YouTubeでサバクトビバッタに襲われた村の様子を見た記憶がある。一斉に飛び立つと空が見えなくなる。木の枝をゆすると、その枝にたくさんのバッタがとまっていることがわかる。私が見た映像の村は砂漠地帯なので、土地も痩せていて、草木もとげとげしいのだが、手の施しようがない状況である。ただ翌日には、巨大なバッタの群れはいくつかの死骸を残して消えていった。たぶん、その村はそれだけのバッタの食欲を満たす豊かさがなかったのであろう。わずかな緑の大地を求めて、彼らは恐るべきスピードで移動していくのである。さて、このサバクトビバッタのニュースが東アフリカから途絶えたと思っていたら、西パキスタンで、大量に繁殖し食糧被害が起こっておりという。この群れは次第にインドへと移動する。バッタの群れもインドの密林地帯に入れば、彼らはただ単に鳥のエサになるだけなので、たぶん消滅する。だが、パキスタンには、これから東アフリカからの新たな群れが到達する見込みだという。パキスタンでは約3分の1の地区が既に影響を受けており、4州50以上の地域で穀物などに大きな被害を与えていて、その被害額は8170億パキスタンルピー(約5470億円)に達するとされている。パキスタンは新型コロナウイルスが収束する気配を見せていない。そのような中、新たな災害の襲来である。今年はインド洋の海温の変動で、3月ごろに多くの雨が降り、バッタの異常繁殖が起こったのだという。しかし、夏になれば、バッタはさらに繁殖を繰り返し、彼らの過ごしやすい場所、北へと進んでいくかもしれない。(くちなし亭、2020.05.21)
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