実はEMIにはこども教室でただ一人、まだ一度も勝ってない人がいる。それは今2段の男の子で、対局してEMIが負けると「あ~あ、きょうはいい対局のできる人がいないなあ」とか「こんな指し方しかできませんかね~」とか…とにかくとっても偉い感じで言い放つ。だからEMIはその度にトイレにいって泣いていた。弱いから負ける。だから負けたEMIが悪い。しかし一番EMIが堪えたのが、EMIに負けた友達たちに「この人は弱いEMIさんに負けたかわいそうな人です」と言って、その子たちを泣かしたことだ。自分が言われるよりもっときつい、とよくEMIがこぼしていた。だからEMIは実力で絶対その子に勝ちたいのだ。そういえば最近その子と対局していない。ここまで「勝ちたい」という思いにさせてくれるのだから、最大の良い友人なのかもしれない。いつかその子に一勝を。がんばれ、EMI。
きのう中3のYOU(EMIとTABOの姉)が「おかあさん、うちの学年でなぜか将棋がはやってるよ」と言う。ノートに書いて、消しながら駒を動かしているのだそうだ。「だけどね…歩のことをみんな『ほ』って言ってるよ。香車を『こうしゃ』っていってるし~。そして飛車がななめに動いてる。銀もうしろに動いている」 なんて将棋なんだろう~(爆)。
そういえば綾の大会は全てのパートをあわせて、女子は2名だけだった。EMIとあと一人はEMIがいつかは勝ちたいと思っている県内で1位2位を争う高校3年の子。綾は時間がたっぷりあったので、初めてその子とゆっくり話すことができた。話の中で、「女流プロにならないの?」と質問したら、「うーん…。実は弟が将棋をやめたいと言った時の姿が目に焼きついていて、とてもプロになろうとは思えません」といろいろなことを話してくれた。弟さん、は小1で初段、小2で2段、と学年ごとに段位が上がり、研修会に通っていたけれど、小6のある日、親に「もうしんどい、やめさせてほしい」と泣きながら言ったのだそうだ。それは彼女にとっても衝撃だったという。私に話しながら、しんどいと言ったときの弟さんの姿を再び思い出したのだろう。私もその場に居合わせたかのように胸が痛くなった。
こんなことを書いたらいけないのだが、EMIが綾の大会で入賞するとは、たぶん誰も想像していなかった。だからもし競馬のように賭けていたら、まさに大穴。かなりの配当金になったはずだ。後で知ったことだが、EMIは綾に向かう車中で、山に祈り川に祈り、あらゆるものに優勝を祈っていたのだそうだ。いつも道場で勝てないのに、どうして大会で優勝すると思うのか、そこが私にはよくわからなかったのだが、こどもの力というものは、計り知れないのかもしれない。事実、EMIの決勝トーナメントの対局は、初段の5年の子には序盤から終始優勢で、見事な詰めだった。1回目にリーグでその子とあたったときも、負けはしたが優勢で、あと駒1つで寄せられるところまで追い詰めていた。最近の道場では見られなかった盤面だった。EMIは綾の大会の前日、お風呂でこんなことを言った。「必死に将棋を勉強してみたい。とことんまで、燃え尽きてもいいから将棋の勉強をしてみたい。やれるところまでやってみたい」 EMIは夏になかなか勝てなくて道場でやけになって泣いたことがある。以来、あまりプレッシャーをかけないように、つぶさないように、EMIはわりと自由に道場で過ごさせてもらってきた。だけどもし本当に燃えたいのなら、これからEMIは変わっていくのかもしれない。私も、心のどこかで、EMIは勝てない、という思いを捨てて、もっと真剣にEMIの気持ちを聞いてあげないといけないような気がした。
先日授業参観だった。いろいろな材料を使って絵を描く、という課題がうしろに掲示されていた。TABOの絵は折紙のちぎり絵。題は「もし将棋の駒が生きていたら」と書いてあって、説明のところに「クリスマスの日に道場にプロが来てくれたところを書きました」とあった。人間は一人もいなくて、大駒と大駒が将棋しているところ! 登場しているのは全部駒! 駒台も盤もていねいに作ってあって、すごくおもしろかった。永久保存版だ。ただし、回りの子たちの絵とは全く異質で、ひとりだけ別世界だった。
小学生こども大会には多くの保護者が同伴していた。綾町は遠いので、こどもを置いていったん帰るのも面倒だ。それで多くの人が自分の子の対局を見守る形になる。今回はこども大会は大人の大会の付属のようなものなので、クラス別ではなかった。だから明らかに初心者の子がAクラスの子たちと対局することになり、子どもたちにとってはとても大変だったと思う。そんな中、保護者の中で勝てないと子どもを怒る親たちがいた。「精神力がなってない。目が勝てる目じゃない」と叱咤激励していたけれど、どう見てもまだ習い始めたばかりの将棋。精神力で勝てというのは酷だよなあ、と思った。ある程度は棋力がないと気力では補えない。対局中子どもが目を上げるとガッツポーズをしている親が見えるというのも、いや、これはなにか違うだろう?と思うのだが…。確かにスポーツと違って応援のしようがない将棋。しかも時間が長い。保護者の方もいろいろな苦労があるのだろう。だけど応援されてもがんばりようがないのも将棋。小さなこどもの尻をたたいて習わせるのなら、こどもだけ走らせないで欲しい。負けても叱らないでほしい。だって将棋は一生のものだから、短距離じゃなくて長距離なんだから、親の方は気を長く待ってほしい。できれば一緒に指してほしい。
大会後一番大変だったのは、TABOが道場に行きたいと泣いたことだ。高城のタイヨーに寄ったとき、降りずに涙ぐんでいたので、夫に説得してもらった。(その間私はEMIと買物) 「だって駒はぼくたちだけがとったんだから、先生はぼくたちが駒を見せないと見られないんだよ」とTABO。とにかく先生に駒を見せたかったようだ。…本当は最大のライバルに負けたから、先生に話して落ち着きたかったんだと思う。明日は道場はお休みなので、気持ちを一日持ち越すことになり、もしかすると今晩からまた夜泣きなのかも? しかしTABOが負けたのは明らかに実力の差。ここは自分と向き合って夜泣きする方がよいのかもしれない。しっかりガードしてから寝よう!
綾の将棋大会。うちは法定速度できっちり走るので、何度も追突されそうになりながら、何台も先に譲って、無事に受け付け前に着いた。これで第一目標通過。リーグ戦ではくじびきのグループ決めだったが、うまく姉弟と分かれて、これで第二目標通過。TABOは全勝で一番にリーグを抜けた。EMIは2勝1敗で2人並んだが、その子に対局で勝っていたのでリーグを抜けることができた。2人とも予選通過で、第三目標通過。さらに2人とも決勝リーグで勝ち上がり、3位になった。賞品は手書きの黄揚漆駒。100円ショップの駒から卒業できるかも…(もったいなくて使わないと思うけど)。同じ3位だけど、TABOは小学生名人に負けて3位になり、EMIは道場では最近勝てなかった初段の子に勝って3位になった。勝負というのは本当に難しいものだと思う。EMIのように星を拾って実力以上に成果をあげる子もいれば、力があるのに予選で落ちた子たちもいる。優勝は小学生名人じゃなくて、先日の遠征で四段に勝った大親友の6年生だった! それはもう本当にうれしいのだ。だってその子がどんなに深い思いで将棋を指しているか、よく知っているから。おめでとう!!!
道場に行くと、いつも先生にこれを聞かなくちゃ、と思っていることを忘れてきてしまう。きょうは、「新聞の段位認定問題をTABOにチャレンジさせてもいいでしょうか」と聞くのを忘れてしまった。もしこれで初段が取れても、道場では初段は名乗らないから、という条件で。何かにチャレンジするということは、きちんと勉強する励みになるだろうから。TABOが大会で成果を上げるのはまだまだ先。「一発」でなくて、地道に「こつこつと積み上げること」も、きっとこれからのTABOの支えになるに違いない。
明日は宮崎県綾町で榧の囲碁将棋大会がある。綾は榧が有名で、よく将棋世界にも載っている。毎年この時期にある大会はちまたでは有名で、1位は榧板が贈られるのである。しかし夫が宮崎県出身であるにも関わらず、家族の誰もまだ綾に行ったことがない。だから明日8時半受け付けというこの大会に行くのは、かなりの冒険なのだ。まず目的地に着くことがうちの最大目標。それから将棋はできるだけ早く終わってもらって、行ったことがない酒泉の杜に行ってみたい。体育館でする対局も初めてだ。一体どんなだろう~。天気がよかったら、自転車を借りて走りたいな、といったら、お金出して自転車借りる人の気がしれない、と家族に言われたんだけど…。
きのうネット将棋についてのコメントをいただいたときに、もしかして?と思っていたのだが、やっぱりそうだった…。TABOが14級(レーティングは100点から入った)で(たぶん)10級の人に挑戦して勝った。そしたら感想戦のチャットで、600点くらいから出るべきですよ、と忠告をいただいた。TABOに負けると相手は30点近く減ってしまう。だから今までTABOが勝った相手は必ず1級下がっている。チャットを私に替わって、悪意はないことを説明し、すぐに管理人にメールで事情を伝えて棋譜を見てもらった。すると「棋譜は5級から10級くらいなのでとりあえず10級に」と返事が来た。これできょうから10級のスタートになる。TABOは相手も自分も何級だろうが何段だろうが、全く気にしていない。ひたすら将棋の内容だけに気持ちがいっている。これは道場で指していても同じで、相手の段や級は考えの中に入っていない。中身だけが重要事項。段や級はもしかすると大人社会なのかもしれない。
きのうはTABOは道場で「強い大人の人に勝ってすごくうれしかった~」と言って帰ってきた。それから寝る前に一局近代将棋ネットで指して、7級の人に逆転勝ちして大喜び。15級から14級に上がったので、「うれしい~」とにこにこ顔で布団に入った。EMIも「対局はがんばって指して全勝した~」と機嫌良く、学校に提出する日記に書き残していた。日曜日は綾の将棋大会なのだけれど、車が出るのか微妙。行ったことがないところなので、時間が読めないという不安もある。こどもの部、ということなので、全部平手で、学年も段位も関係なくオールリーグなんだろうか?
きょう将棋新聞の見本が郵送されてきた。偶然にも都城であった女流王将戦の模様が記事になっていた。対局室の写真、一番右のメンバーズカードを首から下げたタラちゃんカットの男の子がTABO! それから大盤解説の会場の一番真中のくりくり頭(後ろ姿)がTABO。EMIは今回は写っていなかった(宮日新聞の対局室の写真では一番左に写っていた)。改めて棋譜を見て、大盤解説を思い出す。明日並べてみよう。
案の定、夕べはぐっすり寝た。どうして案の定かというと、前回も、道場に行ったら夜泣きが止まったからだ。道場は月曜日にお休みなので、日曜日にあったことをTABOはずっと抱えて2日間過ごしてしまう。道場に行けば、先生がいてくれるから、そこでいろいろと話せるし、新しい対局ができて、例えば自分に自信がなくなっていても、これでいいんだ、と思える時間が過ごせる。それで落ち着いて夜寝られるというわけだ。きのうもネット将棋で銀損して負けて涙がでていたけど、ゆっくり眠れたTABO。こんなふうに山越え谷越え、少しずつ登っていくんだろう。
夜泣き2の理由には、夕べ寝る前にしたネット将棋も多いに関係あるのかもしれない。随分前に近代将棋に登録してあったのだが、ネットだとばたばた指すので(おまけにチャットがまだできなくて感想戦ができない)うちではネット将棋を禁止していた。だけど久し振りに近代将棋にいってみたら、知っている人が何人もいて、習うのはおもしろそうだ。指すまではカーソルをふらふらさせない、対局中しゃべらない、実名がでているので心して指す、などを条件に一局だけさせてみた。初段で登録していたのだが、15級に変更してもらった。がんばったのだけれど、寄せを間違えて入玉されて負け。涙で目が真赤のまま寝た。これからしばらくは様子を見ながら、もし8時までに全部終わっていたら、ネット将棋をさせみようかな、と思う。ばたばた指すようならすぐ禁止。