OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

留置場で哀愁のヨーロッパ

2010-08-30 16:46:43 | Rock

哀愁のヨーロッパ / Santana (Columbia / Sony)

1970年代ロックの国民的な1曲といえば、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」か、本日ご紹介するサンタナの「哀愁のヨーロッパ」でしょう。

今更説明不要という哀切のメロディを奏でるサンタナの泣きのギターは、メロディ優先主義ながらも中盤でのフィードバックや如何にもプロの過激な小技を駆使した、相当に熱いものだと思います。

また、この演奏の成立過程には一説によると、作曲者のトム・コスターがサンタナで来日した時、歌謡曲を聞いてヒントを得たという逸話があるほどですから、日本人が大好きになるのも無理からんところでしょう。

しかし、この「哀愁のヨーロッパ」は諸外国でも広く人気があって、今日の本題はそのお話です。

時代は1980年代末頃、某アフリカの国での事でした。

サイケおやじは仕事でそこへ赴いていたのですが、そんなある日、仕事を終えて根城の町まで戻る道すがら、ひとりの地元の少年がこちらの車を呼び止めました。どうやら自転車が壊れたらしく、町まで乗せていって欲しいと懇願され、こちらは当然の人助けとして快く応じたのですが……。

ちょうど目的の町の入り口付近まで来たところで、パトカーに停車を命じられ、ゴッツイ警官が職務質問をしてきました。

それは何んと、子供を同乗させていた事から、こちらを誘拐犯と決めつけるものだったんです!?!

しかも驚いたことに、件の子供までが、そういう事を訴えるのですから、絶句でした。

そして地元警察署に連行され、様々な取り調べを受けたわけですが、既に皆様がご推察のとおり、2人はグル! もしかしたら親子だったのかもしれません。

しかし、そうは気がついたものの、その時は現金が百ドル足らずしか無く、結局は最新型のウォークマンと所持金で話をつけたのですが、そうなるまでには当然、留置場に入れられてしまった次第です。

う~ん、全くこの時の不条理な気分は例え様もなく、一緒に連行された同僚は取り乱しと意気消沈の二重奏みたいな落ち込みでしたから、流石に楽天的なサイケおやじも、かなり目の前が暗くなりましたですねぇ……。

それでも留置場の檻の外に置いてあったラジオから、このサンタナの「哀愁のヨーロッパ」が流れてきた時の安堵感は、今も鮮烈です。

おぉ、こんな国のちっちゃな町にも、サンタナの演奏が受け入れられているという現実!

それはある意味で地獄に仏というか、何で話をつけようかと思案していたサイケおやじに、前述した最新型ウォークマンの存在を思い出させてくれたのですから、僥倖という以外の何物でもありません。もちろんそこには、サンタナのカセットが入っていたというわけです。

ちなみに問題の町は某国でも田舎でしたし、必然的にその警察署だって悪徳警官と事務係ぐらいしか駐在していないという、まさに職権乱用地帯だったんですよ。

いゃ~、全くそんな横暴が未だに罷り通っていたのが、その某国の低い民度というか、実は諸外国には、こういう酷い所が今でも沢山あるんじゃないでしょうか?

しかし私は運が良かったのです。

もし、これが女の子だったりすると、間違い無くレイプにまで話を持って行かれ、法外なお金を請求されるそうですよ。

クワバラクワバラ、皆様も海外旅行&出張には気をつけましょうね。

安易な親切は墓穴を掘ると言っては人間不信になりますが、そういう事も人生にはあるという教訓になったのは確かです。

ということで、サイケおやじは「哀愁のヨーロッパ」を聴くと、唯一度の留置場入りをホロ苦い気持で思い出すのでした。

コメント (6)
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