アメリカの大統領選挙である。あと、数時間が過ぎれば、結果も出てくるのだが、マラソンの中継を必死に見る人間としては、その途中経過のドキドキ感なるものがたまらないのである。しかも、今回は劣勢を伝えられているトランプ氏が予想以上に票を集めている。激戦州のオハイオとか、フロリダでも、途中経過とはいえ、リードしているようなのである。思想信条は別として、人間には、好き嫌いという理性とは別の感情がうごめく。数週間もすれば、あるいは歴史を振り返れば、なぜ、あのような行動をしたのかと悔やまれるものも、一時の熱情で、駆り出されるものもある。最後の場面で、FBI長官がクリントン氏擁護に回ったことが、逆に、クリントン氏の官僚との癒着ぶりを示したと感じた人もいたかもしれない。トランプ氏が人間として最低だというテープが出回った時にも、これには彼を陥れる罠を感じた人もいたかもしれない。その人たちにとっては、あのテープの開示は卑怯そのものだ。参謀たちの策略がその通りに進まない面白さが、選挙にはある。(2016.11.09)