アメリカの住宅市場が再び、下落に転じ、2番底の懸念が起こっている。2007年夏、好調であったアメリカの住宅価格が下落に転じ、いわゆるサブプライム問題が顕在化し始める。多くの低所得者を中心に、債務不履行が発生し、建物の差し押さえという事態に至る。これを回避するために、金融機関側でも、幾つかの対策を実施する。大量の建物の差し押さえは近隣の治安を悪化させ、融資先の物件の価値をますます下げていくことになったからである。そのひとつが、5年間の優遇金利である。5年間だけ、金利を低くしましょうということなのだが、5年がたてば、元に戻る。その間に、給料が上がっていればよいが、元のままであれば、過去のことが繰り返されるだけである。5年がたち、再び、金利優遇を続けていく体力が金融機関に残っていれば、よいが、なければ、差し押さえを先鋭化させていく。この4月の住宅着工件数は前月比で-10.6%と減少した背景には、片方で、このような差し押さえ物件の増加があると専門家は言う。オバマ政権が誕生し、矢継ぎ早に打ち出した政策も、1巡し、FRBは住宅抵当証券(MBS)を金利の低め誘導のために、大量に購入してきたが、金融緩和策の終了というFRBの政策転向によって、今後、どのように変化していくか読めていない。住宅産業はアメリカ経済の中に占めるウエイトはさほど高くないが、株価と同じく、心理的な影響も手伝って、アメリカ人の消費行動に大きな影響を与えているのである。
Y-FP Office Japan
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