鹿島FW興梠ホロ苦の今季初先発/J1
<J1:浦和1-0鹿島>◇第8節◇29日◇カシマ
鹿島FW興梠にはホロ苦の今季初先発となった。前半5分に左のスペースに走り込むと、MF野沢からのパスが最高のタイミングで渡ってきた。だが最初のトラップが大きくなり、最後は右足で合わせたがGKに阻まれた。後半5分にもポストに当たってこぼれた球を左足で狙ったが、まさかの空振り。
0-1で惜敗し「決めとけば勝てたかもしれない。去年も浦和戦で初先発して、前半で交代という屈辱があったのに…」と肩を落とした。
[2007年4月29日20時54分]
≪決定力不足で5戦ぶり●≫鹿島は浦和と同じ15本のシュートを放ちながら決定力不足に泣き、5試合ぶりの黒星。この日が誕生日だった母へのお祝い弾に燃えていたFW興梠は「決められるところがあったので、そこで決められていたら勝てた」と悔しがった。ひざのケガから復帰したFW田代も「決めるところで決めないと勝てない。活躍してチームに貢献したい」と今後の巻き返しを誓っていた。
【J1:第8節】鹿島 vs 浦和:オズワルドオリヴェイラ監督(鹿島)記者会見コメント [ J's GOAL ]
4月29日(日) 2007 J1リーグ戦 第8節
鹿島 0 - 1 浦和 (16:00/カシマ/36,146人)
得点者:'56 ポンテ(浦和)
●オズワルドオリヴェイラ監督(鹿島):
(会見は質疑応答から始まりました)
Q:足りないものは何か?
「決定力と言うかも知れないが、そう簡単に言えるものではない。前の試合では取れて、今回は取れないということが、サッカーのつらいところでもあり、面白いところでもある。最初のチャンスと最後にも大きなチャンスがあった。最初のチャンスで取れていれば、レッズのように余裕を持ってできていただろう。最後にも入ればよかっただろうけど、時間が経つにつれて焦りが出て、終盤は精度を欠いてしまった」
Q:次に向けての修正点は?
「サッカーは1つの生きたもの。流れで決めるか決めないかで左右される。自分たちの流れで決めていれば楽になる。この経験が次の試合や今後に役に立つだろう。悪くなっているわけではなく、よくなっている。1人1人彼らに細かい指摘をしていけば、もっとよくなると思う」
以上
【J1:第8節】鹿島 vs 浦和:試合終了後の各選手コメント [ J's GOAL ]
●本山雅志選手(鹿島):
「坊主にしたのは2日前。浦和戦に向けて気合を入れたかったから。チャンスも作れたと思うし、そんなに相手にもチャンスを作らせなかったけど、いいサッカーをしていても勝てないことはある。勝てないとしょうがない。ここから勝ち点6くらい一気に詰めるチャンスだったんで、すごく残念」
Q:前後半の開始直後に2つのビッグチャンスがあったが?
「もっとチャンスを作っていきたかった。(興梠)慎三のスピードを生かせてれば、もっとチャンスを作れた。次に向けてあまり日がないが、調整できれば(いい)。悪いところもあるけど、いいところもある。それを伸ばしたい。レッズに勝って勢いに乗りたかったし、ここで勝てば自信になったと思うけど…。点を取られてから中盤でキープされて、ボールが取れなくなってしまった。フィニッシュの問題はある。今日はホームだったし、特別に勝ちたかったけど、レッズが力のあるチームだったと受け止めてもっと強くなりたい」
●内田篤人選手(鹿島):
「勝って、勝って、勝って…というのが一番いいけど、そうもいかない。今日は負けて残念。でもやるべき方向は間違っていないし、やることを変えずににいきたい。中2日で次のゲームだし、しっかりと次に向かいたい。今日はそれなりに手ごたえもあった」
●興梠慎三選手(鹿島):
「(最初の決定機について)ホント残念だし、悔しい。シュートする前のボールタッチで全てが決まると思っているけど、あの場面はトラップがでかくなってしまった。ヤナギさん(柳沢)も調子良かったので、自分もあのくらいやらないと追いつけないと思って試合に臨んだ。あの場面はホント、決めようと思ったのに。その後も行けるなと手ごたえはあったけど、後半もすかしてしまった。もっと練習します。あとは決めるだけ。周りの人たちも自分のミスなのに励ましてくれているんで、これで落ち込まずにやりたい」
●新井場徹選手(鹿島):
「ヤナギがケガをしたんでキャプテンをやった。誰でもいいってこともなかったし、やるしかないと思って試合に臨んだ。誰がキャプテンでもチームとして1人1人がやっていくだけ。今日は本当に落とせない試合だったけど、また連戦が続くし、気持ちを切り替えてしっかりやっていくだけ」
【J1:第8節 鹿島 vs 浦和 レポート】内容と結果が伴わず。勝てるチャンスを逃した鹿島は12位に。試合巧者の浦和は2位浮上。 [ J's GOAL ]
4月29日(日) 2007 J1リーグ戦 第8節
鹿島 0 - 1 浦和 (16:00/カシマ/36,146人)
得点者:'56 ポンテ(浦和)
開始早々の5分に興梠慎三がGK都築龍太と1対1になったビッグチャンス、そして後半立ち上がりの5分に新井場徹の左足クロスがポストに当たり、詰めていた野沢拓也のシュートがポストをかすめた決定機…。この2つを確実にモノにしていれば、試合結果は違っていただろう…。
しかし昨季のJ1王者・浦和レッズはあくまで試合巧者だった。鹿島アントラーズが集中力を切らした時間帯を逃さず、ポンテが狙いすましたシュートで勝利を引き寄せたのだ。「今日はチームとしてサッカーができた。前線からの守備もうまく機能し、意思統一ができていた」と得点に絡んだ鈴木啓太も笑顔を見せていた。
これで浦和は2位に返り咲き、痛い黒星を喫した鹿島は逆に12位へと後退した。それでも、鹿島の試合内容は確実に良くなっている。オズワルドオリヴェイラ監督も「この経験が次の試合や今後に役立つだろう」と前向きに語った。悔しい敗戦を引きずらずにゴールデンウィークの連戦へ向かうしかない。
この日の鹿島対浦和戦はJ1第8節の注目カード。昨季は1分1敗と浦和に負け越している鹿島だけに、今回はなんとしてもリベンジを果たしたかった。大荒れになった前日とは違って好天に恵まれたこともあり、カシマスタジアムには36,146人の大観衆が集結。試合前から凄まじい熱気に包まれた。
浦和に勝って3連勝して自信をつけ、上位浮上を狙う鹿島・オズワルドオリヴェイラ監督は、長期離脱を強いられた柳沢敦の代役に伸び盛りの若きFW興梠を先発起用。鼻骨骨折で出場が絶望的と見られた岩政大樹もフェイスガードを着用して強行出場した。攻守にわたって起点になる浦和の中盤を封じるため、中後雅喜と野沢の2人を守備的MFの位置に置くなど、若干の変更も行った。対する浦和は4-3-2-1をベースにしながら、攻撃時には右の山田暢久が積極的に上がって3-4-2-1のような形になる流動的なスタイルだ。この日はワシントンが欠場し、1トップには永井雄一郎が入った。
25日に上海でアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を戦ったばかりで疲労が残っていたのか、序盤の浦和はやや集中力を欠いていた。そこを突いた鹿島は開始5分にいきなり決定機を迎える。野沢のスルーパスに呼応した興梠が前線でフリーになったのだ。が、柳沢の代役としての重圧があったのか、彼はイージーなトラップをミス。放ったシュートはGK正面に飛んでしまった。「あれは絶対に決めなきゃいけなかったのに…」と本人も悔やむ絶好の得点機を鹿島は逃してしまう。
ここからしばらくはボールが落ち着かなかったが、20分過ぎから浦和がじわじわとボールを支配する。彼らの前からのプレスは激しく、鹿島はしばしばボールを奪われカウンターを食らってしまう。それでも鹿島守備陣が奮闘。岩政らが闘志あふれる動きで相手を確実に封じる。今季序盤は守りが安定しなかった鹿島だが、この日の彼らは本来の粘り強さを取り戻していた。
スコアレスのまま前半を終了。後半に突入するが、またも立ち上がりに鹿島は決定機を迎える。新井場のクロスがDFに当たってクロスバーに当たり、詰めていた興梠が空振りしたものの、その後ろから飛び込んだ野沢がシュート。今度こそ入ったかと思われたが、無情にもボールは枠の外を転がった。
「前半と後半の鹿島の決定機が外れたのはホントにラッキーだった」と鈴木啓太も話していたが、これで試合の流れが変わったと言っても過言ではないだろう。
そして迎えた後半11分。ついに浦和の先制点が生まれる。3列目から左サイドへオーバーラップした鈴木が小野からパスを受け、逆サイドへ展開。これを受けた山田が狙いすましたように中央のポンテへとボールを送った。サイドチェンジで鹿島守備陣のラインが下がり、ポンテの前にポッカリとスペースが空く。この決定機を彼は逃さなかった。
若い鹿島と老獪な浦和…。この得点シーンが両者の違いを象徴していた。1つのチャンスを決められるからこそ、彼らは昨季のJ1王者なのだろう。
この後、オズワルドオリヴェイラ監督はケガ上がりの田代有三に増田誓志、19歳のFW佐々木竜太と持てる攻撃のカードを全て切ってゴールを狙いに行った。しかし浦和はもともと堅守を最大の特徴とするチーム。1点を取ったらガッチリと自陣に引いて守りきる力を持っている。その試合巧者ぶりを最後まで遺憾なく発揮し続け、彼らは確実に勝ち点3を確保。前節の川崎フロンターレ戦敗戦後に4位まで後退した順位を2位に戻し、首位・ガンバ大阪に勝点差2と迫った。
一方の鹿島だが、決定機さえモノにしていれば「勝ちゲーム」といってもおかしくない内容だった。守備のバランスも悪くなく、攻撃も野沢の復帰によってリズムが生まれ始めた。マルキーニョスの得点への貪欲な姿勢、若い興梠のスピード、復帰を果たした田代の高さなども前向きな要素といえる。一番よくないのは、この敗戦を引きずってしまうこと。次の試合はもう3日後に迫っている。「今日よかったところを自信に次へ向かいたい」という本山雅志の言葉を具現化していくこと。今の鹿島にはそれが何より必要だ。
以上
2007.04.29 Reported by元川 悦子
負け惜しみと聞こえようとも志は高く上を見つめようぞ。
下を向いて何が好転しようか。
脇差しを賜うて、すぐに諏訪を発つのじゃ。
そして当然の如く坊主頭の高遠の弟は何もせぬまま討ち死に…