OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

炎と言われたジミヘンのライブ

2011-09-25 16:05:15 | Jimi Hendrix

The Jimi Hendrix Concerts (CBS)

あまりに早すぎる、その突然の訃報ゆえに、ジミ・ヘンドリックス=ジミヘン(vo.g) の未発表音源は何時の時代も待望され続けてきました。

中でもライプステージの記録は、何かと本人の承諾を得ずに加工されたスタジオアウトテイクでは無い、生身のジミヘンに接することが出来るという点において、常に求められていたのですから、1982年に世に出た本日ご紹介の2枚組LPは相当な勢いがありましたですねぇ~♪

 A-1 Fire (1968年10月12日:ウインターランド / 1st show)
 A-2 I Don't Live Today (1969年5月24日:サンディエゴ・スポーツアリーナ)
 A-3 Red House (1970年7月17日:ニューヨーク)
 B-1 Stone Free (1969年2月24日:ロイヤル・アルバート・ホール)
 B-2 Are You Experienced (1968年10月10日:ウインターランド / 1st show)
 C-1 Little Wing (1968年10月12日:ウインターランド / 2nd show)
 C-2 Voodoo Chile (1968年10月10日:ウインターランド / 1st show)
 C-3 Bleeding Heart (1969年2月24日:ロイヤル・アルバート・ホール)
 D-1 Hey Joe (1970年5月30日:バークレイ)
 D-2 Wild Thing (1968年10月12日:ウインターランド / 1st show)
 D-3 Hear My Train A Comin' (1968年10月10日:ウインターランド / 2nd show)

上記演目は付記した録音データのとおり、今となっては以降に出されたCDやブートによって確実性の高い鑑賞も可能になっているわけですが、リアルタイムでは非公式だったソースが多く、しかもそれゆえに悪かった音質が出来うる限り改善されていたのが大きなセールスポイントでありました。

メンバーはご存じのとおり、ノエル・レディング(b)、ビリー・コックス(b)、ミッチ・ミッチェル(ds) が随時ジミヘンとトリオを組んでの熱演ばかり!

と書きたいところなんですが、ちょいとした不満も無いわけではありません。

それは、もっと凄い演奏が残されているという現実が既にブートで明らかにされていたところから、何故、あのトラックが???

という疑問がジミヘン信者やマニア&コレクターばかりか、一般のファンでさえも心に蟠ったのです。

結論から言えば、それは権利関係の大きな壁であり、例えば1969年2月24日のロイヤル・アルバート・ホールの音源は、その代表格として、中途半端にしか使えないのが実情だったのです。

しかし、そんな雑念(?)は、やっぱりレコードに針を落した瞬間から霧散させられる勢いが、ここにはあるんですよねぇ~~♪

特にオーラスに置かれた「Hear My Train A Comin'」の捻じ曲げられたブルース解釈は圧巻で、これぞっ! ブルースから派生したロックの極北かもしれません。当然ながらノエル・レディングとミッチ・ミッチェルの堅実に先を読んだ助演も流石であり、緩急自在に緊張と緩和を繰り返しながらバンドとしての一体感を追及する展開は、名演の決定版だと思います。

また同じウインターランドの演奏では、短いながらも濃密な「Little Wing」が素晴らしすぎますよっ! 緩やかなテンポで繊細さとエキセントリックな表現を両立させるギターは、やはり天才ならではの証じゃないでしょうか。もちろんあまり語られる事の少ないボーカルの味わいも、サイケおやじはジミヘンの声質や歌い回しが大好きなんで、高得点♪♪~♪

さらにフィードバックと混濁したコードワークが強靭なサイケデリックワールドを構築する「Are You Experienced」も、これがパンクだとか、デスメタルだとかの戯言を封印するだけのエネルギーに満ちていますよ。

そして気になる人気曲「Voodoo Chile」は、例によってイントロからワウワウとのコンビネーションが冴えまくるギターカッティング、そしてリズムに対するアプローチが圧巻ですから、「お約束」のワイルドに泣きじゃくるアドリブにも、激情のフレーズがテンコ盛り! サイケおやじは、思わず一緒にギターを弾きたくなる衝動を隠せませんが、それは不遜というものでしょう。

なにしろ全篇から圧倒されるジミヘンの気迫が、実は自然体という真相にも触れる事が出来るように思いますからっ!

その意味でロイヤル・アルバート・ホールにおける「Stone Free」も、これまた強烈の極みで、大技と小技の使い分けは絶妙という他はありません。

ちなみにロイヤル・アルバート・ホールのライプは、ジミヘンの高額なギャラに対する埋め合わせとして映画フィルムに記録されながら、未だに公式な一般公開が出来ていないという???の現実があって、それゆえに音源だけが法的な盲点を潜り抜ける(?)形で様々なレコードやCDに収められ、出回っています。

もちろん映像も今日まで、ブート市場のベストセラーになってきましたから、きっちりとしたリマスターで公開されるべきでしょう。

ただし、実はジミヘンの未発表ソースはライプ音源も含めて、全てがファンを納得させるものでは無いという現実が、確かにあります。

そのロイヤル・アルバート・ホールのステージにしても、個人的には散漫な印象を否定出来ない部分が!?

それは、このアルバムに収められた「Bleeding Heart」や「Hey Joe」の物足りなさにも同様に感じられ……。

ですから、このアルバムを編纂したプロデューサーのアラン・ダグラスは1969年以降、ジミヘンの音源管理を任されていたという権利を行使し、実に上手くファン心理を誘導したと思いますねぇ。特にジミヘンには、まだまだ膨大な「お宝」が隠されている事実を明かしたところは快挙でしょう。

ということで、既に述べたように、その「お宝」はCD時代に入ると、例えば4枚組セットの「ステージ」とか、6枚組セットの「ウインターランド・コンプリート」、あるいはバンド・オブ・ジプシーズのライプ音源集成等々、夢の様な再発が繰り返されてきました。

そして近年では、そのほとんどがジミヘンの遺族によって管理される状況となり、なんとなくひとつの道筋がつけられた感があります。

ただし現在までのところ、その再発は必ずしも「良」と言えるものばかりではありません。件のウインターランドにしても、またまた新編集の如き再発盤が出るので、一応はゲットする所存ですが、本音は……???

結局、保守的なサイケおやじは、いつまでも邦題「炎のライプ」と命名された、このアルバムから逃れられない宿命を感じています。

もちろん発売された1982年といえば、洋楽の世界はロックがニューウェイヴになっていましたから、すっかり聴く新譜が少なくなっていた自分にとって、最高のプレゼントだったというわけです。

コメント (2)
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