OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ドルフィーの熱い心意気

2009-01-14 11:52:07 | Jazz

Eric Dolphy Live At The Five Spot Vol.2 (Prestige)

人間、誰しも「ここ、一番」という時があると思います。

カッコつけて言わせていただければ、そこで生き様を見らせれれば、その人の人望は間違いないところでしょう。逆にスタンドプレーや腰抜けをやってしまえば、その後は……。

これは非常に難しい場面選択でもありますが、必要なのはピュアハートかもしれませんし、素直に生きることの難しさでもありましょうか。

そんな生き様に憧れていながら、それが出来ないサイケおやじにしても、しかし最近の国会での代議士先生達には呆れる他はありません。

大切な議決に自分の意見を堂々と表明出来ず、対席するのは愚の骨頂! 賛成出来ないならば、堂々と反対するべきじゃないでしょうかねぇ……。個人的には好きではない共産党が議場で立派に反対を表明しているあたりが、憎たらしいほどにスジの通った行動なので、本当に悔しい気分です。

だいたい民主党は自分達も参議院で強行採決をやっているくせに、与党を強行採決として糾弾非難なんか出来ないでしょう。全く説得力がありません。

これじゃ日本もダメになるばっかり!

せめて聴くものだけでもイノセントな情熱を求めたいと、本日はこれを出してきました。

それはご存じ、エリック・ドルフィーがブッカー・リトルと組んで出演したファイブスポットでの実況盤! 商業的な成功よりはジャズ者の心にしっかりと記憶され、何時聴いても感動してしまうビュアハートの演奏が収められていますが、この時のライブレコーディングは現在まで10テイクの存在が確認されており、そこから作られたアルバムでは、これが二番目に出たものです。

録音は1961年7月16日、メンバーはエリック・ドルフィー(bcl,fl)、ブッカー・リトル(tp)、マル・ウォルドロン(p)、リチャード・デイビス(b)、エド・ブラックウェル(ds) という伝説のクインテットです。

A-1 Aggression
 タイトルどおり、イケイケに激しい演奏で、まずはエド・ブラックウェルのドラミングがバンドをガンガンに煽っていますし、バスクラリネットで突進するエリック・ドルフィーと青春のやるせなさみたいなブッカー・リトルのトランペットが、ピアノとベースの抜群のサポートに支えられて熱いアドリブを展開するのですから、何度聴いても血が騒ぎます。
 特に十八番のマイナーフレーズをせつない情熱へと転化させるブッカー・リトルには、泣きそうになるほど感動するサイケおやじです。
 もちろんブリブリと咆哮して劇的なネクラ節を放出するエリック・ドルフィーのバスクラリネットは、オドロの雰囲気とヤケッパチな風情がジャストミート! デタラメをやっているようで、実は決してコードやスケールを無視していないところが、もう最高です。
 そしてリズム隊の強烈な自己主張! 執拗に同じフレーズを反復して山場を作るマル・ウォルドロンに対し、千変万化のペースワークで対抗するリチャード・デイビス、さらに芸術的なハイハットとスネアのコンビネーションが冴えまくりというエド・ブラックウェルのドラムスが、その場の空気をドロドロに熱くしているんですねぇ~~♪
 特に全力疾走するウォーキングベースのソロから ドラムスを中心としたソロチェンジ、そして白熱のドラムソロと続く大団円の緊張感と興奮度は異様とも思えるほどですから、本当にこの日のお客さんは幸せだと思います。

B-1 Like Someone In Love
 B面に移っては有名スタンダードを素材にした和みの演奏、と書きたいところなんですが、確かにそれはそのとおりながら、混濁したイントロとテーマのアンサンブルでは、流麗なブッカー・リトルに対して自分勝手なエリック・ドルフィーのフルートが憎めません。またリチャード・デイビスのアルコ弾きも、不思議と良い感じです。
 そしてピアノとドラムスを呼び込んでのアドリブパートでは、ミディアムテンポの強いビートが生み出され、エリック・ドルフィーが自在に空間を浮遊しつつ、独特の歌心を聞かせてくれますが、これが全く違和感の無い素晴らしさだと思います。
 さらに途中から絡みつつアドリブを引き継ぐブッカー・リトルも、新しめのフレーズを使いながら、決して伝統を蔑ろにしていないハートウォームな閃きがっ! 背後では怖いリズム隊がエグイ事をやらかしていますが、動じることのない姿勢の潔さ! そういう真摯な情熱は誰が何と言おうと、確かに存在していると思います。
 それとマル・ウォルドロンの個性的に変態したメロディフェイクも、妙にクセになるムードで、私は好きです。

ということで、全く個性の違う5人が集まって奇跡を作り出した名演だと思います。それはブレない姿勢と、お客さんに良い演奏を楽しんでもらおうという旗幟鮮明な態度があったからでしょう。もちろんジャズは個人芸でもありますから、自己満足は否定しませんが、やはりここで聞かれる情熱優先主義には好感が持てます。

そして当然ながら、このライブセッションもアルバムも、リアルタイムでは評論家の先生方からはボロクソだったと言われていますし、商業的な成功もありませんでした。しかし今日まで途切れることなく聴き継がれ、名演・名盤と成り得た伝説は不滅です。

国と国民の為に働く代議士先生には、こんなピュアハートはあるんでしょうか? 少なとも議決で自らの意思を表明出来ない者は恥を知ってもらいたいところです。

それと見ているこちらが恥ずかしくなるようなスタンドプレーを演じた与党の先生も、ねぇ……。言葉の使い方を知らない総理大臣も含めて、永田町にはこのアルバムが必要なんじゃないのかっ!?

なんて事を思っているサイケおやじは、まだまだ若いということで、ご理解願えれば幸いです。

コメント
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