OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

やってくれるぜっ! レインジャーズ

2011-09-01 15:45:27 | 日本のロック

レッツ・ゴー・レインジャーズ / ザ・レインジャーズ (クラウン)

実力派GSは数あれど、本日ご紹介のレインジャーズもそのひとつとは言え、今日の安定した(?)人気は、決して我国での評価に基づいたものではないのが、ちょいと悲しいところで、それは近年の欧米で「ニッポンのガレージパンクバンド」として紹介された事によるものです。

おそらくリアルタイムでのレインジャーズは、泉アキのバックバンドとしての仕事が一番有名じゃないでしょうか。

サイケおやじにしても、実はレインジャーズを知ったのは彼女経由であり、テレビ出演はもちろんの事、昭和42(1967)年から翌年にかけては幸運にも数回、ライプステージに接することが出来ましたが、既に述べたようにレインジャーズの実力は今に至るも鮮烈に覚えています。

というか、当時はGSが有象無象も含めて星の数ほど活動してた中にあって、スタアになれたのは本当に僅かだった現実は言わずもがな、とにかく発売されたレコードにバンドの持ち味や本質が記録されたグループもそれほど多くはなく、それでもライプでは凄い演奏を聴かせていたのが、所謂実力派という括りでしょう。

しかしレインジャーズは確かに凄いレコードも残していて、前述した欧米の評価はご存じ「赤く赤くハートが」というシングル曲に集約されているのですが、サイケおやじが最初にシビれたのは掲載した「レッツ・ゴー・レインジャーズ」でした。

これは昭和42(1967)年10月に発売されたレインジャーズのデビューシングル盤「星空の恋人」のB面収録曲ながら、スピード感満点に疾走するバンドの勢いは紛れも無くエレキなロックであり、ツッコミ気味のボーカルとキレの良いギター、迫力のリズム&ビートの出まくりは最高ですよっ!

まあ、このあたりは冷静に聴けば、既に確固たる名声を得ていたシャープ・ファイヴからの影響も濃厚ではありますが、全体の纏まりと、そこから脱しようとするボーカルとバンドの鬩ぎ合いがロックの本質を感じさせるように思います。

そして実際、サイケおやじは、この歌と演奏にライプで接した次の日、乏しい小遣いから迷わずシングル盤をゲットさせられたのです。

ちなみに本来のA面曲「星空の恋人」は歌謡フォーク調の湘南サウンド(?)で、ストリングスやオーケストラも導入された如何にもの仕上がりですが、意想外に哀愁が滲むレインジャーズのコーラスが胸キュンかもしれませんねぇ。

書き遅れましたが、当時のバンドメンバーは宮城ひろし(vo)、古賀民也(g)、津村雅美(g)、仲谷武(key)、峰あきら(b)、森本知明(ds) の6人組で、実は各々が担当パートの他にボーカル&コーラスや各種楽器を扱えるマルチプレイヤーという実相があったと言われています。

そのあたりを業界から評価(?)されたのでしょうか、残された音源を様々に聴いてみると、妙に中途半端なインスト演奏の中にはサックスやフルートを用いたラテンロックとか、昭和の喫茶店には当たり前だったポピュラームード系のものまであって、???

しかし、この「レッツ・ゴー・レインジャーズ」は絶対に本物のロック! サイケおやじは頑なに信じています。

最後になりましたが、ギターの古賀民也は昭和41(1966)年のベンチャーズ来日巡業では、家族の訃報により急遽帰国したドン・ウィルソンの代役を務めたほどの名手であり、ということは同様の助っ人を演じた寺内タケシと遜色の無い実力が認められていたというわけで、確かにシャープなリズムカッティングや鋭いリードの切れ味は絶品!

今日でも、その技量は高く評価されて然るべきだと思います。

ということで、レインジャーズが残した歌と演奏はヒットするまでには至りませんでしたが、分かっている現役世代はもちろんのこと、後追いで虜になったファンも多いという証として、今日でも代表的な音源を集めたCDが出回っているのは嬉しいところ♪♪~♪

確かに、やっている事は必ずしもロックとは言い切れないものも含まれていますが、それは実力派として、様々なスタイルを演じられたゆえの結果であって、一概に悪いとは言えないでしょう。

当然ながら、サイケおやじは、そんな気持は一片だって持っておりません。

そして後追いながら鑑賞した大映レモンセックス路線の人気作「十代の青い性(昭和43年・井上芳夫監督)」の劇中、この「レッツ・ゴー・レインジャーズ」を演奏するバンドの雄姿に接した感動も忘れ難く、これもまた一刻も早い復刻を熱望しております。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする