OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ちょっと物足りない、1st show のD&B

2010-08-24 16:59:53 | Rock

Fairfield Halls Sunday, December 7 - 1969 1st Show
      / Delany & Bonnie & Friends with Eric Clapton
(Rhino Handmade)


デラボニ「オン・ツアー箱」の3枚目は、クロイドンのフェアフィールド・ホールにおける1969年12月7日の音源で、いよいよ初出LP「オン・ツアー(Atoc)」に採用されたテイクも楽しめる快演集! と書きたいところなんですが、ここにネイキッドなソースが提示されると、実はちょいとした混乱もあったことがリアルです。

また、当日は2回公演だったらしく、まずはここに「1st Show」が収められましたが、これが「昼の部」かと思ったら、最後の最後で誰かが「グッナイ」と挨拶していることからして、実は早くても夕方からステージが始まっていたことが分かります。

う~ん、そういえば欧米では夜の2回公演なんか当たり前ですし、イギリスでは深夜の1時から2回目のステージが珍しくもなかったのが、1970年代頃の実相だったと言われています。もちろん未成年は入場禁止! そこで「昼の部」を「1st Show」に訂正致しました。

それと、その所為でしょうか、演目が少なめなんですよねぇ……。

しかし、ついに大物ゲストの参加が明らかになりました。

ちなみに主要メンバーはこれまでどおり、デラニー・ブラムレット(vo,g)、ボニー・ブラムレット(vo)、エリック・クラプトン(vo,g)、ボビー・ウィットロック(vo,org)、カール・レイドル(b)、ジム・ゴードン(ds)、ジム・プライス(tp)、ボビー・キーズ(ts)、リタ・クーリッジ(vo) ですから、バンドとしてのコンビネーションは安定しています。

01 Intro / Tuning
02 Gimme Some Lovin'

 ここは恒例、疑似デレク&ドミノスによる演奏なんですが、なんと「Gimme Some Lovin'」ではボーカルマイクが完全にオフ!? これは現場PAの不備か、あるいは録音機材のトラブルなのか、全く判断出来ませんが、その分だけカラオケパートが明確に聴かれますし、この豪華なメンツをバックに自分が歌うことも出来るわけです。
 ちなみに音質というか、各楽器のバランスが少~し不安定になる部分もあるんですが、ドラムスやベースの音の太さは、なかなか理想的じゃないでしょうか。ホーンセクションやオルガンの存在感も2枚目の音源よりは強くなっていると思います。
 
03 Introductions
04 Things Get Better
05 Medley: Poor Elijah / Tribute To Johnson

 ここからデラニー&ポニー、そしてリタ・クーリッジが登場しての本番ステージがスタートになりますが、その最初、今度はデラニー・プラムレットのボーカルマイクが幾分不調気味……。
 しかし定番プログラムの「Things Get Better」で観客を煽る演出は熱いですし、ポニー・プラムレットが大ハッスル! また、フレーズを積み重ねる毎に、どんどん冴えていくエリック・クラプトンのギターも快感です♪♪~♪
 そして「Medley: Poor Elijah / Tribute To Johnson」では、どうにかマイクのバランスが戻ったこともあり、デラニー&ポニー本来の魅力が早くも全開! 素敵なゴスペルフィーリングに満たされた歌とコーラス、それに呼応するエリック・クラブトンのギターソロをサポートするデラニー・ブラムレットのサイドギター、さらにリズム隊とのコンビネーションの素晴らしさには、本当にゾクゾクさせられますよ♪♪~♪

06 I Don't Know Why
 これもすっかり定番化したエリック・クラプトンの主演舞台なんですが、相変わらずボーカルパートの自信喪失は???
 まあ、このあたりは始まる前にデラニー・ブラムレットが、「ニューシングル」とか「エリック・クラプトンが云々」と会場を盛り上げ過ぎることが裏目なのかもしませんねぇ。
 それでも本人は必死な開き直りというか、懸命に歌う姿勢やバンドの好サポートには好感が持てますし、このテイクではそれほど自らのギターに頼っていないところも結果オーライじゃないでしょうか。

07 Where There's A Will, There's A Way
08 That's What My Man Is For
09 I Don't Want To Discuss It

 既に述べたように、このステージは短縮版という感じで、早くもここから大団円への突進が始まります。
 それは「Where There's A Will, There's A Way」の痛快ロッキンソウルは言わずもがな、ポニー・プラムレットがブルージーに熱唱する「That's What My Man Is For」の粘っこい感動は、筆舌に尽くし難いものがありますねぇ~♪ バックコーラスの哀愁やアタックの強いホーンセクション、ハードにドライブしながら豊潤なグルーヴを提供するリズム隊も流石です。
 さらに「I Don't Want To Discuss It」のバカノリ大会も、このバンドにとっては終りなき日常かもしれませんが、ファンにとっては一期一会の快楽天国に他なりません。感謝!

10 Coming Home
 そしてこのステージのオーラスは、前のふたつの音源では不可解な3本目のギターが問題化していましたが、なんとここでは特別大物ゲストとして、ついにデイヴ・メイソン(g.vo) が登場!
 で、気になるギターの存在については、左チャンネルにエリック・クラプトンとスライドを使うギタリスト、そして右チャンネルにもうひとつのギターが聞こえるミックスになっていますが、これまでの例からすれば、右チャンネルはデラニー・ブラムレットだったものが、演奏前のチューニングやイントロのカッティングとその音色からして、これがデイヴ・メイソン?
 すると左チャンネルに入っているスライドギターはデラニー・ブラムレットとして、一応の解釈は出来るのですが、どうも、ボーカルとの兼ね合いからして??? つまりここでもオーバーダビングが行われたんでしょうか……?
 このあたりの疑問は、皆様がそれぞれに聴かれた後に判断されることなんでしょうねぇ。いずれにしても、結論から言えば、ここでは丁々発止のギターバトルなんか全然やらず、執拗なリフの応酬によって粘っこいグルーヴを作り出すことに主眼が置かれているようです。まあ、それゆえに歌とコーラスの魅力が幾分殺がれたあたりは、賛否両論でしょうか。

ということで、付属解説書によれば、この音源からは「Where There's A Will, There's A Way」だけが初出LP「オン・ツアー(Atoc)」に採用され、後は完全未発表とのことですが、個人的には肯定出来るような気がします。

それはエリック・クラプトンのギターが後半でイマイチ、控えめというか、まさか2回公演ということで、手抜きしたわけでもないんでしょうが、ここに纏められた他の3枚の音源からすれば、ちょいとテンションが低いと感じます。

またバンド全体の勢いも、短縮ステージであったことや最初の部分のPA不調等々の要因があったにしろ、物足りない雰囲気は否めません。楽しさ満点の「Little Richard Medley」も、ありませんしねぇ……。

しかし録音状態の所為でしょうか、ジム・ゴードンのドラミングの強さが尚更に圧倒的ですし、その場の自然な流れとして、ドラムスが活躍する場面も多く、特にそれが顕著な「Where There's A Will, There's A Way」が公式テイクに採用されたのも、当然が必然でしょう。

最後になりましたが、個人的には、この「1st Show」はもっと演目が多かったように推察しています。ところが既に述べたようなPAか録音機材のトラブルにより、完全にダメになったトラックもあったんじゃないでしょうか?

そのあたりは当時の興業形態として、メインアクトに前座が幾つか入る事を鑑みれば、これはこれで成り立っていたのかもしれませんが、いよいよ4枚目に収められた演目の充足度からすれば、ちょいと疑問符が打ち消せないというわけです。

コメント (2)
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