3月6日、2020年日本アカデミー賞授賞式があった。日本アカデミー賞作品賞を藤井道人監督の「新聞記者」、主演女優賞をシム・ウンギョンさん、主演男優賞を松坂桃李さんが受賞した。
わたしは、昨年6月公開後すぐに見た。東京新聞の望月衣塑子さんの活動をモチーフないしモデルとした作品だ。安倍首相官邸の腐蝕ぶりを念頭に置いて創られた。映画では、加計学園とおぼしき医科大学新設を首相官邸が推進する、それをシム・ウンギョン演じる吉岡記者が追及取材する、それに絡むのが公安官僚の松坂桃李だ。現実政治でも、内閣情報調査室が、「読売新聞」とタッグを組んで、世紀の大謀略=前川喜平・前文部事務次官買春スキャンダルをでっちあげた。ちょうどのその前後、安倍首相と読売・渡辺恒雄の会食がくりかえされた。ねんごろに酒食を共にしながら、謀略の仕上げをしたのだろう。まさにそんな時期につくられた作品で、松坂桃李がよくぞ反逆を試みる内調官僚役を引き受けたなと、その心意気にわたしは拍手を送ったものだ。わたしは、シム・ウンギョンを知ったのは初めてだが、その演技、存在感に圧倒された。一度に好きになった。
アカデミー賞受賞おめでとう。再上映してほしい。