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貿易って?

前回の続きです。

長老は「若者の作る道具はなくても生活できる。我々の作る食料が他国に依存し、その供給を止められたら困るではないか!」と主張した。

若者は「今までの我々のノウハウを注ぎ込み新しいシステムを導入する事で、生産性を上げる事ができる。若者のやり方で食料を生産しよう、そうして価格競争力をつけて、不平等貿易を撤廃し、他国に若者が作った物をもっと買ってもらおう。それがみんなの幸せだ!」と主張したが長老は無視した。他国の品質に問題があった事を論い(あげつらい:こんな漢字知らなかった)長老の論理が正しい事を主張した。

 

若者が集まる都市は変貌した。以前を懐かしむ若者は長老の主張する「美しい国」に多少の共感を抱いた。科学技術がその程度であったならば合理的であった社会を「美しい国」と定義する運動があった。おかげで長老は当時の科学水準では合理的であった風景を神格化することを画策し、文化とごまかすことができた。あくまでイメージ戦略なのでどの時代の科学技術として合理的であったかということについては全く議論されなかった。

「他国」という存在がクローズアップされ他国同士で真っ当な貿易が始まった。他国同士の貿易は長老をはじめコミュニティの問題点となった。若者が売っていた製品が他国に取って代わったこともあった。若者が他国から材料を買って加工し、製品を他国に売るという戦略を推し進めていた、長老もそれを歓迎していたにも関わらずいざ食糧問題では貿易はまかりならんというため、若者は売り先を制限されてしまう。

長老でもある程度の生産性向上が図られた。そのおかげで自国で消費できる以上の米を生産してしまった。本来余れば他国に売ればいいのだがコストが高く売れる代物でなかったのである。そのため長老に金を払ってサボタージュをさせた。働かないかわりに金をもらえるのだ。当然生産性が著しく低い物を長老は作っていたがさらにコストも上昇した。若者に高い米を売りつけてある程度豊かな生活を送っているのだが、いざ自分の生産性の低さを指摘されるとヒステリックに受け入れようとはしなかった。

長老コミュニティでは若者が参入する事を拒み、他国から食料を調達する事も拒んだ。あとは長老は声高に叫ぶ。「食料を売ってもらえなくなったら我々は餓死する」と。

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