黄昏どきを愉しむ

傘寿を過ぎた田舎爺さん 「脳」の体操に挑戦中!
まだまだ若くありたいと「老い」を楽しんでま~す

1枚の絵から広がる話題

2022-05-05 | 日記
 GWも後半戦
 今日は本棚の中央中段が本の重みでしなっているので
 本の配置換えを朝から進めていました。
 
  なかなか進みません…読んだ本なんですが、ちらりとページを
捲り思いだしたりして~
  なんとか、本の配置換えをし、全体を落ち着かせて終了。


その中の1冊に目が止まる。
 [The Modern]  
そう、ニューヨク近代美術館(MOMA)のことです。
原田マハの「絵」の短編 5編が掲載されたもの。
             
 
 思い出しました~ ページの最初から 日本でのあの衝撃的なニュース
 から、始まっていたのを…。

 現在、「ウクライナ問題」
   ロシアの人道無比の残虐行為~さらに原発チェルノブイリへの攻撃

 国内では、知床半島での遊覧船事故、以前として続く「コロナ禍」
「戦火」や「人災」「災害」が続く落ち着かない日々です。
  
本を開いて
 1番目のタイトル「中断された展覧会の記憶」
 2枚捲ると~あの衝撃的なニュースの一言から

本文より
  「キョウコ、ちょっと来てくれ。
    すごいことになってるよ」といきなりドアを開けて…

  「トウホクって、日本のどのあたりのことだい?」

  「なんなの? どうしたの?」

  「津波だよ。 地震と津波で、全部やられた」

   泣き笑いのような表情になって、
   ディルが答えた。

  離れらられなくなって…
            とうとう座り込んで読み始めた。

衝撃的なニュースとは
  2011.3.11 金曜日 2:46 三陸沖を震源地とする
  マグニチュード9.0 巨大地震が・・・・
     
 


 福島第一原子力発電所では世界最悪レベルの事故も発生…
                             

  ベッドから飛び出して、リビングへ駆け込んだ。
  テレビ画面から流れていたのは~濁流にのみ込まれる
   町の光景だった・・・・文字通り言葉を失って、杏子は夫と
  ともに画面を食い入るように見つめた。


 また、こんな朝があった‥‥
そうだ、10年前の9月11日。
キッチンで朝食で使った食器をいれていたときに、
遠くで雷鳴が轟くような鈍い爆発音がした。

奇妙なことに、身体中の産毛が逆立つような気色の悪い寒気が走った。
電源えおきったばかりのテレビをもう一度つけてみると…
 ちょうど二度目の飛行機が突っ込む瞬間だった。
       ワールドトレードセンターに。


 
 そうこの物語の冒頭は…こんな衝撃的なニュースで始まります。

ハッと思った。

 今、毎日のニュースに そう、ウクライナが、こんな画面だ!



    日々、この二人の顔を見ない日はない。   



 こうして書いている最中にも、かの地では…

    いつの日に 戦火は終わりを告げるのであろうか…。
            キーワードは? 5月9日とのニュースも。

さて、この物語の
主人公は杏子
 この頃、美術館に勤務しつつ、コロンビア大学で博士論文に挑戦中。
 30代のうちに博士号を取得したい…それが直近の野望。
 現在の美術館での「展覧会ディレクター」から
「学芸員」(キューレーター)への転向する可能性もゼロではない。と。

 夫ディル・ハワードはコマーシャル専門のカメラマンだった。


まず、この1枚の絵を記憶に入れておいてください。
  主役と言えば、まさにこの1枚の絵なんです。
 
         『クリスティーナの世界』


 
  アンドリュー・ワイエス (アメリカン・リアリズムの代表的画家)
         
  彼のデッサン力とテクニックは、20世紀美術の写実表現の系譜に大きな位置を占めているアメリカの国民的画家の1人。 91歳で没。

 「魔術的」と評される技法によって描かれた身近な風景や
 そこらに暮らす人々の日常は、まさにワイエス独自のものであり
 彼の作品jは「マジック・リアリズム」として今日まで多くの人々を
 惹きつけています。

     全米芸術勲章受章時のブッシュ大統領とワイエス 
            
 
 物語は、このワイエスの作品が…
 日本の「ふくしま近代美術館」(作品中の美術館名です。)で
 (おそらく現在の「福島県立美術館」を想定しているものと思います)
 

       

この「福島県立美術館」には、アメリカ近代美術の収集に力を入れており
ワイエスや、ベン・シャーンの作品も数点所蔵している。

日本には、ワイエス不安が多数おり、
本格的展覧会の開催に期待が高まっている。
そして彼らの多くは、ワイエスの代表作『クリスティーナの世界』を
ぜひとも目にしたいと切望しているのです。

開催されている「クリスティーナの世界」
美術館開館10周年の記念企画として「アンドリュー・ワイエスの世界」
展の目玉作品。

この東日本大震災のニュースは…

MOMAで緊急の理事会が開かれた。
議題はたったひとつ、『クリスティーナの世界』を、
フクシマから救出すること。
先ずは詳細な説明を求める。
また、たとえ損傷がなくとも即刻引き上げるべきだ。
なぜなら・・・
    「フクシマで原発が爆発したんだぞ」

ジェイク(MOMAの館長)は
「映像で見る限り、スリーマイル島のケースより
 事態は深刻じゃないのか。それなのに日本人は誰も逃げ出さない。
 誰の起こらず、声もあげない。電力会社も、日本政府も、
 誰も謝罪もしなければ、詳しい説明もない。
 まったくどうなってるんだ、日本って国は」

 ・・・すっかり黙り込んでしまった杏子に、
             館長は「ミッション」を告げた。

 行ってきてほしいんだ。私たちのクリスティーナを連れ戻しに
                フクシマまで。
 

  『クリスティーナの世界』 1948年作
    パネル/テンペラ画 81.9×121.3㎝
        ワイエスが31歳のとき制作した彼の代表作である。
制作された翌年、ニューヨーク近代美術館(MOMA)に買い上げられた。

ワイエスは、1917年、フィラデルフィア郊外に生まれた。
生涯、生まれ故郷と別荘のあるメーン州クッシング以外には
移動を好まず、ひたすらその周囲の風景や人物を描き続けた。

自宅と別荘の周辺以外に移動しなかった画家は、必然的に自らの周辺の
事物に注意深いまなざしを注ぐようになる。
極めてするどい観察眼と対象の本質を見抜く洞察力を身につけていた
ワイエスは、別荘の近くに住んでいた一人の女性を発見する。
 それが、クリスティーナ・オルソンだった。
クリスティーナは小児麻痺に罹り、足が不自由だった。
にもかかわらず、自分のことはすべて自分でやり抜いた。
常に前向きな彼女の生き方に、ワイエスは深い感銘を覚え、その結果、
世間からは「不憫な女性」とみなされていたクリスティーナは、
画家によって永遠の命を与えられることになる

 では、この絵をとっくりと眺めてみましょう‥‥

横長の画面を枯れた草原が一面に覆っている。
  どんよりとした曇り空だ。その空の下にポツンと建つ二軒の家。

 画面で見る者の目を奪うのは~やや左下寄りの中央に描かれた
 女性の後ろ姿だ。薄いピンク色のワンピースに包まれた細い体。
 両手は枯草の大地にしっかり食いこみ、いましも前進しようと
 力を込めている。       

    食い込んでいる… 爪が、このリアルさ!
        草の1本、1本 にも 
        

 か細い神を揺らして乾いた風が通り過ぎる。
        筆の繊細さ~
        

  過酷な重力に逆らい、懸命に進もうとするその後ろ姿。
   決して振り向かないその背中。
         まるで動いているかのような・・・ 

        
         彼女こそが、クリスティーナだ。
      

 東日本一帯には北東の風が吹き、曇り時々晴れの予報が出ていた。
 東北新幹線の車中、窓際の席に杏子は座っていた。

 その間、MOMAの館長と、ふくしま近代美術館の館長のあいだで
 メールと手紙で頻繁なやり取りがあり、その後、美術専門輸送業者の
 手配が完了した。
 すべての手筈が整った。
      クリスティーナを連れ戻すための手筈が


 さて、私が、この本を見つけたのは、
 「MOMA」だったからなのです。
 定年前、現職時代にアメリカ(ニューヨーク、ボストン、シカゴと
 2週間ほどの仕事の際に、このMOMAへ数度足を運び、名画に触れた
 感動の記憶をもう一度・・・・の思いがあったのです。

 現在、コロナ過で美術館へ足を延ばすこともままならぬ時期。
 こうして、本や、画面を通じ、アートに触れることの幸せを。

 ちょうどいい機会です。

 MOMAの中から、名画をご紹介しておきましょう。
       
 この本の表紙の絵は、パブロ・ピカソの「鏡の前の女」
             

 ゴッホ「星月夜」          マチス「ダンス」

    

ダリ (記憶の固執)      キリコ(愛の歌) 

  

ボロック(ワン:ナンバー31」  マグリット(恋人たち) 

 

             ピカソ
  (アヴィニオンの娘たち)      (アルルカン)
     

              ゲルニカ

 ルソー (夢)           シャガール(誕生日)
    

 セザンヌ (水浴)

          モネ (睡蓮) 

  アンディ・ウオーホル (キャンベル缶)

    

 もう、頭の中は「くるくる・・・めまいがしそうです」
  これほどの名画が~ いや、もう ほんとうに腹いっぱい。
 3日間通いましたよ~ じっくり、ゆっくり、飽きることなく。
 記憶に残る作品ばかりです、

  どの作品の1点でも、 美術館の企画展で展示されれば多くの
  美術フアンを魅了することはまちがいなしです。

 時間を経て、日本で再開した作品も数々あります。

 いずれの日にか、また、日本の美術館の企画展で再開することも。

 また、「福島県立美術館」収蔵の ワイエスの作品も・・・どうぞ。

            「そよ風」
  

        「松ぼっくり」
       

他にも名画として
        モネ=「ジヴェルニーの草原」
 
         
         ゴーギャン「ブルターニュの子供」


  物語は~杏子は・・・

 美術館で、放射線の線量を測り、数値を打ち込む・・・
 MOMAへ送る~  「確認しました。問題ありませんでした」

 では、これから作品を梱包、輸送車に積載し、成田へ向かいます。

   こうして、「名画」は、無事、MOMAへ帰っていきました。
 
  
 

  奇しくも・・・MOMAにあるピカソの「ゲルニカ」は
       
   ピカソが渾身の力を振り絞り、「戦争反対!」
   反戦の証として描きあげた作品。
       


 いまも  この時間  ウクライナでは…
  
      

 



  < いくさをしかけることは、けっきょく、
         じぶんの国をほろぼすようなはめになる>
                   憲法学者の浅井清の言葉・・・
       
  現在の、ロシアの人々に浸透していたら世界は穏やかな
     この5月を迎えていたのではないでしょうか。
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続 黄昏どきを愉しむ

 傘寿を超すと「人生の壁」を超えた。  でも、脳も体もまだいけそう~  もう少し、世間の仲間から抜け出すのを待とう。  指先の運動と、脳の体操のために「ブログ」が友となってエネルギの補給としたい。