山上俊夫・日本と世界あちこち

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心の痛まない裁判官、日航首切り判決

2014年06月04日 09時22分38秒 | Weblog
 2010年末に日本航空が客室乗務員84人、パイロット81人を不当解雇したのに対し、解雇撤回・現職復帰を求めた裁判で、東京高裁・大竹たかし裁判長は、3日(2014・6・3)、解雇を認めた地裁判決を支持し、原告の控訴を棄却した。
 裁判長は、「会社を存続させるためには、人員削減が必要だった」「削減が遂行されないと会社として存続できなくなる。合理性が認められる解雇であればやむをえない」とのべた。
 だが原告側は、会社側の算定方法を使っても人員削減計画が超過達成していることを論証し、解雇の必要がなかったことを明らかにした。これに会社側は反論できなかった。にもかかわらず、判決は「解雇の時点で削減計画で予定された人員体制が既に達成されていたとまでは認められない」という。会社側が達成されていなかったと反論していないのに、勝手に会社をおもんぱかって追随ずる。不当に首を切られた労働者の気持ちや生活に思いを馳せることなく会社存続のために必要だという。日本航空は、解雇をやったあと、すぐに人が足りなくなって新たに採用をふやしていたではないか。しかも組合員を狙い撃ちにした不当労働行為だった。これについても裁判長は、「人選基準にも合理性があり、不当労働行為にあたるとは認められないという。
 人員削減が超過達成されていたと原告がいうのに対し、被告が反論しないなら、裁判長が公判でつっこむべきではないか。なのにあらかじめ示し合わせたかのように、原告の論証がなかったかのような扱いをする。常識では考えられない。裁判長は不当な判決を出しても、再び原告と合いまみえて批判を受けることなく、姿を隠すことができる。
 日本航空の会社更生という国家的な企業再建のためには、道理に合わない解雇も必要で、それを支えるのが国家権力の一翼を担う裁判所の役割だとの自覚のもとに出された判決だ。かの裁判長にとって判決は初めから決まっている。判決に批判がよせられても、そんな声に心を動かさない、タフで冷酷な人格がのぞましい裁判官だ。
 ここで思い出すのが、5月21日の関西電力大飯原発3、4号機再稼働差止め判決の福井地裁・樋口英明裁判長だ。人格権と電力供給の安定・コストとを同列に論じることはできないと、胸のすく判決を出した人だ。これまでの原発裁判もほとんどは、国家的エネルギー戦略に待ったをかける気迫も論理も欠いていた。人員削減が会社更生の不可欠の項目だとしても、退職続出で超過達成していたのだからそれでいいではないか。そこを明らかにすべきなのに、あえて裁判所として究明せずに、組合員を狙い撃ちにしたのも会社更生のために必要だったとにじり寄る。裁判長に心はあるのか。
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1 コメント

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同感です (yama)
2014-06-05 09:35:05
おっしゃる通りです。〝心ない〟この判決に心から憤りを覚えます。

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