山の記憶 (百名山・二百名山・三百名山)

山スキー、その他の山行もあります。

百名山の記録 常念岳(徳本峠~霞沢岳~常念岳~槍ヶ岳縦走)

2015年01月27日 | 日本百名山

 2008年10月9日(木)

 松本電鉄新島々駅を野麦街道沿いに少し行くと島々に着く。ここが徳本(とくごう)峠への入り口になる。以前は皆、ここから徳本峠を越えて上高地に入った。誰しも一度は歩いてみたい歴史の詰まったルートだ

                              車は、島々の集落を少し入った辺りまででした。道路工事中。    

                               

 片隅に車を置かせてもらってスタートしたのが、12時45分。空は曇り加減。案内所で、今から徳本峠までは無理だと言われていたので途中でテントを張るつもりでした。平坦な道を歩くこと1時間30分、二股に到着。

            

 いよいよ山道に入るといった感じだが道はしっかりとしている。ただ、河沿いの道なので、災害で不通となることもあるらしい。

 16時15分、岩魚留小屋に着く。ここまでは特に問題なく歩けた。最初の考えではここにテントを張るつもりでした。しかし、沢の音は激しく、小屋は無人でガランとしていてあまり良い気分ではない。暗くなるのを覚悟して徳本峠まで行くことにした。岩魚留小屋は、掘っ立て小屋をすこし良くしたような感じの小屋でした。 

           

  暗くなるのは覚悟のうえだが、沢からは早く離れたいので急ぐ。いくつか川を渡るが、暗くなれば足下がおぼつかなくなるだろう。ヘッドランプを頼りに危なっかしい橋を渡るのもイヤだ。     

           

 秋の深まりは、紅葉を際立たせ、季節の移ろいの中に一抹の寂しさを感じさせます。感傷に浸る間等はなくてとにかく先を急ぐ。

           

 それでも、明るいうちに沢音を下に聞くことができるようじなりホットしたが、間もなく暗闇が。ヘッドランプの明かりを頼りに最後の登りにかかる。前方になにやら白いものが現れてギョッとしたが、それは大きな石でした。暗闇にも慣れてきた頃、振り返るとお月様が雲間から顔をだした。

                    雲の峰 いくつ崩れて 月の山  (芭蕉

 雲に見え隠れする月を見ながら、芭蕉の句を思い出した。この句は、芭蕉一行が月山に登った時に作ったもの。解説には、昼の入道雲と月山の情景を詠んだものとされているが、私は、この句は夜の月と雲の関係を月山という山に掛けて詠んだものではないのかと思う。まあ、山の中で一人雲間の月を見ていればそんな風に感じざるを得ないのかもしれないが。

 ついでのことに、「奥の細道月山・湯殿山」の章を引っ張り出してみます。

「八日、月山にのぼる。木綿(きふ)しめ身に引かけ、強力と云ものに道びかれて、雲霧山気の中に、氷雪を踏みてのぼる事八里、更に日月行道の雲関にいるとあやしまれ、息絶え身こごえて頂上にいたれば、日没して月顕(あらわ)る。笹をしき、篠を枕として、臥して明を待。日出て雲消えれば、湯殿に下る。」

 急に頭上から人の声がした。どうも峠に到着したらしい。 18時25分、徳本峠着。

 峠にはテントが2張り。小屋でビールを買い、テント代を払う。月が綺麗なので小屋の客が外に出てきて騒いでいたらしい。早々にテントを張って休む。