東日本大震災に伴う東京電力の福島原発事故の長期化と火力発電所の運転停止による、この夏の電力不足解消に向け、先日、政府が電力需給対策を発表した。
東電管内における猛暑だった昨年夏の最大需要は約6000万KWに対し、東電の供給能力は火力発電所などの復旧により、5500万KWになると言う。
その差は、約10%であるが、計画停電を回避するために 節電の目標値は企業、家庭とも一律15%、大口需要家には25%を義務付けて、電気事業法に基づく使用制限を発令すると言う。
確かに数字上では、ピーク時に15%の節電が行われれば、需給バランスがとれる勘定であるが、その達成の約束は判らず、万が一にも供給がダウンすれば、ブラックアウト(大規模停電)の事態が起きてしまい、回避できる保証はない。
特に、家庭における夏の電力重要の比率は、お昼で全需要の1/3、ゴールデンタイムでは、50%になるようで、その節電の意義は大きいのである。
資源エネルギー庁の「家庭の節電対策メニュー」によると、夏の日中の消費電力比率は、エアコンが約半分の53%、冷蔵庫が23%と、実に76%を占めているようだ。
今年の夏も長期予報では、猛暑が予想されるそうであるが、エアコンの使用を控えての節電は期待できるのだろうか?節電目標の3分の2を占める小口需要家や家庭には、法的な強制力がなく、各個々人の自制に委ねられており、その効果は甚だ疑問が多い。
政府や関係機関は、節電対策の周知徹底を図るべくPR活動をするというが、間に合うのだろうか?偏見を持って見ているかもしれないが、まだまだ家庭における節電努力がなされているとは思えない・・・
省エネ家電への切り替えなどは、出費を伴い早急に進むとは思えず、エアコン使用も努力義務のない節電効果は果たして期待できるのだろうか?
一例ではあるが、既にJRや私鉄では、冷房が為されているが、何故今冷房なのか?涼しいにこしたことはないが、体を暑さに慣らすことからやらねばならぬと考えている。
需要家にも、使用制限の適用除外や緩和への希望が強いそうであるが、今の世の中、自分だけは楽しようという「我欲」が、多く見られる傾向が強いと感じている。
電気に頼り切った生活が身に着いており、今こそライフスタイルを見直し、我慢を公平に負担していくことが必須であり、国民的課題であろう。
今こそ、この国難を如何にして乗り切るのか、危機感を持って臨むかが問われているようだ。