湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

自転車で旅をする少年少女たち

2006年04月02日 | 自転車生活
激しい風雨がアパートの窓を打ち付けている。これで満開の桜もだいぶ散ってしまうだろう。こういう日はもちろん部屋にいるに限る。もっともこんな日にわざわざ自転車に乗っている人間なんてそうそういないだろうが・・・。

とそんなことを考えていて、ふと一昨日の大観山ツーリングのときに擦れ違った二組の若いサイクリストたちのことを思い出した。それぞれちょうど中学3年生くらいのグループで、一組は男子4人組、もう一組は女子3人組というメンバーで横浜方面に向かって走っていた。

この二組のサイクリストたちは全然違う時間に見かけたので、お互いまったく無関係なのだろうけれども、そのいでだちは驚くほど似通っていた。服装は普段着、自転車はギア付のママチャリのようなもの、そして前についているスチールのカゴと後の荷台に不恰好に荷物を積んでいる。後の荷台の荷物はかなりの量で、ぐるぐる巻きにされた大き目のマットも積まれていたので、もしかしたらキャンプをしながら自転車旅行をしているのかもしれない。

彼らはあまり走っていても面白くないだろうと思われる国道1号線を無表情にペダルを漕いでいた。とくに楽しそうにも見えなかったし、つらそうにも見えなかった。ただ淡々とペダルを踏んでいるように見えた。うまく説明できないけれども、僕はそんな彼らの姿に無性に心を打たれた。

中学の卒業旅行として、彼らは自転車で旅をしているのではないかと僕は思った。とにかく自分たちの力だけで遠くに行ってみたい、冒険のようなことをしてみたい、そんなことを彼らは考えたのではないか。それでいわゆるスポーツ車など持っていないのに、普段乗っている自転車でとにかく旅をしてみようと思ったのだろう。そうした行為はどんなに高価な自転車に乗っていることよりも格好良いと僕は思う。

この春休みを利用して、今日のような日もそんな若者たちがもしかしたら自転車で走っているかもしれない。今もしかしたら彼らはどこかでずぶぬれになって、心細い気持ちで途方にくれているかもしれない。あるいは今頃ようやくYHかなにかに着いて温かい風呂に入ってほっとしているかもしれない。いずれにせよ、そうした彼らの旅が無事にすすめば良いと思う。そしてもし本当に困ったりすることがあったときには、どこかの誰かが好意の手を差し伸べてくれればなどと少し思っている。