OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

翌日はリラックスのD&B

2010-08-23 16:34:51 | Rock

Colston Hall Tuesday, December 2nd - 1969
      / Delany & Bonnie & Friends with Eric Clapton (Rhino Handmade)

ということで、好評のデラボニ「オン・ツアー箱」から、本日は2枚目となるブリストルはコルストン・ホールの音源で、レコーディングは昨日ご紹介した1枚目の翌日という、1969年12月2日のステージが楽しめます。

そしてメンバーはもちろん前日と同じ、デラニー・ブラムレット(vo,g)、ボニー・ブラムレット(vo)、エリック・クラプトン(vo,g)、ボビー・ウィットロック(vo,org)、カール・レイドル(b)、ジム・ゴードン(ds)、ジム・プライス(tp)、ボビー・キーズ(ts)、リタ・クーリッジ(vo) なんですが、結論から言うと、この日の演奏は前日と比べて些か緩いというか、所謂レイドバックしたムードが感じられます。

しかしそれはダレているという意味では決して無く、リラックスしてグルーヴィな演奏が提供される中で、ファンやリスナーと一体になったデラニー&ポニーならではのスワンプロックが楽しめるという、その魅力の一端が明らかにされた記録かもしれません。

01 Intro / Tuning
02 Opening Jam
03 Gimme Some Lovin'

 ここは前日と同じく、エリック・クラプトン&フレンズの演奏によるウォーミングアップなんですが、ここでのメンツが後にデレク&ドミノスになることを知っているだけに、サイケおやじは自然と姿勢を正して聴きたくもなります。
 しかし実際のプレイは実にリラックスしたもので、特にエリック・クラプトンのギターは前日に比べると相当に素直じゃないでしょうか。
 それは昨日も触れたように、何かと因縁の「Gimme Some Lovin'」におけるプレイに顕著だと思いますし、「Opening Jam」での楽しいフレーズの連発は、思わずコピーしたくなって挫折することが必至かもしれません。
 またリズム隊の余裕のあるビート感は、緩いというよりも弾力性を増したと解釈するべきなんでしょうねぇ。そのあたりのグルーヴの妙は、デラニー&ポニーが登場してからの演奏に良く表れているように思います。

04 Things Get Better
05 Medley: Poor Elijah / Tribute To Johnson
 ここからはエリック・クラプトンのMCに導かれて、いよいよデラニー&ポニーが登場し、いきなり深南部どっぷりのロッキンソウル「Things Get Better」をぶちかましてくれます♪♪~♪ いゃ~~、これはもう、最初っからクライマックスというか、スタックスサウンド全開のホーンセクションやグイノリのリズム隊、さらに自分が楽しんでいるかのようなエリック・クラプトンのギターが鳥肌もんですよ。
 しかも既に述べたように、自由度の高いバンドのグルーヴによって、前日のテイクよりもテンポアップして突っ込んでいくような演奏が、たまりません。
 そのあたりの良い意味での場当たり的なノリは、続く「Medley: Poor Elijah / Tribute To Johnson」になると、今度はグッと重心を低くした粘っこいものに変化し、これも前日のテイクに比べると些か印象が異なっているように思いますが、もちろんどちらが良いかなんて評価よりも、好みの問題でしょう。ちなみにサイケおやじは両方好き! というのが偽りの無い気持ですが、それにしてもこの演奏におけるエリック・クラプトンとデラニー・プラムレットのギターアンサンブルは粘っこいですねぇ~♪

06 I Don't Know Why
 さて、これも前日同様、エリック・クラブントンを主役に立てた演目ですが、始める前に「エリック・クラプトンの新しいシングルの予定」と紹介されているのが、意味深です。
 ご存じのとおり、この曲は翌年秋に発売されるエリック・クラプトンの最初のソロアルバムに収録されていますが、セッションそのものは既にこの巡業前からデラニー・ブラムレットの協力よってスタートしており、前述のシングル云々の話も進んでいたと思われます。
 しかし諸事情からデラニー・ブラムレットがミックスダウンして作られたマスターは使われることが無く、新たな仕切り直しの後に完成されたのが、その最初のソロアルバム「エリック・クラプトン(Polydor)」だったのです。
 このあたりの真相はブートでの流出を経て、今日では所謂デラックスエディション版 CDで明らかになっていますから、興味がある皆様はぜひともお楽しみ下さいませ。
 で、肝心のここでのテイクは、エリック・クラプトンのボーカルに前日以上の不安定さがモロ……。しかし、ギタープレイ全般がリラックスしているので、このあたりは超一流芸人の日常というか、その日の出来具合がそれなりに楽しめてしまう魔法のようなものかもしれませんねぇ。

07 Medley: Pour Your Love On Me / Just Plan Beautiful
08 Where There's A Will, There's A Way

 さて、ここからが早くも本日の後半戦!
 つまり前日よりも実際のプログラムが少ないのか、あるいは録音ソースの問題か、とにかくライプのクライマックスが早々に楽しめる展開です。
 それは「Medley: Pour Your Love On Me / Just Plan Beautiful」での、さらにずっしりと重心の低い粘っこさが泥沼趣味を過熱させ、特に最終パートのホーンセクションのキマリ方は最高ですよ。しかもビートルズの「Hey Jude」的な雰囲気になるあたりは、盛り上がりも最高潮! ボビー・ウィットロックのオルガンも、さりげなく効いていますし、ギターリフには、これまたコピー衝動を刺激されてしまいます♪♪~♪
 そして「Where There's A Will, There's A Way」は、またまたスタックスサウンド丸出しのロッキンソウルながら、前日のテイクに顕著だったストーンズ的なノリは控えめとなり、なんとドゥーピー・ブラザーズのような痛快ギターロックになっているのが面白いところでしょう。エリック・クラプトンが燃えているんですよねぇ~♪

09 Coming Home
 これがまたまた疑惑のテイクというか、この日の音源もまた左チャンネルにエリック・クラプトン、そして右チャンネルはデラニー・ブラムレットという2本のギターが定位しているミックスなのに、何故か真ん中からスライドギターが聞こえるという謎が解明されていません。
 ただし、ここではイントロの部分だけという感じでしょうか。
 全体的にはリラックスしながらも、しつっこさを同時に表出するエリック・クラプトンのギターが秀逸ですよ。
 それとイントロからのリズムとリフの構成が、ジョージ・ハリスンの大作3枚組アルバム「オール・シングス・マスト・パス(Apple)」に収録された「Wah Wah」と酷似しているのも要注意でしょう。なにしろそのセッションのバックは、このバンドと同じメンツが務めている真相が!?

10 Little Richard Medley
    A. Tutti Frutti
    B. The Girl Can't Help It
    C. Long Tall Sally
    D. Jenny Jenny Jenny
11 I Don't Want To Discuss It
 こうして迎える大団円は、恒例のR&R大会ということで、「Little Richard Medley」では特にデラニー・ブラムレットのナチュラルなロケンロラーぶりが微笑ましいかぎり♪♪~♪ おそらく実演ステージでは、ケツ振りまくってギターを鳴らし、マイクにしがみついてシャウトする本人が見られたんじゃないでしょうか。また呼応するエリック・クラプトンのギターも前日以上のラフファイトですし、もちろん小気味良いリズム隊のビート感も最高だと思います。
 それは続く「I Don't Want To Discuss It」で尚更に熱く醸成され、鳴りやまない拍手歓声の中で暴発していくロックの魂! いゃ~、エリック・クラプトンのR&Rギターって、こんなに魅力的だったかの!?! 思わず目からウロコのサイケおやじです。

12 Crowd / Announcement
 このパートは終演のご挨拶というか、結局はもう出てこないバンドメンバーに対し、執拗にアンコールを求める観客の熱き思いが伝わってくるドキュメントです。
 う~ん、思わず感情移入してしまいますねぇ~♪
 それと面白いのが、途中でバレーボールの試合では定番の「ニッポン、チャチャチャ」みたいなコールと手拍子が出るあたりで、それはここにルーツがあったのか!? なぁ~んて、ちょいと不思議な気分でした。

以上、こなれた感じのするライプだと思います。

特にエリック・クラプトンのリラックスぶりは、クリームやブラインド・フェィスでのプレイと比較すれば、重厚さやハードなフィーリングが驚くほど軽くなり、しかしR&RやR&Bの基本に忠実ながら、まさに天才ギタリストならではのフレーズを聴かせてくれるという魅力がいっぱい♪♪~♪

黙っていても大金が転がり込んでくるブラインド・フェィスを放り出してまで飛び込んだデラニー&ポニーとの共演が、如何に素晴らしい世界だったか、そのあたりを実証する名演じゃないでしょうか。

気になる全体の音質は、もちろん公式レコーディングですから問題はありません。ただしホーンセクションやコーラスが些か引っ込み気味で、またドラムスやベースの存在感が細い雰囲気の結果は、録音現場の状態もありましょうが、ちょいと不満が……。その所為でしょうか、この日のテイクが初出LP「オン・ツアー(Atoc)」に全く採用されなかったのも、分かる気がします。、

しかし演奏の出来は決して悪いはずも無く、まあ、これは大音量で鑑賞すれば、何の問題もないでしょうねぇ。

そして本日も完全未発表だったプレゼントに感謝するのでした。

コメント
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