川崎F、鹿島が4強入り/ナビスコ杯
後半、パスカットをする鹿島MF小笠原。右は広島MF青山(撮影・蔦林史峰)
<ナビスコ杯>◇準々決勝第2戦◇15日◇国立ほか◇2試合
川崎Fと鹿島が2年連続の準決勝進出を決め、G大阪、横浜との4強が出そろった。
アウエーの第1戦を落としていた川崎Fは、2試合合計5-5でもつれた延長後半8分、途中出場の黒津が決勝ゴールを決めた。アウエーでの第1戦は0-1で敗れた鹿島は、マルキーニョスの2得点などで広島に3-1で勝ち、2試合合計を3-2とした。
準決勝は第1戦が10月10日、第2戦が同13日。組み合わせ抽選は8月上旬に実施される。
[2007年7月15日23時45分]
鹿島4強よみがえった小笠原/ナビスコ杯
後半、途中交代する鹿島FW柳沢(左)とハイタッチを交わすMF小笠原
<ナビスコ杯:(3)鹿島3-1広島(2)>◇15日◇準々決勝第2戦◇カシマ※カッコ内は2戦合計得点
イタリア帰りの司令塔が鹿島をよみがえらせた。第1戦を0-1で落とし、迎えた準々決勝広島戦第2戦でメッシーナから復帰したMF小笠原満男(28)が先発出場。起用効果はすぐに表れ、前半40分には小笠原の果敢なタックルでのパスカットから速攻となり、値千金の2点目が生まれた。323日ぶりのJ復帰戦を3-1の快勝で飾り、チームは2戦合計3-2でベスト4進出。悲願の10冠に向け、態勢が整った。
風と雨が吹き荒れるピッチ上に、小笠原は滑り込んだ。前半40分。中盤の真ん中を破ろうとした相手のスルーパスに食らい付く。タックルで止めたボールは、そのまま近くにいたMF中後の足元に収まった。そこから2本のパスでFWマルキーニョスのゴールへとつながる。1戦目の0-1のビハインドをひっくり返す、勝ち越しの2点目。「試合は久しぶりだったけど、自分、自分じゃなくチームのために」。
昨夏、日本を飛び出し、念願の欧州に渡った。技術はチーム随一。だが出場機会を確保できなかった。残留争いの中、手堅いサッカーを貫くチームに居場所はなかった。昨年12月のフィオレンティーナ戦を最後に出番を待つ日々。公式戦8戦1得点が、セリエAにわずかに刻んだ数字だった。
だが不毛な1年ではなかった。物静かなで知られる男は見知らぬ土地に溶け込んでいった。短期間でのイタリア語の上達は中村俊、柳沢をしのぐとも言われた。シーズンが終了すると、誰の手助けもなく家族とともにポルトガルなどへ旅行に出掛けた。入団時から知る鈴木満取締役は「あんなに海外生活を楽しめるやつだとは思わなかった」と驚いた。
323日ぶりの復帰戦を小笠原は「良いとは言えない」と満足しなかった。ただ仲間は、存在の大きさを感じている。先制点アシストの本山は「満男が入って安心して前に行けた。よく走って、体を張って、やっぱりうまい」と、守備の負担が軽減されたことを実感。フル出場した小笠原は、終盤に自然とキャプテンマークを渡された。自ら「第2章」と位置付けた新たな船出。背番号40の帰ってきた男は「タイトルを取れるチャンス」と10冠へ狙いを定めた。【広重竜太郎】[2007年7月16日9時19分 紙面から]
小笠原&柳沢、復帰早々勝利を演出!鹿島は2年連続4強入り
ヤマザキナビスコカップ準々決勝第2戦最終日(15日、カシマスタジアムほか)鹿島と川崎が2年連続の準決勝進出を決め、G大阪、横浜Mとの4強が出そろった。イタリアのメッシーナから鹿島に復帰したMF小笠原満男(28)と左足第5中足骨骨折から復活した主将FW柳沢敦(30)が広島戦に先発し、小笠原が1起点、柳沢が2アシストの活躍で3-1勝利を導き、2戦合計3-2とした。川崎は2戦合計5-5でもつれた延長後半8分、途中出場のFW黒津勝(24)が決勝ゴールを決めた。
◇
帰ってきた2人が勝利を演出した。セリエBに降格したメッシーナで昨季6試合1得点と不遇の1年を過ごした小笠原は、背番号40でフル出場。昨年8月26日の広島戦以来、323日ぶりの国内復帰戦で1得点の起点となった。4月21日の清水戦以来、85日ぶりに復帰した主将の柳沢も、74分間出場し2アシストの活躍。0-1で敗れた第1戦との合計を3-2とする“逆転勝利”を、復活組が導き出した。小笠原が「違和感なく試合に入れた。チームとして勝てたことが大きい」と胸を張れば、柳沢も「こんな天候のなか会場に来てくれたサポーターのためにも結果を出せてよかった」。試合と結果に飢える2人の活躍で2年連続の4強入り。悲願の10冠が見えてきた。
復帰戦で小笠原いきなり魅せた
前半、鹿島・小笠原(右)は激しい台風の風にもめげず鋭い動きを見せた
ナビスコ杯準々決勝第2戦の残り2試合が行われ、4強が出そろった。鹿島は広島に3―1で勝ち、2戦合計3―2で2年連続の準決勝進出。323日ぶりのJ復帰を果たした小笠原満男(28)が攻守に活躍し、故障明けのFW柳沢敦(30)も2アシストでチームに貢献した。川崎Fは甲府と2戦合計5―5で迎えた延長後半8分、FW黒津勝(24)が決勝ゴールを決めて2年連続で4強入りした。
【鹿島3-1広島】いきなり魅せた。323日ぶりにJの舞台に戻って来たMF小笠原が、“イタリア仕込み”のプレーでチームを準決勝進出へと導いた。1―0で迎えた前半40分だ。セリエA流の鋭いプレスで相手パスをカット。すぐに中後へつなげると、最後は柳沢からパスを受けたマルキーニョスが決めた。オリベイラ監督からは「ボールを落ち着かせろ」と指示が出ており、その通りに中盤で攻守の起点となった。
ぶざまな試合はできなかった。昨年8月にメッシーナにレンタル移籍。悲願だった欧州初シーズンはリーグ戦でわずか6試合の出場に終わったが、海外挑戦が無駄ではなかったことをピッチで示す必要があった。それだけに、チームの勝利に「慣れ親しんだスタジアムで、違和感なくやれた。現状で100%の力を出せた」と充実感にあふれた表情をのぞかせた。
4月21日の清水戦で左足第5中足骨を骨折したFW柳沢も85日ぶりに公式戦復帰。ゴールこそなかったものの、2アシストの活躍。「前向きな気持ちでリハビリできたので、久々の試合でもいい感じでプレーできた」と納得の表情だった。
チームはリーグ戦では開幕5試合未勝利だったが、その後の反攻で4位まで浮上。優勝を何度も経験する2人の“優勝請負人”も復帰し、ナビスコ杯制覇によるクラブ10冠へ視界が開けてきた。[ 2007年07月16日付 紙面記事 ]
小笠原323日ぶりJ 鹿島逆転4強…ナビスコ杯準々決勝第2戦
前半25分、小笠原が復帰後初シュートを放つ(左は柳沢)
◆ナビスコ・カップ準々決勝第2戦 鹿島3―1広島(15日、カシマ) 鹿島と川崎が2年連続の準決勝進出を決め、G大阪、横浜Mとの4強が出そろった。鹿島は広島を3―1で下し、逆転4強進出。MF小笠原満男(28)が昨年8月26日の広島戦(カシマ)以来、323日ぶりに国内公式戦出場。左足第5中足骨骨折から85日ぶりに復帰したFW柳沢敦(30)は、2アシストの活躍と復帰組の活躍でタイトル10冠に前進した。川崎は2試合合計5―5でもつれた延長後半8分、途中出場のFW黒津勝(24)が決勝ゴールを決めた。準決勝は第1戦が10月10日、第2戦が同13日。組み合わせ抽選は8月上旬に実施される。
サッカー人生第2章を快勝でスタートさせた。「個人としてはよかったとは言えないけど、現状の100%を出そうとした。自分が、自分がっていうよりも、チームのためにやろうと思った。準決勝、進めて良かった」背番号40を背負い、再起を期した広島戦。323日ぶりに帰ってきたMF小笠原が、充実感にあふれた表情でスタンドに復帰、快勝を報告した。
奮闘した。前半40分、センターサークル付近で、相手のパスをスライディングでカット。ボールはMF中後へのパスとなり、FW柳沢を経由して、最後はFWマルキーニョスが2得点目をたたき込んだ。絵に描いたようなカウンター攻撃の起点になった。さらに、この守備力が攻撃にも波及する。MF本山が「満男が入って、安心して攻撃にいけるようになった」と話すように、野沢、本山の攻撃回数が劇的に増え、3得点を呼び込んだ。
昨年8月、満を持してイタリア・メッシーナへと渡った。だが、技術はチーム一でも、日本人というだけで差別に近い待遇を受け、リーグ戦出場は6試合に終わった。シーズン途中、鹿島関係者の激励電話にも「バカンス」「旅行」という言葉が口をついた。試合から遠ざかり、冗談でも「引退」の二文字も口にするほど。だが、同時に腹の底からわき出たのは「試合に出たい」という気持ち。サッカーへの思いを再認識した1年だった。
チームは、2点差以上の勝利が必要な試合で、見事に準決勝進出を決めた。クラブのタイトル10冠まであと3試合。「チャンスなんで、チームとして目指していきたい」6冠を獲得してきた司令塔は、力強く言いはなった。(2007年7月16日06時01分 スポーツ報知)
【ヤマザキナビスコカップ】鹿島 vs 広島:オズワルドオリヴェイラ監督(鹿島)記者会見コメント [ J's GOAL ]
7月15日(日) 2007 ヤマザキナビスコカップ
鹿島 3 - 1 広島 (18:30/カシマ/8,647人)
得点者:'15 マルキーニョス(鹿島)、'40 マルキーニョス(鹿島)、'47 野沢拓也(鹿島)、'63 ウェズレイ(広島)
●オズワルドオリヴェイラ監督(鹿島):
Q:今日は、風と雨が強い中での試合で、逆転しなくてはいけない条件に対し特別な指示はあったのでしょうか?
「今週に入ってから、まずビハインドのスコアからスタートするということでいろんな状況を想定して練習してきました。あとは、精神的なコントロール。つまり、いかにして平常心でこの試合に臨めるかということがひとつの鍵になると選手たちに話をしました。それを選手全員がよく理解して実行に移してくれたんだと思います。もうひとつは柳沢選手と小笠原選手の復帰。こういうプレッシャーのかかった試合のなかで、彼らの経験というものが随所に試合の中で生きていて、まわりの選手には平常心を保てるプレーや言葉を与えたんではないかと思います」
Q:小笠原選手と柳沢選手の名前が出たのですが、お二人の今後に期待することをお聞かせ下さい。
「柳沢選手に関してはずっと前から一緒になっているので彼のことはよく知っています。小笠原選手に関しては5月末あたりから一緒に練習する機会があったので、そこで彼のことを知ることはできましたし、今週に入ってから正式に(チームへの復帰が)決まった時点で、彼の気持ちが入ったなというのを感じました。やはり経験というところ、気持ちという部分での余裕がチームのなかで生まれてくるし、そうすると他の選手が自信をもってプレーするようになる。『こういう風にやっていいんだ』、と(彼らが)声を出すことで、ひと言だけでもまわりの選手も変わってくる。そういった意味で彼らがチームに与える影響というのは計り知れないものがある。コンディション的なものが戻ってくれば今後ともチームの力になるし、他の選手とも融合しながらうまく使っていければなと思います」
Q:これで中断に入る訳ですが、リーグ戦が始まる頃と比べて選手層の厚さということに関して監督はどう感じておられますか?
「やはり選手の底上げ、チーム全体の底上げというのは重要な部分です。まず僕は3つの要素があるんじゃないかと思います。ひとつは外国人選手が本来の力を出し切れるように慣れさせるプロセスを手助けすることが、われわれスタッフを含めてできるんじゃないかと思います。
もうひとつは、柳沢選手だったり、小笠原選手だったり、他にも経験を積んでいる選手はチーム内にいますから、経験の多い選手が経験のない選手に伝授ではないですけど、与える影響、育成というものもあると思いますし、そうしたことができればいいと思います。
3つめは、若い選手の台頭です。シーズンの最初から若い選手を育て、そこで勝っていくということを目標にして招聘された訳なので、そういった部分をずっとやってきた訳です。彼らが今後、試合に出れないということ、競争の原理に入ってこないといけないし、トップにずっと居続けるためにさらに努力をし続ける、献身的にやらなくてはいけないし、それができるものは上に行くし、それを諦めてしまう選手はそこで止まってしまいます。
選手を育てるという、単なる技術・戦術的なところではなく精神力でもあるし、それを打ち倒す選手、貪欲さを持っている選手は上に行くし、そういうチームの活性化をしていくことでチームの底上げができて、チーム力があがって、その3つの要素が予想している形でうまく機能してくれれば、負けない、あるいは強いチームができあがるのではないかと思っています」
以上
【ヤマザキナビスコカップ】鹿島 vs 広島:試合終了後の各選手コメント [ J's GOAL ]
●青木剛選手(鹿島):
「小笠原選手とは、練習を1週間やっていたので問題はなかった。自分としては複数のポジションができるというのが特徴なので、出た場所でがんばっていきたい」
Q:小笠原選手の復帰でポジション争いが激しくなるが?
「別格の人なので、結果としてボランチのもうひとつの空いた枠を争うことになると思う。試合に出たときに、やれることをやっていきたいと思います」
Q:試合前のアップから選手から集中力や気迫が漲っていたが、試合前の様子はどうだったのか?
「1-0で負けて、2点差以上つけなければいけない厳しい状況での試合だったので、強い気持ちを持って試合に臨まなくてはいけないことをみんなが理解していたと言うことだと思う」
●小笠原満男選手(鹿島):
「チームが勝って準決勝に行くのが大事だった。自分の出来は良いとは言えないものだった。チームのために貢献することを考えながらプレーした」
Q:中後選手とはどういう話しをしていたのか?
「失点しないようにバランスを取ることが大事だと思っていた」
Q:久々の復帰戦だったが?
「あまり変わらない。ずっと慣れ親しんだスタジアムだったし」
Q:以前のチームとの印象の違いは?
「今日の試合に関しては『勝ちたい』という気持ちが表れていたのが良かったと思う」
Q:今日の試合に関しては?
「一番気を付けていたのは相手のカウンターだった。前半で2点取れたのが大きかった。シュートで終わろうという話だったので、それがうまく結果につながったと思う。失点シーンは残念だった」
●内田篤人選手(鹿島):
「自分が出たときに負けられないので勝てて良かった。頭が少し痛かったけど、監督が言ってたので出場しました。『出ろ』と言われて出ない選手はいない。自分も出たかったしそう言われて良かった。今日は結果が出て良かったと思う。満男さん(小笠原)もボールをもらってくれてすごく助かった。去年決勝に行ってるのだから、こんなところで負けられない。満男さんとは去年やってるし、メンツが変わったとは思っていません」
各紙小笠原に注目である。
が、この試合の決めたのはビハインドを無くした先制点であり、広島の守備を切り裂いた本山のスルーパスである。
ハーフウェイラインからの鋭く長いパスは一発で試合の行方を決めたと言っても過言ではない。
話題の小笠原満男がボールを持つ毎に再三再四鋭い動き出しを見せておった。
所謂「出来ている」コンビネーションであった。
際だったのは、前半27分満男の浮きパスをボールに触らず相手DFを抜き去ったプレイである。
惜しくもその後のクロスを柳沢主将が決めきれず得点には至らなかったが、本山が感動をスタジアムに呼び込んだことは言うまでもない。
使う側から使われる側へと成った本山は水を得た魚のようである。
本山と満男、この両雄がおる限り鹿島に落日はない。
無駄で無慈悲な戦をせぬ限りこの二人を失うことも無かろう。
井上版原作では一言で片づけられた板垣・甘利の討ち死にを盛り上げんが為の回であるが、冗長な上にこの二人の行動指針が無茶苦茶で萎えることこの上ない。
これでは主人公は勘助ではなく晴信である。