暘州通信

日本の山車

●139 高山市の不正 新飛騨食肉センター問題(1)

2006年01月05日 | 高山市の不正
 地元住民との対話もほとんど行わず、高山市が一方的、強引に進めた建設計画は、ここに至っていままで無関心ともいえた市民の間からも強い見直し論が出てきた。その事情はこうだ。
 市場評価の高い「飛騨牛」だが、ミート処理施設が稼動をはじめると、日に約二百頭の処理が行われ、年間七千頭ほどの肉牛が加工される見込みである。だが、高山市の畜産農家に占める割合は年々減少してゆく傾向がつづき、肝心の生産農家は、大野郡、吉城郡に生産が移行してゆく。
 しかし、生産者の高齢化と後継者不足、飼料や設備費、人件費の高騰に加え、他府県や海外からの廉い肉牛に押されて、生産コストが原価割れに追い込まれるケースも多々生じるのでは、と心配されている。大野郡、吉城郡もやはり生産量は減少してゆくと見られている。
一方で、飛騨処理牛は高級和牛として需要は増加するものの、飛騨では飼育されず生牛で流通される飛騨処理牛も、ブランド性の高い「飛騨牛」として市場に出回ることになる。これらは当然品質がいちじるしく劣るから、これを「飛騨牛」として出荷を続ければイメージ・ダウンとなるのは必至である。
 地元生産牛が減少し、他県牛が反比例的に増加するのは趨勢と見られているが、この加工コストは扱い量に正比例して上昇してゆく。
 試算によると、長引く不況で、家庭など消費者の需要は低価額の輸入牛や、加工製品に傾いており、高級店向けの市場は価額の引き下げ要求が強く、きびしい戦いが続いている。
 現在のまま稼動がはじまると、年間三千から五千万円位の赤字がでることが予想され、はたしてこれで収まるか疑問視する声が出ている。
 行政の経営という、構造的に効率悪いお役所経営では、仮に一〇年間稼働したとして、累積赤字は膨らむ一方で、高山市は借入金利息を含め七から一〇億円累積債務を抱えることになる。
 そのときには、いま強引に計画を進めた高山市長や農林部長は居なくなっており、後継者と、高山市民がその不始末と借金の整理をしなければならなくなる。
 いくら合理化を進めても、赤字のスタートは避けられそうにない。
 事情に明るい某氏の試算によると、「いまここで大英断をもって計画を中止し、建設会社に違約損害金を支払っても、せいぜい二億円までで済むだろう」という。
 畜産農家は大野郡、吉城郡に多い。道路網の整備がすすみ流通機構ではなんら高山市と遜色がないからいずれ自前の処理施設を保有することになれば、高山市の処理施設は次第にジリ貧となる。
 いずれ無用の長物となり、廃止というような時期が庫内とも限らない。

高山市十万都市構想

 高山市の発展を論じるとき、まず高山市が行き詰まるのは「水不足の問題」これは近い将来避けて通れない深刻な問題となる。
このとき良質でコストの安い水資源を考えるとき立地条件として考えられるのが川上川、新宮、八日町は、水源と水処理の両方をあわせもつもっとも適した立地条件を備えている。

計画を白紙にもどし、立地条件の見直しを!
 
 肉牛の生産から流通までを合理的に考え、未来像を模索するとき、高山市内に処理場を作る発想がいかに愚かな事業であるかは論をまたない。
 子牛市場の開設から肉牛の加工、出荷まで立地条件から流通にいたるまでを総合的に判断するとき、また、飛騨地区の畜産業者と飼育状況を見てみれば、新宮でなければならない理由はまったく見あたらない。
 大野郡、吉城郡、益田郡の飛騨川、高原川、庄川、馬瀬川などの河川下流域にある、過疎地域から再考しなおす余地はないのだろうか。
 各地で問題となる火葬場、ゴミ処理場、下水処理場、原子力発電所の建設は、迷惑施設といわれるが、人間が避けて考えることの出来ない大切な施設である。
新宮地区に施設の建設が決まった事情は?

 もともと、建設計画の基になったのは、岐阜県が計画した「キャトル・バーク構想」で、八日町と清見村牧ヶ洞にある山林の一画に食肉処理場の計画も含まれていたことにある。
 この話を耳にした地元住民のひとりは、「山林の中での建設だというし、処理施設ができれば、地区の道路や下水道も整備され、生活環境の向上にもつながり、その恩恵にあずかれることに対して、ありがたいことだ」と、喜こぶ人もあったという。








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