徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「トレヴィの泉で二度目の恋を」―ある出会いから再び人生が輝き始める時―

2015-03-18 12:00:00 | 映画



「アパートの鍵貸します」で世界を虜にした、シャーリーマクレーン主演の最新作である。
共演は「サウンド・オブ・ミュージック」クリストファー・プラマーだ。
そして、 「イル・ポスティーノ」で世界中の映画ファンの涙を誘ったといわれる、マイケル・ラドフォード監督が高齢者のラブロマンスを撮った。

1934年生まれのシャーリー・マクレーン、1929年生まれのクリストファー・プラマーの二人はいまなお健在で、シャーリーについては映画デビュー60周年という記念作品だ。
ベテラン俳優二人による、ユーモアもたっぷりの熟年ラブストーリーだ。










息子夫婦と別れて暮らすエルサ(シャーリー・マクレーン)が住むアパートの隣室に、娘の薦めもあって80歳のフレッド(クリストファー・プラマー)が越してきた。

フレッドは妻を亡くしたばかりで、かなりの頑固者だが、このところ生きる気力を失っていた。
おしゃべり好きなエルサと知り合い、二人は次第に惹かれ合っていく。
そのエルサには、空想と現実をごちゃまぜにして話をする癖があり、フレッドは困惑するばかりだ。

だが付き合っていくうちに、フレッドはエルサの重大な秘密を知り、彼女の夢をかなえる決意を固める。
その夢というのは、フェデリコ・フェリーニ監督の名画「甘い生活」のある場面を、ローマで再現するというものだった。
次から次と、嘘か誠かわからぬような話をするエルサに振り回されながらも、人生を愉しんでいこうとするフレッドだったが、エルサが病に侵されていることを知って・・・。

無愛想で無口な男と、夢を忘れない虚言癖の陽気な女と・・・、プラマーマクレーンという最高のキャスティングと味わい深いウィットの富んだ会話が、いかにも微笑ましい。
エルサの虚言癖がこのドラマの薬味となっていて、人生のたそがれに恋の輝きを灯すのだ。
フェリーニ名作「甘い生活」を思い出させる。

80歳を超えた二人の名優のアンサンブルに、ローマの美しい景色が彩りを添える。
幾つになっても、人生を謳歌するのは自分次第、年齢など関係ないと勇気をくれる作品だ。
劇中では、フェリーニ監督傑作「甘い生活」にオマージュを捧げ、その名シーンがたびたび登場するローマの観光名所も興味深い。
マイケル・ラドフォード監督アメリカ映画「トレヴィの泉で二度目の恋を」は、二人のキャラクターの関係を面白く描いて、「年を重ねて再び恋を見つける」というコンセプトは、年齢に関係なくロマンティックでよろしい。
まあ、ストーリーは月並みだけれど、温かなラブストーリーだ。
人間関係、家族関係、男女の愛情は時代を問わないのだ。
さて、年を重ねる男女が恋に落ちる物語に、どこまで共感できるだろうか。
少年少女のように可愛らしく老いるというのも、なかなかいいことのようで・・・。
しかしそれも、あくまでそうできればの話である。
     [JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点