OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

有沢とも子の素敵なデビュー曲

2010-08-02 16:39:21 | 歌謡曲

抱きしめて / 有沢とも子 (RCA)

有沢とも子、と言うよりも、太田とも子の歌手デビューシングルが、これです。

ご存じのように彼女は梶芽衣子の実妹としても有名ですが、芸能界入りのきっかけは荒木一郎のスカウト!? そして昭和44(1969)年2月、この書き下ろしの名曲を歌うことになりますが、果たして荒木一郎は彼女が梶芽衣子の実妹と知ってスカウトしたのでせうか?

まあ、それはそれとして、楽曲そのものは正しく荒木一郎ならではのメロディが全開♪♪~♪ イントロからのタンバリンとドラムス、さらにシンプルなペースとリズムギターが作り出す軽快なビートは実にキャッチーですし、そこへゴージャスに滑り込んでくるオーケストラの響きのスマートさは、この時期から冴えまくりの仕事を続ける川口真のアレンジによるものです。

そして有沢とも子の声質は当然ながら姉にそっくりのところもありますが、ここではかなり基本に忠実というか、荒木一郎ならではの「泣き」のある曲メロを活かす、せつなさを滲ませた表現と伸びのある歌い回しは、作者直々のレッスンによる成果だと思います。

今となっては歴史ですが、当時の我国大衆音楽の状況は大ブームだったGSが衰退期に入り、その主流は歌謡ポップス&フォーク、あるいは保守本流の演歌系が再び盛り返していた頃です。

その中で若手女性歌手は必然的にポップスフィーリングが求められ、従来の歌謡曲と後のアイドルポップスの橋渡し的な位置付けとなる隠れ名曲が次々と世に出ていましたが、この「抱きしめて」も、残念ながらヒットはしませんでしたが、それでもラジオを中心にオンエア率は高く、一度聴いたら絶対に忘れられないヤミツキの名唱♪♪~♪

サイケおやじもリアルタイムではレコードを買えませんでしたが、しっかりラジオからテープに録音し、楽しんでいました。そして高校生の時に入れてもらっていた同好会のバンドで、この「抱きしめて」を演奏した思い出があります。

実は演奏そのものがオーケストラのパートを除いては、それほど難しいことはやっていないんですよ。

ちなみにその頃には中古でシングル盤をゲットしていて、そこで初めて分かったんですが、ステレオバージョンだとリズム隊とオーケストラのバートが著しく分離し、かなりチープな印象が免れません。

しかしこれがAMラジオ等のモノラルで聴くと、最高に素晴らしいサウンド効果となって、ボーカルを引き立てるのですから、奥が深いです。

既に述べたように荒木一郎は作詞作曲の他、なんとプロデュースまでも自ら手掛けるという力の入れようでしたから、今日でも古びていないのは当然が必然! ヒットに結び付かなかったのは、あまりにも時代に先んじたスマートさがあったからでしょうか……。

結局、有沢とも子は翌年にレコード会社を移籍し、太田とも子となって再デビュー! ここからは女優としての活動も始め、例えば実姉の梶芽衣子が主演した「野良猫ロック / マシン・アニマル」にも実名の歌手役で出演したり、テレビドラマでも数々の印象的な演技を披露したのは、皆様の記憶にも残っているんじゃないでしょうか。

また肝心の歌手としても、「とおく群衆をはなれて(作詞:阿久悠 / 作曲:宇崎竜童)」と「恋はまっさかさま(作詞:ちあきてつや / 作曲:宇崎竜童)」という2大隠れ名曲を残していますが、前述した「野良猫ロック / マシン・アニマル」では、その歌声も楽しむことが出来ます。

ということで、本当に昭和40年代はヒットしなくとも素敵な歌がどっさりあったなぁ、というのが本日の結論です。なんというか、業界全体がひとつの歌、1枚のレコードに賭ける情熱が物凄かったように感じるんですよねぇ。

まあ、このあたりのエネルギーは今日でも相当なものでしょうが、当時は今と違ってジャンルそのものが分散していなかった所為もあり、尚更にそう思うのかもしれません。

最後になりましたが、レコード会社が異なっているので難しいかもしれませんが、なんとか有沢とも子&太田とも子の音源コンプリート復刻を切望しているのでした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする