今年は丑年である。隅田公園には牛島神社がある。この神社の歴史は古く、浅草寺が建立されたころではないかと思われる。当時、この地は馬や牛の放牧が盛んで、隆盛を極めていた。関東の主要な特産品で、秩父の銅と共に、都へも献上されていたのである。馬は隅田川の左右に広がる広大な流域地を利用していたが、それほどの広さを必要としない牛は浅草の向かい側の島、向島に放していた。今の隅田公園のあるあたりと思われる。そして、その島の先端部分には、牛たちの健康や安全を祈願して、小さな神様の祠が祭られていたという。私はこの祠が牛島神社の前身ではないかと思っている。当然、牛島神社だから牛がいる。生きてはいない石像である。日本各地の天神さまも牛も祭っていて、学問の神様だから、多くの受験生がそれを手でなでて、ピカピカにしているのだが、どういうわけか、牛島神社の牛の像もぴかぴかであった。しかし、受験生という強力な味方を持たない牛島神社の牛はコロナに負けて、多くの人が触ろうともしない。(くちなし亭、2021.01.24)
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