■I Feel Fine / The Beatles (Parlophone / 東芝)
最新リマスターCDが発売され、ここだけは全く不況知らずのビートルズですが、流石に奥が深い!
昨夜から新旧アナログ盤&CDを聴き比べしているんですが、ますます奥の細道なのが、本日ご紹介のシングル曲「I Feel Fine」です。
この曲は1964年、バリバリの新作として、まずアメリカで11月23日に初めて世に出た後、イギリスでは同月27日にシングル盤が発売されています。もちろん、それらは共にモノラルバージョンですが、明らかに異なるミックスになっているのは、後世に明らかにされた資料に基づくまでもなく、演奏収録時間がイギリス盤の方が僅かに長くなっています。
またアメリカ編集のLP「ビートルズ'65 (Capitol)」のステレオ盤には、明らかに疑似ステレオのバージョンが収められていますが、そのエコーの強さが曲者! なんと同アルバムのモノラル盤にまでエコーが強調されたバージョンが収録され、前述のシングル盤とは全く印象が異なる結果となっています。
次にイギリス盤ですが、この曲のステレオミックスは1966年12月に発売された英国編集のベスト盤「オールディーズ」に収められたのが、まず代表的なものでしょう。なんとそこでは曲の終りの部分に微妙な手拍子が聴かれます! しかも収録時間がイギリス盤モノラルバージョンよりも、5秒ほど短く、ということはモノラルバージョンの方がギターリフが1回だけ余計に楽しめるのですねぇ~♪
というように、既にして様々な違いが散見できるわけですが、このあたりは後の通称「赤盤」や各国で出されたEP、さらに各種箱物でも、微細な違いが存在しており、とても私の耳では分析解明出来ないところも多いはずが、実際に聴けば、その違和感は決して払拭出来ないのもが、確かにあります。
そして今回のリマスター盤については、まずモノラルとステレオの両バージョンにおいて、そうした違和感がますます強くなっているのが結論です。何というか音のメリハリが尚更にはっきりした分だけ、変な話声やノイズが気になるのです。もちろん逆に、これまであったノイズのようなものが、消えている部分も!?!
ちなみに、掲載した日本盤シングルは昭和40(1965)年1月に発売された初回盤だと思いますが、後にジャケットを変更して再プレスされたものと比べると、明らかにカッティングマスターが変更されたとしか思えない印象が残ります。
もちろん、さらに後年の発売となるステレオ仕様のシングル盤バージョンとも、異なると思うのですが、いかがなもんでしょう。
結局、この曲に関しては、あまりにも謎が多すぎます。何故なのか、知る由もないのですが、今回のリマスターによって、ますます罪作りな存在になったのは確かです。
最後になりましたが、言うまでもなく、曲と演奏そのものの素晴らしさは不変!
イントロのウンニョ~~、というフェードバックからツインリードのギターリフ、そしてドンズバにキメまくりのラテンビート! サビに入った瞬間の8ビート変化の鮮やかさ! 全くニューロックへの扉を開けた名曲名演として、大ヒットも当然の帰結でしたねぇ~~♪
そうしたリアルタイムでの感性と歴史の前では、パージョン違いなんて問題にならないはずなんですが、そこは流石にビートルズ!
奥の細道は、まだまだ続きそうですし、とりあえず、このシングル盤を所有されている皆様は、決して手放してはならないと思います。