■雲にのりたい c/w 愛がほしいの / 黛ジュン (東芝)
連日のギラギラ太陽と強烈な青空、そこに浮かぶ白い雲を見ていると、必然的に思い出すのが、本日の1枚です。
ご存じ、黛ジュンが昭和44(1969)年6月に出した日本歌謡史に残る傑作シングル盤といって、過言ではないでしょう。
まずA面はジャケットにも記載があるとおり、当時の芸能雑誌「平凡」で一般募集した歌詞に鈴木邦彦が曲をつけたもので、当然ながら作詞には、なかにし礼のフォローが入っているものの、なかなか夢のあるフォーク歌謡調の仕上がりは大ヒットの条件を全て満たしています。
そして黛ジュンの歌唱は決して爽やかさ優先モードではなく、微妙な粘っこさの隠し味が本当に素敵♪♪~♪
一方、B面がこれまた素晴らしく、こちらはイントロから炸裂するニューロックなエレキギター、さらにヘヴィにドライブしまくったエレキベースを核とした力強いビート溢れる演奏をバックに、黛ジュンがストレートな愛の欲求を吐露する、実に熱い歌謡ロック! エグ味の強いリズムギターと既にしてニューソウルなストリングも良い感じですし、なによりも東芝特有の重低音が効いたサウンド作りも凄いと思います。
ちなみにこちらの「愛がほしいの」も作詞:なかにし礼、作編曲:鈴木邦彦というヒットメーカーの手になるものですが、これまで幾度も述べてきたとおり、その頃の我国歌謡界はGSブームが下火となり、歌謡フォークや演歌、あるいはアングラと言えども、ひとつ進んだニューロックという、なかなか多用な表現が求められていた時期でしたから、有名歌手であるほどに、そうした時代の流れには積極的になっていたのでしょう。
結論から言えば、それで失敗して、全くヒットしなかったリアルタイムでの駄作も、相当数ありました。
しかし流石は黛ジュン!
当時の彼女は「天使の誘惑」でレコード大賞に輝いて以降の全盛期にあり、何を歌ってもヒットしたという状況ではありましたが、そこには黛ジュンだけの魅力的な歌の世界がありました。
特にどんな曲を歌っても、そこに強いビート感を付随させる上手さは天下一品でしょう。
ということで、フォーク歌謡なA面にニューロック歌謡のB面という、なかなか時代性が強く出ているあたりに、昭和歌謡曲真っ盛りの面白さが集約されているように思います。
そして個人的にはリアルタイムでB面ばかりを聴いていたのが本当のところで、もちろんテレビではA面の「雲にのりたい」しか歌ってくれない黛ジュンでしたから、今となっては生歌で「愛がほしいの」を聴きたかったなぁ~、と未練が残っています。
さて、最後になりましたが、ここ2週間ほどのサイケおやじは仕事と出張、さらに法事が重なって、ゴッタ煮状態のテンテコ舞いでした。
それゆえに拙プログもストックにちょいと手を加えたものばかりでしたが、それでも連日の皆様のご訪問には心から感謝する次第です。
夏もいよいよ本番なのが、これから!?
おもわずノホホンと雲に乗って過ごしたい心境ではありますが、お金も愛も時間も欲しいのが、また本音なのでした。