私は元損害保険会社の人間なので、ある保険代理店の話をします。けれど、このような話は何処の業界においてもよくあることです。この代理店、Fさんはきわめて強引な性格な人ではありますが、お客様への対応には自分の身を削っても行うようなタイプなので、好きな人は本当に好きになってしまうのです。だから、ある程度、規模も大きくなり、前ほどに、一人一人のケアが出来なくなるとお客さんのほうでジレンマが起こりは始めます。「Fさんはいい人だけど、保険は任せられない。」一方、Fさんのほうの意識は昔のままなので、「あのお客は絶対に私から逃げない。」「私以外と契約するはずがない。」という強い思い込みは消えることはありません。けれど、いつか、このお客さんとの間にほころびが生まれます。サイレントキラーが忍び寄ります。お客は何かと理由をつけて少しずつ、Fさんから離れていきます。急激な変化でもないし、お客さんからの不満も聞くわけではないので、Fさんも気づきません。「何か、運に見放されているのかな。」と思うくらいです。だから、また、そのお客さんは必ず戻ってくるはずだと信じているのです。しかし、逃げた客は二度と戻ってきません。新しい商品を勧めても乗ってこないのはもちろんです。Fさんの背後のサイレントキラーの影は大きくなっているのです。
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