徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「バーレスク」―大人の夜の社交場―

2011-01-02 10:00:05 | 映画


   
    明けましておめでとうございます。
   今年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

   さて、この映画のタイトル「バーレスク」は、大人のためのセクシーな社交場という触れ込みだ。
   厳密な意味では、「滑稽」が語源だそうで、19世紀イギリスのミュージックホールでのショーが原点だといわれる。
   作品には、歌とダンスと物語(?)がある。
   スティーブ・アンティン監督アメリカ映画「バーレスク」は、クラブの再生にかけた女たちのステージだ。






田舎娘のアリ(クリスティーナ・アギレラ)は、その美しい歌声を武器に、スターを夢見て単身ロサンゼルスへやって来た。
そこで、彼女の心を奪ったのは、経営不振にあえぎながらも、セクシーなダンサーたちが、ゴージャスで、しかもどこか淫靡なショーを繰り広げる、大人のエンターテインメントクラブ“バーレスク”だった。

クラブ経営者のテス(シェール)からウェイトレスの仕事をもらい、アリはひそかに舞台へ上がるチャンスを狙うのだった。
生き残りをかけて必死のテスと舞台監督のショーン(スタンリー・トゥッチ)は、アリの歌唱力とダンスの才能を見抜き、次世代のスターとして売り出した。
母を幼くして亡くした孤独なアリだが、彼女はこのバーレスクで、テスを母、ジョージア(ジュリアン・ハフ)らダンサー仲間を姉とし、ただひとり主役ダンサーだったニッキ(クリスティン・ベル)の嫉妬を買うものの、女性として、ショーガールとして輝き始める。
唯一の気がかりは、ルームメイトで、バーテンダーのジャック(キャム・ギガンデッド)の存在だった。
彼は、フィアンセがいる身で、お互いの思いを胸に秘めたまま、二人の仲は進展しないでいた。

そんなある日、アリのステージに魅了された大物エージェント・マーカス(エリック・デイン)から、アリは引き抜きの誘いを受ける。
彼女は、バーレスク存亡の危機を救うか、自分の夢をさらにステップアップさせるか、自ら選択すべき岐路に立たされていた・・・。

シンデレラになりたかった少女が、華やかな都会でつかんだ本当の夢は何だったか。
映画は、内側からみなぎるエネルギッシュな生命力を感じさせる。
ダンサーたちも輝き、生き生きとしている。
田舎出の一人の女性が、このありえないほどの豪華絢爛の舞台で、バーレスクの観客を魅了する。
ひとりの少女の夢がかなうことで、周囲のだれもが幸せになり、そして元気になる。

華やかなメイク、ぎりぎりのエロス、カラフルな衣装、それらすべての“ファッション”が、男性にとっても、女性にとっても、憧れの女性像であるかのようだ。
それは、あくまでも見せないで“魅せる”チラリズムで、それこそが、アメリカ映画「バーレスク」のダンスの特徴だ。
そう、登場する女たちは、どこまでもたくましく、繊細で、セクシーで・・・。

ショーは華やかなもの、人生を素晴らしいと思わせなくてはいけない。
歌もいい。ダンスもいい。
だから、要するにイキがいいのだ。
大変残念なこともある。
イキのいい女たちの“物語(ストーリー)”が語られていないことだ。
ドラマ(物語)としては、この映画は貧弱だ。
物語性がなく、その目線で観ると、なあんだということになる。
「音楽」と「ダンス」が、大きなカギを握っていることを考えれば、これはこれでよいのかも・・・。
少なくとも、萎えてしょぼくれた男たちには、いくばくかの元気を与えてくれるかもしれない。