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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ザ・トーイズの凄いギター

2010-08-20 16:35:26 | 日本のロック

お宮さん c/w じょんがらゴーゴー / ザ・トーイズ (大映レコード)

どんな世界も勢いがある時には、後にトンデモ系と称される事象が残されるものです。

例えば日本のロックが最高潮だった昭和元禄のGSブーム期には、夥しいプロのバンドがデビューし、レコードを発売しましたが、本当に売れまくったのは極僅かという真相は皆様が良くご存じのとおりです。

そして埋もれてしまった楽曲が、後に「お宝」と賛美される不可思議な現象へと繋がるのですから、時の流れは偉大です。

また、そうやって登場してきながら、結局は消えてしまったバンドに一度でも邂逅した思い出があるならば、あれはいったい……、というような夢か幻が、殊更に忘れ難いんじゃないでしょうか。

本日ご紹介のザ・トーイズも、少年時代のサイケおやじには強烈な印象を残したバンドで、もちろんGSが全盛だった昭和43年にデビューしたようです。

と言うのも、サイケおやじが唯一度だけザ・トーイズに接したのは、同年ゴールデンウィークの某イベントでのことでしたが、なんとボーカリストが東南アジア系!? しかし歌も会話も、きっちり日本語だったんですねぇ。

しかも演奏が上手く、特にリードギターは寺内タケシ直系という「Terry-sh」なフレーズを連発していました。そしてこの時に演奏されたのが、このシングル盤の両面2曲だったというわけですが、さらに驚いたのがバンド名の由来で、確か司会者が「ザ・トーイズ」は「座頭市」に因んでいる!?! なぁ~んて言ってたような記憶が、今も鮮明です。

実はザ・トーイズは当時、座頭市を制作していた大映が発足させた「大映レコード」の所属だったんですねぇ。

メンバーはルディ・アプド(vo)、長岡和幸(g,vo)、大内和衛(g,vo)、高野光司(b)、田口義治(ds) という5人組で、やっぱりボーカリストのルディ・アプドはインドネシア人らしいです。後に知ったところでは、某大学の留学生だったとか!?

肝心の歌と演奏は、まずA面の「お宮さん」がタイトルどおり、金色夜叉の間貫一とお宮の物語をエレキなロックビートで演じたという、実にご存じの展開なんですが、その内容は如何にも昭和元禄のおちゃらけとクールな笑いがテンコ盛り♪♪~♪

まあ、これは私の稚拙な筆よりも、聴いていただくのが一番という仕上がりではありますが、それにしてもドライブしまくった演奏はテンションが高く、スカスカなミックスやチープなオルガンが薄~く入っている微妙なガレージ感覚が、なかなかしぶといですよ♪♪~♪

また既に述べたように、リードギターのキレが素晴らしく、そのごまかしの無いプレイは好感が持てます。

それはB面の「じょんがらゴーゴー」で、さらに全開! 曲タイトルからして津軽三味線のフレーズをエレキに置換したアレンジと演奏は、寺内タケシの世界へモロにトリビュートでしょう。いゃ~~、思わずニンマリするほど痛快♪♪~♪

ちなみに当時は、こうした疑似寺内タケシ系のギターをメインにした演奏が多数あって、その中には、このザ・トーイズのような憎めないレコードが相当に残されていますが、それだけ寺内タケシの影響力は絶大というわけです。

気になるルディ・アプドのボーカルも、不思議な違和感とノリの良さが上手い具合に化学融合した快唱でしょう。

しかし、言うまでもなく、このシングル盤はヒットせず、ザ・トーイズにもサイケおやじは二度と出会うことがありませんでした。

このあたりはプロモーションとかテレビ出演のあれこれも勘案するべきなんでしょうが、このシングル盤そのものが、当時の流行だった所謂アングラレコードの類というキワモノでしたからねぇ……。一説によると、大映制作で同年公開された「ガメラ対バイラス」と「妖怪百物語」の2本立を興業している劇場で、その幕間にライプ演奏をやっていたという情報を、私は友人から聞いたことがあります。

ただしザ・トーイズは、決してコミックバンドではなかったと思うんですよねぇ。ただ、こういうグループまでもが登場し、スレスレのレコードが作られてしまったところに、昭和元禄の勢いがあったということでしょう。

ということで、時代の仇花というには、あまりにも惜しいレコードです。

また、たった一度の実演に接しただけで、その強い印象が今日まで残り続けているほど、当時のGSブームにはアクの強いバンドが、他にも数多く存在したんじゃないでしょうか。もちろん、リアルタイムのファンにしても、全てのGSを追いきれたわけでは無いと思いますから、後追いで楽しんでも満足出来る世界かもしれませんね。

コメント (5)
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