OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

テリーズの思い出

2009-09-16 11:55:10 | 日本のロック

想い出の星空 / テリーズ (テイチクユニオン)

GS期に活躍した実力派グループのひとつとして、これまた忘れられないのがテリーズでした。もちろんバンド名からご推察のとおり、寺内タケシのニックネームを拝領しているわけですから、御大が率いるバニーズの弟分というわけです。

しかし結論から言えば、大きなヒットは出せませんでした。

メンバーは長瀬敏之(g)、川瀬卓也(g)、土屋かつみ(key)、穂積卓夫(b)、岸本徹(ds)、中村オサム(vo) という6人組で、発売したオリジナルの作編曲はいずれも寺内タケシやバニーズの面々が担当していたという、実に恵まれた環境だったのですが……。

本来は学生バンドの中でも傑出した凄腕だったギタリストの長瀬敏之をスカウトした寺内タケシが、あえてバニーズには加入させず、単独のバンドを編成させてのデビューに導いたのは、やはりインストよりはボーカル入りのロックバンドが主流になりつつあった昭和42(1967)年という、まさにGS全盛期の流れからだと思います。

そして同年秋に発売された本日ご紹介のシングル曲は、実にベタベタの歌謡フォークだったんですねぇ……。ちょうど、カレッジフォークのザ・リガニーズが歌って大ヒットした「海は恋してる」を強く想起させられてしまう、あの世界です。

尤も、その「海は恋してる」は翌年夏の発売ですから、明らかにテリーズの方が早いわけですが、やはりバニーズの弟バンドとしての期待から、ギンギンのエレキサウンドが聴けると思った私のような者は拍子抜け……。

実はテリーズは正式なレコード発売前から、ライブギグは活発だったようで、少年時代のサイケおやじはデパートの屋上という、当時の天国に一番近い場所で、彼等の演奏を聴いています。もちろんそこは、エレキインストの大パーティ♪♪~♪ その時は名前も知らなかったリードギタリストの長瀬敏之が抜群に上手いテクニシャンだったことは、今も鮮やかに記憶しているほどです。またバンドの勢いも良かったですねぇ~♪

それなのに発売されたデビュー曲が、これでは……。もう、最初にテレビ出演して歌っていたテリーズには、別のグループを感じたほどです。

しかしそんな諸々を抜きにすれば、この楽曲は素晴らしく良く出来ていると思います。

大袈裟なティンパニーを使ったイントロから分厚いオルガンの響き、そして甘いギターの音色が奏でるイントロのツカミは最高ですし、素直に胸キュンの曲メロ、青春の思い出を綴った歌詞をロマンチックに歌いあげるボーカル&コーラスの潔さ!

些かダサダサのストリングは如何にも歌謡曲なんですが、それもまた昭和の味わいとして結果オーライでしょう。

あぁ、これで間奏にせつないギターソロでもあれば、高得点なんですけどねぇ~。

ただし演奏に彩りを添えるフレーズを中心に聴けば、長瀬敏之の名手の片鱗は十分に楽しめると思います。そのスタイルはシャドウズのハンク・マーヴィンや我国のシャープ・ファイブに在籍する三根信宏からの影響も大きいと思いますが、歌心を大切にしたプレイは本当に個性的です。

もちろん長瀬敏之はアップテンポの演奏も得意なのは言わずもがな、B面に収録された「ストップダンス」では、R&Bの古典「ダンス天国」を焼き直したようなメロディ展開の中で、寺内タケシ免許皆伝の「Terry-sh」なギターソロを聞かせてくれますよ♪♪~♪

ということで、このシングル盤を買ったのはリアルタイムではなかったんですが、テリーズは何か気になる存在として、私の心を占めています。ですからおそらくアルバムは出さなかった彼等の楽曲はシングル盤オンリーで集める他は無いわけですが、これが至難! 個人的には大好きな「ヨコハマ野郎」を探索中です。

ちなみにテリーズのライプに私が接したのは、前述した1回限りですが、正式デビューしてからは寺内タケシ&バニーズと同じ「テリーのテーマ」を使うことが許されていたそうですし、テレビで見た長瀬敏之は真っ赤なエレキギターを弾いていたカッコ良さが、今も忘れられません。

願わくばエレキインストのアルバムを残して欲しかったですねぇ~。

今日では、ほとんど忘れられた名手の長瀬敏之かもしれませんが、ぜひ、再評価を望みます。

コメント (12)
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