さんざんな目にあった余市岳だったが、次の山、ニセコアンヌプリに向かう。この山も南西斜面が、一大スキーリゾートとなってしまっている。近年、スキー仲間の鈴木さんと昆布温泉のホテルに泊まりニセコスキーを楽しんだが、あのとき、リフトを利用して頂上を目指すパーティーがいた。そんなことを思い出しながらニセコパノラマラインを走る。国民宿舎雪秩父という変わった名前の温泉に入る。古びた宿舎だが露天風呂がよかった。汗をながした後、登山口まで移動する。
五色温泉郷 左のホテルの上に登山口と駐車場が
登山口は、五色温泉郷にあるのでここの温泉に入ってもよかった。霧が出始めて何とも言えない雰囲気となる。整備された駐車場とテント場があり、車が1台停まっていた。その横で、若者が一人でホルモンを焼いていた。自分も、これからコンロ持参としようか。
近くのホテルから、カラオケの歌声が・・・。周囲は霧。山は見えない。今日も一日が静かに暮れていく。明日の天気はどうなるだろう。
7月6日。晴れ~曇り。ニセコアンヌプリ 1308m
早朝晴れ上がっていたのでしめたと思ったが、徐々に雲が出始めて来る。夜明けと同時に登っていたら良かったと、反省する。6時45分スタート。登山靴は濡れているので、今日はズックで歩く。ザックはナップサックとして雨具と水、それに簡単な行動食。登るにつれてガスって来る。
頂上小屋が見えてくる
8時頂上着。眼前に見えるはずの羊蹄山の勇姿はなく、霧と静寂が。誰もいない頂上で、なぜか久しぶりにゆったりした気持ちになる。「すべての頂には安らぎがある」とは、誰かさんの言葉だが、今日は素直にそんな気分になった。
頂上です
下山後、すぐ下のホテルで入浴。すっきりしてから次の山、狩場山へと向かう。狩場山へは、道の駅「よってけ島牧」の道路を隔てた反対側の道を山手に入ればいい。
途中に温泉あり。また、日本100名瀑、賀老の滝がありその入り口に広い駐車場とトイレがある。
滝はあまり関心ないが行って見る。まあまあの滝などといえば失礼かな?。遊歩道が整備されているので誰でも楽くに歩けるのはよい。滝見物の後、自動車に帰ったが、駐車場に入った途端、ブヨの大群に襲われる。足が黒くなるほどの群れだ。靴下を履いていなかったのが失敗の元。虫除けスプレーを出す間もなく数カ所刺される。かゆいのなんの。気が狂いそう。かゆみ止めの薬を塖りたくる。この季節、山で肌を出すのは良くないと改めて実感する。
狩場山の登山口を確かめて、道の駅まで引き返す。夜をこの駅の駐車場で過ごすことにする。蚊やブヨがいなくて安心。夕暮れの海岸を歩く。塩の香と海風。繰り返す波と広がる海原。ハマナスとハマヒルガオが美しい。
ここは日本海。これで、太平洋、オホーツク海と3大洋をまわったたことになる。
車に帰ると明日登る山に霧がかかり始めていた。
明日登る 山に夕霧 海にはまなす
道の駅の駐車場には、いろいろな地方の車が止まる。めずらしいことに、島根県の方から話しかけられた。驚いたのは、松江市西川津町とのこと。我が家の近くではないか?夫婦で車旅行。北海道へはよく来られるそうだ。車旅行になれた方は、ひと月やふた月は平気で過ごされるようだ。
7日、早めに登山口へ移動する。しかし、もうすでに2台の車が。単独の男性と、年配のご夫婦が話し中。間もなく二組とも山へ入って行かれた。
彼らに遅れること20分。いざスタートと思った瞬間。腰に着けたクマ避けスプレーが暴発。飛沫が体にかかる。このスプレーの恐ろしさはよく知っているので、一瞬恐怖が走る。シャツを脱いで濡れタオルで体を拭く。とりあえずの処置だ。シャワーでも浴びればいいのだが・・・。引き返そうかとも思ったが服を着替えて登ることにする。道は木々におおわれ日差しはない。一合目、二合目と登るうちにスプレーのかかった辺りがヒリヒリと痛みだす。我慢するより仕方がないのだが、自分の馬鹿さ加減に腹がたってしょうがない。何でこうなるのと、思いながら登る。
頂上はまだ見えない 左奥が頂上です
6時40分にスタートして、9時40分頂上着。
先行3名が休んでおられたがご夫婦の方は間もなく下山。単独行の方に大千軒岳の様子を聞く。クマ騒ぎのため単独での登山は危ないと警察の方に諭されたとのこと。登山道にクマの糞が散らばっていたとのことなどを聞く。登山口は、松前の方がいいらしい。男性も下山をはじめたので一人になる。
花の時期は終わって イワイチョウの群落
この山も、花の時期は終わったらしく期待していたお花畑もひっそりとして何だか秋のような雰囲気が漂う。これから夏を迎えるというのに。
イワイチョウ フギレオオバキスミレ
シラネアオイ ミヤマキンポウゲとシナノキンバエ
これはくまの糞です
千走川温泉で体を洗い松前町へ向かう。途中、江差町の江差追分会館を見学する。民謡で有名な江差の町も、かっては鰊漁で賑わった町だ。江差追分は、北前船などを通して全国各地に広まったようだが、民謡の追分の原点が、長野県の山奥だったとは・・・。長野県の地図を見ると浅間山と上信越自動車の間あたりに「追分」という地名がある。元は馬子唄か木こり歌か知らないが、とにく水が海に流れ込むようにして広まっていったらしい。
夕方、道の駅「北前船松前」に着く。海に面した道の駅で、すぐ近くに松前城が見える。明日、ここから大千軒岳に向かうことにする。
8日、及部川沿いに進む。途中から舗装も切れるが道はしっかりしている。しかしいつまで経っても登山口に着かない。クマの糞を見る。やっと登山口に着いたがここは旧登山口とあった。登山口にあるボックスの登山届けを見るに誰も記入していない。ここから登る人はいないようだ。なおも進むと、やっと登山口。駐車場もある。 準備を済ませスタートは7時。
クマ避けの鈴、笛それにスプレーは、北海道の山では必需品。ただし、スプレーを持った人は見かけない。昨日、狩場岳でクマ避けスプレーは高価なので、虫除けスプレーを持っていた人がいたと聞いた。
登るにつれて道も細くなり、朝露で靴とズボンの裾がびっしょりと濡れる。見晴らしのよさそうな尾根に着くが雲が多く遠くは見えない。しばらく行くと、クマの糞。はじめはポタポタで、最後は山盛り。笛を吹きながら歩く。
8時10分頂上に立つ。ほぼ同時に、反対側から単独の男性が。千軒から4時間掛かったとのこと。
イブキトラノオの咲く頂上
松前口はゲートが閉まっていたそうだ。昨日の午後の話なのだろう。せっかくの頂上も、視界がない。単独の男性は、写真も撮らずすぐに下山された。最近晴天が続かない。頂上からの眺望に恵まれないのは残念だ。9時10分、駐車場着。眠くなるほど長い林道を、松前まで帰る。
この日は、松前城を見学。下界は意外と好天。
松前城は海の城 カモメ飛び交う
松前城にあった歳三の写真
これで今回の北海道山行は終わった。カムイエクウチカウシ、神威岳、ペテガリ岳は、もっと天気が安定する8月頃に再挑戦しよう。
この日は、函館に寄り、五稜郭を見学。立待岬で、啄木の墓にまいる。夜は、道の駅「なとわ・えさん」に車を停める。津軽海峡を隔てて、かすかに見えるのは大間の港か。
啄木の墓カら函館を望む
9日。今日は苫小牧港から帰松。時間的な余裕があるので昭和新山と洞爺湖を見物。店屋の主人が、昭和新山には登ることができると言っていたが、本当だろうか?。
昭和新山 洞爺湖