茅ヶ崎にある『開高健記念館』に福井の越前水仙が寄贈されたという新聞記事を見て、出かけてきた。
開高記念館は、開高健が住まれていた邸宅跡を改装して5年前に開かれたそうだ。
越前水仙は、開高健が生前にこよなく愛した可憐な花で、記念館が開かれた時から敷地内に植えてきたそうだ。
水仙は、我が故郷福井県の県花であり、我が家の庭にも毎年株が増えて冬の彩を添えている。
水仙を寄贈された長谷氏は、開高健が定宿としていた越前海岸の「こばせ旅館」の代表で、「こばせ」に出かけてお世話になった方である。
記念館には、長谷氏が植栽された水仙が見事に蕾を付けていた。
記念館を水仙で囲んで、湘南の水仙の里にしたいという願いが込められているそうだ。
記念館では、開高健が没後20年記念の企画展『自筆原稿』展が開かれていて、その書斎や居間と共に、その執筆振りが偲ばれる。
リビングには、氏が愛用された釣具やワインなどが自筆原稿とともに陳列されていて、その足跡が覗える。
また、記念事業として最高傑作の『夏の闇』を筆遣いそのままで読める自筆原稿を再現した特別版が、限定販売されていた。
408ページにもおよぶボリュームある大作であるが、館内では手にとってページをめくり試読する事が出来た。
全国の開高ファンから、注文がきているそうだ。
館内の石碑には、氏の数々のコピー文が書かれており、どれも現代の我々の生き方に、何かヒントを与えているようである。
「明日、世界が滅びるとしても、あなたはりんごを植える」、 「入ってきて人生とと叫び、出ていって死と叫ぶ」、 「悠々として急げ」などは、心に響く言葉である。