OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ビートルズ第五の魔界

2009-09-21 11:02:22 | Beatles

ビートルズ No.5 (Parlophone / 東芝)

私の様な世代のビートルズファンにとって、決して避けて通れなかったのが、我国独自編集による本日ご紹介のLPだったと思います。

 A-1 Long Tall Sally / のっぽのサリー
 A-2 Sie Liebi Dich / シー・ラブズ・ユー (ドイツ語)
 A-3 Anna
 A-4 Matchbox
 A-5 You Really Got A Hold On Me
 A-6 She's A Woman
 A-7 Ask Me Why
 B-1 I Feel Fine
 B-2 Komm, Gib Mir Deine Hand / 抱きしめたい (ドイツ語)
 B-3 Chains
 B-4 Slow Down
 B-5 All I've Got To Do
 B-6 I Call Your Name
 B-7 This Boy / こいつ

上記収録曲の中では、今でも要注意なのが「シー・ラブズ・ユー」と「抱きしめたい」のドイツ語バージョンでしょう。

このふたつは結論から言えば、オリジナルバージョンと同じ演奏パートのカラオケを使い、ビートルズがドイツ語で歌っている、ただそれだけのものです。しかし、それが厳然と存在している以上、これは聴かずに死ねるか! というのがファンの偽らざる心境じゃないでしょうか。

もちろん、このふたつが日本で初出となったのは、昭和40(1965)年5月に発売された、このLPです。

ご存じのようにビートルズの初期楽曲はイギリス盤がオリジナル標準とはいえ、世界各国でシングル盤のカップリングやアルバムのプログラムが異なっていました。そしてビートルズの人気が大ブレイクするほどに、それがますます顕著になっていったのは皮肉だったかもしれません。デビュー当時の代表的な二大ヒット曲のドイツ語バージョンが作られたのも、そういう流れだったと思います。

また同じ経緯から、イギリスではシングル盤オンリーの発売だった楽曲が、他国ではアルバムへの収録が望まれ、それゆえにビートルズ側の意に反したような発売順序の乱れが、当然のように起こったのです。

それはアメリカでは特に酷かった状況が、今では逆に面白さに繋がっているわけですが、日本では律儀にもオリジナル3作目の「A Hard Days Night」からイギリス盤に準拠した発売となった所為で、こうした独自編集盤によるフォローが行われたのは結果オーライだったと、今は思います。

しかしリアルタイムでは、僅か前記2曲の為にLPを買うという仕儀は、経済的な観点からだけでも、辛いものがありました。

ちなみにアルバムは全篇がモノラルミックスで、「のっぽのサリー」「Matchbox」「Slow Down」「I Call Your Name」の4曲はイギリス盤オリジナルのEPから、「She's A Woman」「I Feel Fine」「こいつ」はシングル盤オンリーで、我国では、これが初LP収録♪♪~♪ そして他の楽曲についても、イギリスやアメリカ等々では既にLP化されていたものですが、日本では初出というコストパフォーマンスの良さが確かにあるのですが……。

やはりウリはドイツ語バージョンの2曲でしょうねぇ。このあたりの商売の上手さには敬服するほどですが、逆にお蔵入りさせていたら顰蹙だったと思います。ちなみに現在のCDでは「パスト・マスターズ」で聴けるはずですよ。

ということで、今となっては無視されて当然のアルバムですが、リアルタイムではマニア泣かせのコレクターズアイテムとして、私はせつない気持で中古屋からゲットしています。

正直、曲の流れも良いとは言えませんし、我国で作られたカッティングマスターによる音も、まあ、それなりですが、やはり歌と演奏の魅力は否定出来るものではありません。そして時折に取り出して聴きたくなるのが、ビートルズの魔力なのかもしれません。

コメント (2)
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