暘州通信

日本の山車

◆34604 セオリツヒメ 四

2011年06月14日 | 日本の山車
◆34604 セオリツヒメ 四

 これは仮説である。
【セオリツヒメ】は、ベンザイクドクテン(辯才功徳天)が日本のセオリツヒメに姿を変えて現れた姿だとする思想、つまり本地垂迹説がある。
 ベンザイクドクテン(辯才功徳天)は、インドのヒンドゥー教の女神に起源を持ち
原語は「サラスヴァティー」、漢訳されて【辯才】これに佛教の天部の位にあるとして、辯才功徳天となった。【弁才天】と書かれるのが一般的であるが、【弁財天】と書かれる例も多い。日本では七福神の女性の神で、【べんてんさま】として親しまれ、琵琶を持つ姿は藝能の神としても人気がある。
 福岡県の宗像大社では、沖ノ島、沖津宮のタゴリヒメノカミ(田心姫神)、大島、中津宮のタギツヒメノカミ(湍津姫神)、田島、邊津宮のイチキシマヒメ(市杵島姫)の三女神を祀る神社であるが、このうちのイチキシマヒメ(市杵島姫)を、単神で東側にある小島嶼に【べんてんさま】として祀る例が見られる。
・厳島神社 広島県安芸の宮島
・竹生島 滋賀県
・弁天島 愛知県蒲郡
・江ノ島弁天 神奈川県湘南
 などはよく知られる例であるが、東の小島に祀るのは太陽神であり、西側の日本海側ではほとんど見られない。これらの祭祀は本来、セオリツヒメを祀ったものと考えられる。また社寺の苑池に小島を作り、橋を架けて【べんてんさま】を祀るのもよく見かける。

◆34603 セオリツヒメ 三

2011年06月14日 | 日本の山車
◆34603 セオリツヒメ 三

 これは仮説である。
 【セオリツヒメ】は、佛教のダイニチニョライ(大日如来)が日本のセオリツヒメに姿を変えて現れた姿だとする思想、つまり本地垂迹説がある。
大日如来は中央に位置する如来であり、佛教教義では、これを男女の両性に比喩し、宇宙の森羅万象は大日如来より発したものと考え、智拳印(ちけんいん)を結ぶ【金剛界】の大日如来。宇宙の森羅万象は、母の胎内より発したもので、すべて大日如来に集約すると考え、法界定印(ほっかいじょういん)を結ぶ【胎蔵界】の大日如来をたて、両界それぞれを一幅の曼荼羅に表現する【金剛界曼荼羅】、【胎蔵界曼荼羅】があり、また、仏像が像顕され、優れた美術品も数多く知られる。
 大日如来は、仏法に従わない衆生には姿を変えて仏法を説き、不動明王は大日如来の化身とされる。東京では、江戸の町の守護神として五道に五不動をおき、その不動明王の目を五色に塗ったと伝えられ、現在も、【目白】、【目黒】の地名になって続いている。
 不動明王は、火炎光背、目は眇眼(すがめ)で、左手に羂索(けんさく)、右手に劔、右牙歯で下唇、左牙歯をかむ忿怒型(いかりのかた)の明王であるが、各地の瀧に祀られる例がしばしば見られ【瀧不動】とよばれる。この瀧不動はセオリツヒメの本地と考えられえる。

◆34602 セオリツヒメ 二

2011年06月14日 | 日本の山車
◆34602 セオリツヒメ 二

 これは仮説である。
 【セオリツヒメ】は、荒魂(あらたま)。【アマテラスオオミカミ】は、和魂(にぎたま)とし、両神は同一神だとする思想がある。この思想はセオリツヒメを尊ぶ大和朝廷成立以前の古い思想と考えられる。
 兵庫県西宮市の廣田神社は延喜式神名帳に記載され、旧官幣大社でもあった。その祭神は、アマテラスオオミカミノアラタマ(天照大御神荒御魂)とある。別名を、ツキサカキイツノミタマアマサカルムカツヒメノミコト(撞賢木巌之御魂天疎向津媛命)だとされる。つまり、セオリツヒメである。セオリツヒメにはそのアラタマである、アマテラスオオミカミと同じ名称【同一神】とされているのが注目される。
 福岡県宗像市の宗像大社(むなかたたいしゃ)は、沖ノ島の沖津宮に、タゴリヒメノカミ(田心姫神)、大島の中津宮にタギツヒメノカミ(湍津姫神)、田島の邊津宮にイチキシマヒメ(市杵島姫)の三女神 が祀られ、この三神をあわせて祀るのが宗像大社である。
 その三女神はスサノオノミコトとアマテラスオオミカミのあいだで交わされた【誓約・うけい】により生まれた、五男三女神の三女神にあたる。スサノオノミコトとアマテラスオオミカミのあいだで交わされた【誓約・うけい】とは、一般的な考えに従えば「婚約・結婚・夫婦」ということになろう。
 この三女神のイチキシマヒメ(市杵島姫)を単神で祀る祭祀があり、単に「比賣神」と呼ばれている。大分県の宇佐八幡宮にも「ヒメオオカミ(比賣大神)」として祀られ不明の祭神とされるが、全国に祀られる祭祀例に敷衍すれば、【ヒメオオカミ(比賣大神)とはイチキシマヒメ(市杵島姫)】のことであろう。