん本人の作詞と都倉俊一の作曲によるA面「あなたの心に」が歌謡フォークのスタンダードになったのも当然でした。なにしろ現在まで、多くのカバーバージョンが出されている事でも、それは証明済みでしょう。

しかし続く本日ご紹介の「とまらない汽車」は、ちょいと事情が異なるというか、作詞作曲は「あなたの心に」と同じく中山千夏&都倉俊一でありながら、曲調は完全なる歌謡R&Bなんですねぇ~~~♪

サイケおやじの好みが絶対的にこっちである事は、皆様がご推察のとおりです。

とにかくイントロからグッとシビれるエレキギターのイカシたフレーズは、まさにこの時代の音色であり、強いビートのドラムスと絶妙なピアノの合の手、そしてグイノリのホーンセクションに「お約束」とも言える汽車の擬音コーラスが、本当にたまりませんねぇ~~♪

そして中山千夏のボーカルは幾分高いキーを活かした心に迫って来る節回しで、この歌謡ソウルを説得力豊かに歌いあげてくれますから、ついついリスナーは「その気」にさせられてしまうのです。

それは何故か、「好き」というだけで女と一緒に「とまらない汽車」に乗ってしまう男へ仮託した、決して後悔しない人生を描き出しているのですが、そこには中山千夏本人が、特に公の場でも言いたい放題で押し通していた現実がダブってしまうんですねぇ。

度胸が無いので詳らかには書けませんが、テレビのワイドショウのレギューでありながら、公然とテレビや放送業界を激しく非難したり、国会議員当時は政党政治を揶揄する言動、ついには皇室を虐げるが如き振る舞いまでも堂々とやっていましたから、入っている筋金が違うわけです。

しかも、それだけの事をやらかした後には、すっぱりとその世界から足を洗うという潔さも流石で、なかなか真似できる事ではないでしょう。

ただし、そんなこんなは決して中山千夏という人間の中では、ひとつの通過点なのかもしれません。

ですから歌謡曲の世界で素晴らしいレコードを残した事自体が、わかってくれる人にだけ聴いてもらえれば云々という自己満足では決して無く、この世の隅々まで自らの主張を届けたいという一種の「義務」を果たす手段であったように思います。

ということで、本日は書いている自分でも消化不良の難しい戯言になってしまいましたが、平たく言えば、皆様には「とまらない汽車」という歌を聴いていただきたいという願いを記したつもりです。

人間は、どんなに懸命に生きたとしても、必ず「後悔」が付きまとう宿命を背負っているんじゃないでしょうか?

その意味で、サイケおやじも「とまらない汽車」に乗った気分で、残された自分の人生をやってくしかないのだろう……。そんなふうに思うばかりです。

コメント (4)
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