国家が経済危機を迎えるとこんな理不尽なことも起こるのだというニュースがあった。中東のレバノンである。東部の小さな町の野菜店を経営する彼は、経済危機が訪れるまで奥さんと二人、豊かとはいえないまでも、それなりの幸せな暮らしをしていた。その町にある銀行にはお店を支える預金もしていたのである。しかし、レバノンは国家のデフオルトを起こした。国は資金の流出を恐れて、個人預金の引き出し制限を行ったのである。1日に引き出せるお金はごくわずかである。この金額では野菜の仕入れもできない。困り果てた彼はお金を借りた。利子が生まれ、不要な支出がかさむ。生活が立いかなくなったのである。そして、ついに、彼は銃をもって、銀行に乗り込み、「自分の金を返せ!」と叫んだ。彼は銀行強盗だが、銀行強盗ではない。自分の預けていた額以上の金を要求などしない。目的を果たした彼は奥さんに奪った金を渡し、警察に自首した。国家から見れば銀行強盗だったからである。(くちなし亭、2022.01.24)
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