2010年6月26日夕刻、小樽港着。いつものように札樽自動車道に車を走らせる。明日登る山は、ニセイカウシュッペ山1883mで300名山の一つ。
砂川SAで夜を明かし、翌27日早朝、登山口へ。燃料を気にしながら走る。昨日、小樽で給油しとけば良かったのだが、高速のSAで給油できると思ったのが間違い。北海道のSAは閉まるのが早いのだ。(このことは知っておいた方がよい) 登山口は上川町から網走方面に少し行った国道273号線から林道に入るが、途中ゲートの鍵を開けなければならない。ナンバー式の施錠があり、事前に上川中部森林管理所上川事務所(0165-2-2001)にナンバーを聞いていたのだが、先行者が開けていてくれた。(北海道の林道にはよくゲートがあり、施錠してあることが多いので要注意) 登山口にある駐車場には車が数台。誰も出発した後だ。急いで準備をして、7時30分スタート。
晴れてはいるが幾分雲もある。道ははっきりしているし、途中途中に標識がありルンルン気分で歩けるのがいい。9時過ぎ、もう下山してくる人がいた。単独の女性。たいしたものだと感心する。 稜線から雪を頂いた大雪の山々が見える。
この辺りから、高山植物がチラホラ顔を出す。進行左手にニセイの頂上が見える。もうしばらくの辛抱だ。先に登った人たちの姿も見えてくる。 行く手に大槍が立ちはだかるように迫ってくるが、道はこの腹を巻くことになる。
9時40分、頂上着。高曇りだがよしとしなければいけないだろう。大学生らしき若者3名と出会う。どこやらの方へ縦走するそうだ。
ハクサンイチゲ ウコンウツギ チングルマ
写真を撮りながら下山。11時50分駐車場まで下りる。先に登った人たちが帰りの準備をしていた。帯広の山の会のメンバーとのこと。この方たちとは、層雲峡温泉で再び出会うことになった。 給油のランプのともり始めた車でスタンドをさがす。冷や汗をかきながら何とかセーフ。給油を済ませ温泉に向かう。先ほどの帯広のメンバーと出会い、山の話をする。
今回のメイン、カムイエクウチカウシ山(カムエク)、神威岳、ペテガリ岳についての朗報はない。沢、クマ、ゲートの鍵などいろいろ困難が予想されるようだ。それに、明日からの天気模様は良くない。 今夜の宿は、しほろ温泉(道の駅)とする。昨年利用した温泉です。今日2度目の温泉につかり夕食をとる。疲れていたので早々に車に入る。
28日、天気の心配もあるのだが、とにかくカムエク登山口まで下見がてらに行くことにする。帯広市を過ぎ、道の駅「なかさつない」で休憩。途中で洗濯をすませる。昨年やはり下見がてらにやってきところなので気分的には余裕がある。地方道111号線をどんどん進む。北海道い真っ直ぐな道が続く。札内川園地やピヨウタンの滝を横目に進むとゲートにぶつかる。車はここまでしか入らない。車を停めて七の沢まで歩いてみる。
七の沢出会い
札内川ヒュッテ(ゲートのだいぶん手前)
以前は、この七の沢まで車が入ったそうだ。巨大な蕗の中からクマでも出てきそうな雰囲気。川の音を聞きながら歩くこと1時間20分。やっと七の沢出会いに着く。カムエクの登山はここから始まる。周りの様子を確かめて帰る。車まで引き返す途中、釣り師に出会う。釣果はなかったそうだ。彼もクマよけの鈴と笛をぶらさげていた。山は、天気さえ続けば明日にも登ろうと思っていたが、無理は禁物。なにせ一泊か二泊を覚悟しないといけないから2日間の晴れ間がほしい。 気分転換に襟裳岬を見物に行く。
岬が見えてきた
島倉千代子と森進一の歌碑
日高山脈は海の中に消える
明日29日、大学時代の友人落合君とアポイ岳のキャンプ場で落ち合うこととした。アポイ岳は、200名山でも300名山でもないが、花の種類が豊富な山として有名です。麓のキャンプ場はよく整備され、すぐ近くに温泉もあります。今日と明日は、ここにテントを張って旧友と一杯です。
アポイ岳遠景
29日曇り。落合君が来るまでにアポイ岳を登っておこうと朝6時キャンプ場をスタートする。登山口には、相変わらず熊注意の看板。
クマ避けの鐘
標高の低い山だと馬鹿にしていたが意外にきつい。それでも、8時15分頂上着。遙かに襟裳岬がかすむ。花の時期はもう過ぎていたけど、いくらか残り花を見ることができた。
頂上への尾根 振り返って
頂 上
アポイアズマギク エゾコウゾリナ
エゾルリソウ キンロバイ
12時テント場まで帰り、アポイ山荘の温泉へ。風呂上がりに、ビールの大ジョッキを飲んだら飲み過ぎのせいか気分が悪くなった。テント場に帰ると、落合君がライダー用のテントを張っているところだった。夕刻アポイ山荘で食事。
30日、天気は下り坂。雨がぱらつきそうなので早々にテントをたたむ。山はあきらめ岬巡りと決める。落合君と別れて霧多布岬へ。名前の通り霧多布岬は霧の中だった。岬の下は太平洋。波の音が聞こえた。
途中、あやめが原を見物したりしながら道の駅「スワン44ねむろ」に着く。雨降る。
7月1日。今日も天気は良くないらしい。朝から雲が多い。春国岱という湖・湿地帯を見物して納沙布岬へ。天気が良ければ北方の島々が見えるのだが残念。ゆでたての花咲ガニを喰う。一匹三千円近くしたが美味かった。
この頃より雨が降り始める。自転車で旅行している若者を見かける。確か昨日泊まった道の駅でも見かけたが、雨の中さぞ大変だろう。
知床半島は、100名山の羅臼岳登山以来となるが、斜里町側しか知らなかったので今回は羅臼側を見物する。道の駅「知床・らうす」で時鮭定食を食う。分厚い鮭の切り身が焼いてあった。道の駅には、北方の海の幸がどっさり。特に、花咲カニがひときは目を引く。天然風呂「熊の湯」で汗を流し、知床半島の果てを見に行く。車道は途中まで。そこから先は歩きとなるが、もう一般人の行くところではない。まさに冒険の世界。半島の突端まで一日はかかりそうだ。時々冒険者がいるようだが、しっかりした準備が必要だろう。山や崖を巻いたり、時には泳いだりしなければいけないとのこと。クマに出くわすことも多いという。しかし、魅力的だ。機会があれば歩いてみたい。
びっくりするほど簡素な温泉
前はオホーツク
車はここまで
夜は、知床峠の駐車場で泊まる。相変わらず霧。眼下に広がる素晴らしい景観もなにもあったものではない。漁り火でも見えないものかと目をこらしたが、すべては霧の中。あきらめて静かにやすむ。
2日。斜里町の博物館を見学して、一路宗谷岬を目指す。途中、海岸線に群れ咲く美しい風景を見る。原生花園だ。夕刻、道の駅「さるふつ公園」に着く。朝に知床峠を出発して、夕刻猿払。途中休憩などもあったが、一日の移動距離はこんなものか。道の駅には、キャンプ場もありよく整備されている。温泉も食堂もある。キャンパー用のトイレが素晴らしくきれいなのにはおどろかされる。今夜は、テント泊。
3日。天気は幾分回復してきた。宗谷岬につく。最果ての地だが、観光ずだれをした感がある。間宮林蔵の像と歌碑「宗谷岬」があった。歌碑に近づくと歌声が・・・。ただし、ダ・カーポのものではなかった。野寒布岬に寄ってから近くの温泉に入り、今日もひたすら車を走らす。天気も回復してきたようなので明日は山に帰ろう。余市岳が近い。近いと言ってもかなりの距離。道の駅「おびら鰊番屋」で鰊定食を食う。なかなかのものだった。「番屋」を見学する。海岸縁に銅像があるので行って見たら松浦武四郎のもの。この人も大変な人物だ。留萌で洗濯をする。コインランドがみつからず苦労する。若い頃、駅前の寿司屋で一杯やったことがあったので行って見たら、寿司やではなくなり食堂になっていた。夕暮れ迫る中、道央自動車道に入り岩見沢SAで夜を迎える。
4日。今日は余市岳登山。余市岳の麓にはスキーリゾート「キロロ」がある。登山口へは、ホテルの横の車道から入るのだが、ゲートがしまっているのでここから歩くことになる。
なぜか蚊が多い。早々と下山者に会う。この人、頭からすっぽりと蚊避けの網をかぶっていた。事情をよく知った人なのだろう。1時間ほどで登山口へ。ここから山道に入る。近くにリフトもあるが、今は休み。
この頃から雷鳴を聞く。またも天気は下り坂のようだ。あえぎながら尾根に出て新道と交差する。新道は、途中までリフトを利用するらしい(?)。彼方にリフトの終点が見える。
頂上とまちがえそうです
11時40分頂上着。新道から登ってきたらしい団体さんが食事中。
相変わらず蚊がいるので簡単なエネルギー補給の後下山とする。新道との分かれ辺りから雨が降る。間もなく本降りとなり、道が小川のようになる。おかげで蚊はいなくなったがものすごい雨。雨と汗でびしょ濡れになりながら必死で下る。谷川沿いの登山道が水に沈みそうで心配。やっと谷川まで下りる。水は濁り、水量も増えてはいるがまだセーフ。山手側から小川のように水が落ちて来るのを避けながら何とか登山口まで下り、山小屋の下で雨宿り。間もなく雨も小降りとなる。濡れた靴下を絞っていたら、また蚊が出始める。13時30分下山。雨はすっかり止んで青空。 蚊と雨の余市岳だった。