日本の心・さいき

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原爆の悲劇を繰り返すこと勿れ(5)!   

2006-12-09 15:57:09 | Weblog
 当番兵である金山一等兵は、内務の成績が良く、私が第一線抜で一等兵にしたのである。真面目であった。同室の娘さんの面倒もよく看てくれた。私の個室は狭かった。机・椅子のある板の間は広かったが、寝る上段の畳は3枚だけで、私も負傷したので早く横になりたかった。3人の娘さん達は、「ここに居てもいいですか?」と聞いてきたので、「ハイどうぞ。」と言った。被爆者はお互い様である。生まれて初めて娘さんの横に休む次第である。残留部下が見舞いに来た。私は苦しいやら眠たいやら。
 隣の右兵舎・左の兵舎がバタバタしている。収容された被爆者がどんどん死んで行き、そして、死体置き場に運ばれて行く。次は私であろうか?横にいる3人の娘さんであろうか?衛生兵の話では、直前まで元気だった被爆者が、バタバタと死んでいると。恐ろしいことを言うな!30分前に会っていた松井中尉は死んだとのこと。「近本軍曹、お互いに死んではいかんぞ!」と言い合って、見舞いに行った直後の通報であった。「原子爆弾とは一体何物や?!」
 兵舎内の被爆者はバタバタと仏様になって行く。そして、死体置き場に運ばれて行く。次は私・・・、無になろう、このベッドの上で死にたくない。

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