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サイケおやじの生活と音楽

ジワジワと効いてくるハプニングス・フォー

2009-09-11 11:08:39 | 日本のロック

あなたが欲しい / ザ・パニングス・フォー (東芝)

実力派から有象無象まで、GS期の夥しいバンドの中にあって異彩を放っていたのがハプニングス・フォーでした。

メンバーはクニ河内(key,vo,arr)、ペペ吉弘(b,vo)、チト河内(ds,per,vo)、トメ北川(vo,per) という4人組ながら、ギターレスというのが当時としては珍しさの極み! ですからギンギンギラギラのロック一本道ではありませんし、ベタベタの歌謡曲でもないグループの音楽性は地味……。

良く言えば格調高く、エレガンスに満ちている、なんていうのは、局地的な評価だったと思います。つまり一般的な人気度数は???だったんですねぇ。

しかしそれでもハプニングス・フォーが活動出来たのは、聴くほどにジワジワと感じさせられる深い音楽性というか、味わいの豊かさじゃないでしょうか。

さて、本日ご紹介のシングル曲は昭和42(1967)年11月に発売されたデビュー作で、極言すばプロコルハルムの「青い影」症候群のひとつですが、優しい曲メロと率直な歌詞がキーボード主体の作編曲で演じられた、まさに日本のロックのスタンダードに相応しい仕上がりになっています。

ちなみにハプニングス・フォーはモダンジャズのグループとしてスタートしながら、現実的にはホテルやキャバレーでラウンジ系の演奏を仕事にしていたという下積みがあったらしく、それがGSプームの背景にある海外でのサイケデリックや初期プログレの音楽性と共通するセンスとして、デビューに至ったようです。

それはリーダーのクニ河内の才能が、当時の我国大衆音楽界では突出していた証でもありますが、バンドメンバー各々の実力も流石だと思います。なにしろ本来は別名だったバンドを正式デビュー時に「ハプニングス・フォー」と命名したのは、クラシックの大御所だった黛敏郎という伝説が、全てを物語っているのかもしれません。

尤も、こうした事を私が知ったのは後のことですし、ご紹介のシングル盤を買ったのも、ブームが去った昭和51年頃の中古屋でした。もちろんこれはオリジナルではなく、B面には2作目だった「君の瞳をみつめて」をカップリングした再発物です。

当時の私は気儘な学生時代とあって、古い映画を探求鑑賞したりする日々もふんだんにあったわけですが、そんなある日、某場末の小屋で映画が始まる前の休憩時間、この曲が流れていたんですねぇ~♪ 当然ながら老朽化した館内にはお客も少なく、幕間の妙に白々しい照明の中、この曲の持つ厳かでジェントルなムードがジワジワと広がっていった気持の良さは、今も筆舌に尽くし難いものがあります。

ちなみに観ていたのが、成人映画だったことは言わずもがなでしょう。

ということで、早速入手したこのシングル盤を足掛かりに聴き始めたハプニングス・フォーの諸作、特にアルバムの完成度の高さには驚愕させられました。カパー演奏も多いのですが、ひとつひとつの楽曲が練り上げられたアレンジとプロデュースによって、聴き易くて奥深い♪♪~♪

それはR&Bや中期ビートルズだったり、ポピュラークラシックでもあり、プログレやジャズの味わいも当然ながら含んだものですが、そういうセンスが明らかに他のバンドとは一線を画しているように思います。

個人的には密かにコンプリートを目指しているグループになっていますが、メンバー各人のソロ活動やバンドとしての企画物、サントラ音源、セッション参加作品等々、多岐にわたる奥の細道は、なかなか険しいんですねぇ……。

最近は再びバンドとしての活動もあるようです。

それだけに、私をその道に誘い込んだ「あたなが欲しい」は圧倒的な存在!

機会があれば、ぜひともお楽しみ下さいませ。

コメント (1)
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