OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

素直に楽しむキャット・スティーヴンスの世界

2011-09-02 15:56:26 | Singer Song Writer

雨にぬれた朝 / Cat Stevens (Island / キング)

1970年代の最初の2~3年はシンガーソングライターのブームが大きく盛り上がり、それは我国でも歌謡フォークの流行と密接に結び付きましたが、そのおかげで必要以上に多くの洋楽スタアが紹介されたのも、今となっては嬉しいことだったように思います。

例えば本日ご紹介のキャット・スティーヴンスはイギリス出身のシンガーソングライターとして、1970年頃からアメリカでもブレイクした才人ですが、その最大の魅力は優しい歌声とハートウォームな曲メロ作り、さらに加えて幾分哲学&宗教的な色合いが滲む歌詞にあったと思います。

しかし我国のリスナーのほとんどは自然に英語を解しませんから、素直にキャット・スティーヴンスのジェントルな部分だけを楽しめば良かったという環境が結果オーライ♪♪~♪

掲載したシングル盤A面曲「雨にぬれた朝 / Morning Has Broken」は、主にラジオの深夜放送でしたが、昭和47(1972)年頃からのロングセラーとなっていたほどです。

しかし歌詞の内容は相当に宗教的で、実は作詞は本人ではなく、エレノア・ファージョンという、この歌が作られた当時は既に亡くなっていたキリスト教文学者(?)らしいのですが、日本人向けの訳詞はもちろん、原詩を聴き取っても、サイケおやじの英語力では理解不能に抽象的なキリスト教的観念が……。

否、これをキリスト教云々と決めつけるのは早計かもしれませんねぇ。

実は幾分確信犯的な書き方になりますが、キャット・スティーヴンスはその人生をなかなか宗教的な流れの中に置いていたという今日までの履歴があり、子供時代はギリシャ系の生い立ちながらカソリックの学校に通い、十代の頃にはアイドル歌手として人気を集めながら病気のためにリタイア……。

そんなところから、自分の不可知の領域を扱う宗教感がますます強くなっていたのでしょうか、なんと1977年頃にはイスラム教に改宗するという、およそギリシャ系とは思えない暴挙(?)に踏み切り、しかも音楽活動を全て止めてしまうのですから、完全に???

一説によると、その時には自らの音楽歴に終止符を打つために、それまでの楽曲の権利やゴールドディスク等々を捨値で処分したとか!?!?

で、そんなこんなの諸々がありますから、欧米のファンにとっては素直に楽しめないのがキャット・スティーヴンスの音楽だと言われています。

う~ん、ニッポンのファンはシアワセ~~~♪

しかし、そういえば昭和47(1972)年の来日時にはテレビ出演もありましたが、洋楽雑誌のクラビアでは仏教のお寺に観光するという定番企画の中で、なにか本気だったような表情と感想インタビューが印象的でした。

そして日本巡業を終えてから作られたアルバム「キャッチ・ブル・アット・フォー」とか「ブッダとチョコレートの箱」という、なかなか仏教思想を滲ませた作品を出してしまうのですから、信心深いですねぇ。

まあ、そういう人なんでしょう。

ですから、歌詞の中身をノーテンキに聞き流す接し方が自然に出来てしまう我々日本人は、シンガーソングライター時代のキャット・スティーヴンスを素直に楽しみませうね。

ちなみに、この「雨にぬれた朝」は人気LP「ティザー・アンド・ファイアキャット」に収録されていて、そこには他にも「月の影 / Moonshadow」や「平和の汽車 / Peace Train」等々の名曲&ヒット曲がテンコ盛り♪ もちろん前後に出たアルバムも全てが和みの傑作だと思います。

またキャット・スティーヴンスの魅力はライプステージにおける、予想外にダイナミックな歌いっぷりで、それは同時期の映像に記録され、中にはテレビ放送されたものもありましたから、このあたりもきっちりと復刻して欲しいものです。

ということで、最近はすっかり忘れられたキャット・スティーヴンスではありますが、ギターも上手いし、リアルタイムのレコーディングにはリック・ウェイクマン等々、英国の名手がセッション参加しているという楽しみもいっぱい♪♪~♪

今こそ、楽しむミュージャンなのかもしれませんねぇ。

コメント (5)
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