「オズの魔法の言葉~オズワルド・オリヴェイラ監督語録~」
今季のリーグ最終戦となる清水エスパルス戦が迫ってきました。1年間、試合前後に定期的に会見を行ってきたオズワルド・オリヴェイラ監督の言葉を振り返ります。普段、忘れがちや見過ごしがちなことを、素直に受け止められる言葉で表現するのが同監督の特徴。「オズの魔法の言葉」を味わって今シーズンの思い出を振り返り、最終戦にご期待ください。
<シーズン>
今、一番悔しいのは野沢、一番試合に出たいのは野沢。だから、野沢のために勝たなくてはいけない。
(負傷の野沢を欠いての開幕戦を前に)
失っていた自信を取り戻すという意味では、この1勝は大きかったといえるかもしれない。ただ、初勝利を飾ったということだけで、試合中に噴出した課題に目をつぶることはできない。
(今季公式戦初勝利となった3月25日のアルビレックス戦後)
この5試合の結果が今の自分たちの姿だ。言い訳はしない。
(リーグ開幕から5試合未勝利となった4月7日の大宮戦後)
私とあなたは違う試合を見ていたのでしょうか?
(5月6日の横浜FM戦後の会見で、流れの中からチャンスが生まれなかったとの指摘に対して)
選手が手ごたえを感じていない限り、チームは機能しないもの。
(5月26日の甲府戦後に「監督としての手ごたえ」を問われ)
6月は必ずアントラーズが上位に顔を出すはずです。そうした強い確信のようなものを持っています。
(6月7日、大分戦を前にした定例会見で。5月終了時9位だったチームは、6月末には4位にまで浮上)
順位表をここに書け!
(6月20日の柏戦劇的勝利後、スタッフに命じて選手たちの前でホワイトボードに順位を書かせる。紙を張るのではなく、手書させる演出の後、「夢をあきらめるな」と絶叫)
みなさんは、チームがいい状態のときに一体感を感じると言うが、監督というのは、ケガ人が出たり勝てなかったりした苦しい時期にこそ、チームの一体感を感じ取るもの。
(5~6月の9試合負けなしの時に好調ぶりを問われて)
残り16試合を全勝すれば十分に可能性がある。「馬鹿なことを言う」と思う人がいるかもしれない。だが、そうした誰も信じないことでさえ、実現するように取り組まなければならない。なぜなら、私はプロだからだ。
(首位との差が今季最大の11に開いていた夏季キャンプでの言葉)
私は小笠原1人だけに戦わせているわけではない。大宮戦も彼の退場後に勝利をつかんだし、彼のいなかった横浜FC戦も勝っている。彼1人が勝敗を背負っているわけではない。私は、彼にすべてを背負わせるようなことはしない。
(8月27日に行われた定例会見で小笠原の存在について聞かれ)
サッカーがスポーツであるということ。どのような結果もあり得るというのは、サッカーというスポーツが健全であることの証明。結果を受け入れ、それに向き合うことで前に進みたい。
(1-5で大敗した8月29日ガンバ大阪戦後にその原因を問われ)
小澤ほどプロ意識の高い選手はいない。ベンチにいてもピッチの選手と同じメンタリティーを持ち、練習での1本1本のセービングに至るまで全力で取り組んでいる。「監督として彼を絶対に万全の状態で送り出さなければならない」と思う選手だ。
(広島戦を前にした9月29日の定例会見で)
ルールブックにあることは準備する。それだけです。
(10月12日、ガンバとの第2戦を前に、PK練習の意図を問われ)
埼玉では重要なプレーヤーを欠くことになります。それは背番号12です。多くのサポーターがスタジアムに来られないことを知っています。テレビの前からでも構いません。声援を送ってください。必ず我々のもとに届きます。
(レッズ戦を前にした11月23日の会見で)
いつも取材してくれている記者の方に聞けばわかるでしょう。あるいは住友金属の社員の方に聞けば、いい情報が得られるかもしれません。鹿嶋は遠いところですが、ぜひ、取材に来てください。それに、私のサッカーはいくつかのキーワードで言い表せるようなものではありません。とても緻密に作業を進めているつもりですので。
(11月24日のレッズ戦後、鹿島のサッカーのキーワードは何かということを問われて…)
<サッカー>
FIFAの加盟国はちょっと前には100カ国程度だったのに、今や200を超える勢いです。それほど変化の著しいサッカー界において、「自分の哲学」などというものを持ったら、それにとらわれて自分の進歩が止まってしまう。
(サッカー哲学は何かと問われて)
今、われわれは追いかける立場にいる。アントラーズがJリーグの先頭を走っていたとき、他のクラブはどうしたか。それを考えれば、おのずとやることは見えてくる。
(アントラーズの現在位置とやるべきことを聞かれ)
攻撃は最大の防御というが、私はそうは考えない。まず取り組まなければならないのは守備を安定させること。しっかりとした守備が、力強い攻撃を生む。
(開幕前、攻撃的なチームを目指すのかと問われ)
選手というのはフルーツと同じ。タネをまき、水を与え、芽が出て、実になる。そして、「今がいちばんおいしい」というときに食べる。選手の「旬」を見逃さない。それが監督の重要な仕事のひとつだと思っています。
(FREAKS 8月号のインタビューで)
私はシステムを数字にあてはめるのは好きではない。数字にあてはめた瞬間、それにとらわれ、自在性を失ってしまうからだ。
(10月8日、ガンバ戦との第1戦を前に、4-2-3-1へのシステム変更を問われて)
変則的であるということが予想できない結果を生むとは限らない。変則的な方が、機能的かつ効率的に相手を崩し、論理的な結果を生む場合もある。
(青木の起用方法が多岐で変則的であることを問われて)
武道は個人で戦わなければならない。精神の集中が重要になる。サッカーは11人で戦うが、1人1人が集中すれば質の高いものを見せることができる。
(アントラーズ剣道教室の発足式で)
物事には始まりがあり、経過があり、終わりがある。私は、それらすべてを見届けないうちに途中で振り返るようなことはしない。開幕戦のフロンターレ戦の最初の20分間は完璧なサッカーをしたが、その後、開幕5試合がどういう結果になったのかご存じでしょう。
(前半戦の総括を問われて)
コーヒーを持ってきてくれ。砂糖とミルクをいっぱい入れて…。
(試合後の興奮をおさめるのに甘いコーヒーが不可欠)
<キャリア>
最初は40日間限定の暫定監督だったんだけどね。
(2000年のコリンチャンス監督就任時代の話。任期がどんどん伸び、州選手権を制し、全国選手権を制し、最後は世界クラブ選手権も制した)
何でもやりましたよ。肩書はフィジカルコーチだったけど、監督を補佐したり、下部組織の充実を図ったり、クラブの予算を組んだこともある。
(カタールのアルアラビでの11年間の経験を問われて)
私の指導者としてのキャリアを調べれば、必ず若手選手の名前が出てきます。カカ、ロビーニョ、ジエゴ、マルセロ、ジュニーニョ・ペルナンブカーノらです。それがすべてを物語っているのではないでしょうか。
(若手の起用が絶妙であることを問われて)
シーズンもいよいよ終盤である。
コメントを振り返るとオズワルド・オリヴェイラ監督の言葉もシーズンの進行と共にノッている感がある。
彼の言葉に励まされ、前に進んできたのである。
口中の立役者といって良いであろう。
声に出して良い言葉を発せば良い結果を生み、不吉な言葉を発すると凶事が起こる。
日本古来の言霊を実践しておるのであろう。
日本は言魂の力によって幸せがもたらされる国「言霊の幸ふ国」である。
この日出る国で成功を納めるべき人物であったのであろう。
運命に導かれたのである。