OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

インストも凄かったスパイダース

2010-08-11 16:49:40 | 日本のロック

ダイナマイト / 田辺昭知とザ・スパイダース (クラウン)

いゃ~~、暑いですねぇ~~~。

実は今、以前の常勤地だった雪国に来ているのですが、とても冬は寒冷地と思えないほど、暑いです……。

なにしろ愛用のデジカメが動かなくなるほどなんですよ。

まあ、かなり使い込んだ安物ですし、直射日光の下に置いていたのも間違いらしいのですが、必要なデータが一部、取り出せないのは困ったもんです。尤もそれはほとんどが、このプログ用なんですけどね。

ということで、本日の1枚に使った写真はケイタイに付属のカメラで撮りましたんで、ちょいとピンボケ&粒子が粗いのはご勘弁いただくとして、レコードそのものは長年の探索対象になっていたスパイダースの4曲入り、33回転のコンパクト盤です。

 A-1 ダイナマイト
 A-2 ワイプ・アウト
 B-1 悲しき願い
 B-2 ラブ・ポーション No.9

発売されたのは昭和40(1965)年10月頃ですから、スパイダースは田辺昭知(ds) をリーダーに、堺正章(vo)、井上順(vo)、かまやつひろし(g,vo)、井上孝之(g)、大野克夫(st-g,org)、加藤充(b) という黄金の7人が揃っていた時期でありながら、実はこのレコードに収められているのは全曲がエレキインスト!

言うまでもなく、当時はベンチャーズによって本格的に火がつけられたエレキブームの真っ最中であれば、既にボーカルがメインのロックバンドを指向していたスパイダース本人達には後戻り的な企画だったのかもしれません。

実際、サイケおやじが初めてスパイダースの生演奏に接した昭和39(1964)年末には、他に登場した幾つかのバンドがエレキインストばっかりだったのに、スパイダースは外国の歌入り曲をやっていたほどです。

しかし本格的なノリでロックをやれる演奏能力は、当時から高い評価を得ていたと言われていますし、未だジャズやカントリー&ウェスタンに根ざしていた他のバンドとは一線を画すものという証明が、この4曲で圧倒的に楽しめます。

まずは初っ端の「ダイナマイト」はクリフ・リチャードのヒット曲ですが、ノッケからエグ味の強いギターのアンサンブルとヘヴィなビートを叩きつけてくる演奏からは、スパイダースが屈指のロックバンドであったことが知れるでしょう。ギターソロの順番は大野克夫のスティールギター、そして井上孝之、かまやつひろしと続きますが、それ以外のパートでも三者がそれぞれに役割分担したリフやリズムの刻み等々、今でも全く古びていないどころか、圧倒されての聴き惚れ状態♪♪~♪

もちろん低い重心でドライヴする加藤充のベースとダイナミックな田辺昭知のドラミングも熱いですよ。

それはサーファリスというよりもベンチャーズでお馴染みの「ワイプ・アウト」で炸裂する田辺昭知のドラミングのカッコ良さ! さらにギターアンサンブルの凄まじさ! 当然ながら井上孝之が奮闘するギターソロ、かまやつひろしのパンクなエレキ、思わず唸る大野克夫の寺内タケシ流スティールギター♪♪~♪ アップテンポのビートをがっちり支える加藤充のペースもR&Rがど真ん中です。

あぁ~、もう、このあたりは同時期の欧米のバンドと比べても、そのガレージ度や興奮性感度は全く劣っていないと痛感されるはずです。

そしてB面ではアニマルズというよりも、尾藤イサオの日本語バージョンが大ヒットしていた「悲しき願い」のインストなんですから、哀愁滲む曲メロのキモを活かすべく、大野克夫のチープなオルガンが良い味出しまくり♪♪~♪ また、かまやつひろしのサイドギターがリフやオカズに遊び心を入れているのも特筆もので、こういう部分が生真面目に弾く井上孝之と絶妙のコンビネーションを作り出し、思わずニヤリでしょうか。

その点、サーチャーズのヒット曲をカバーした「ラブ・ポーション No.9」では、明らかにベンチャーズを意識したアレンジと演奏態度が実に好ましく、しかし同時に冒頭から驚かされるエキセントリックなギターの一撃は、かまやつひろしの稚気というには、あまりにもロックし過ぎているかもしれませんね。もちろんバンドが一丸となった強靭なロック魂も痛快だと思います。

ということで、当然ながらバンドの看板だった堺正章と井上順は参加していませんが、その分だけ、どれほどスパイダースが卓越した演奏能力を持ったバンドだったか、あらためて認識させられるはずです。

ご存じのように、スパイダースは大ブレイクを果たして以降のテレビ&映画出演では、かなりオチャラケをやりながら、その歌と演奏は実にしっかりしていました。当たり前のようですが、ビートを芯を外さないバンドアンサンブルは、一朝一夕に出来るものではなく、流石はプロと言えばそれまでなんですが、しかし、そのあたりを過小評価されているGSは意外に多いのです。

その意味でインスト専門バンドではなかったスパイダースが、こうした純正インスト演奏を残してくれたのは幸いでした。

ちなみにスパイダースには、今でも権利関係が定かではない音源が多数残されているらしく、リアルタイムでのソノシートや妙なオムニバスアルバム等々で世に出たそれらの中には、さらに凄いインスト演奏が残されているそうです。

願わくばコンプリートな発掘ボックスでも発売されませんかねぇ。

あっ、でも、その前にデジカメを買わないとなぁ……。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする