東京都には 約１７３万戸の分譲マンションがあって、それから抽出した約５万３０００棟の管理状態を東京都が調べたところ、約５００棟で、管理組合すらがなかったということである。空室の増加や管理費の滞納などが原因で荒廃する管理不全マンションが後を絶たない中で、管理組合さえないマンションがいかに多いかをものがたるものだ。今はあまり目立ってはいないかもしれないが、不審者の流入、放火など、放置すれば周囲にも悪影響を与えかねないおそれが早晩、生じる。さらに言えば、この調査に応じたのは全体の１７％に過ぎないので、実際の管理不全マンションの数はもっと多いのだろう。新しいマンションは次々に建っていくが、その一方で、古いマンションの老朽化も進む。マンションというところは、ひとたび入ってしまえば、社会とは隔離された場所でもある。そこで何が起ころうと察知できない。隣に越してきた人がどのような人かも、最近では分からなくなってきている。その意味でも、マンション管理や美化は重要だ。とりあえず、荒廃したイメージだけでも払しょくすることがマンション生活の維持には必要なのだ。そして、それとともに、老朽化したマンションの再構築に法律の整備も大事なのだ。(2016.11.10.25)
