日本の心・さいき

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原爆の悲劇を繰り返すこと勿れ(17)!

2006-12-22 07:13:46 | Weblog
 お互いに正座をし、おもむろに「美代子さんは、私の部屋で亡くなられ、遺骨として帰って来られませんので、せめてもの形見として、遺髪と胸に付けられておられた名札を持参致しました。」と言って、封筒の中よりそれを取り出して、お父さんに渡した。
 「美代子、帰って来たか!」 ワッと涙々である。
 美代子さんの生前の様子、亡くなる前の最後の言葉、遺体は似の島に送ったこと、私も負傷していたので、充分な手当が出来なかったことなどをお詫びした。
 「この名札は、美代子が胸に付けていたのに間違いはありません。美代子、よく近本様の胸に抱かれて帰って来てくれた。」「近本様、よくぞ美代子を連れて来られました。
 「いいえ、私の当然のことをしただけです。」
 前田さんのご家族にお別れする時が来た。横川駅より長崎行きの汽車に乗った。
 広島よ、色々な出来事があった。生死のことがあった。私の一生涯、決して忘れることは出来ない。
 被爆でお亡くなりになられた方々、静かにお眠り下さい。

(完)


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