何と、柔軟性のない。

知り合いの旦那さんは定年を迎え、家に居る。家事は一切、奥さんがしていて、旦那さんは何もしない。これまで旦那さんはそうしてきたからである。だから、夕飯の仕度も奥さんがする。けれど、奥さんにもすることはたくさんあるので、時には、家に帰る時間が７時を過ぎたり、８時になったり、遅いときには９時近くなるときもある。けれど、旦那さんは待っている。夕飯をである。
私は思うのだが、これは待っている人にとっても、待たせている人にとっても、とてもイライラすることなのだ。愚痴も出るし、相手へ小言の山も降り注ぐ。精神的なダメージは大きくて、後々までも尾を引く。私も、以前はそのような時もあった。けれど、今は自分で夕飯を作る。共同責任、家事分担などという仰々しいことではない。何よりも、定時に食事をしたいし、それよりも、こんな日は自分の好きな食事ができるので、しめしめと思うのである。外国の工場やアメリカのホテルの従業員が自分の役割分担を厳格に決まて、そこから一歩も踏み出さないのを見て、「何と、柔軟性のない。」と批判していた日本人のことを思い出す。そんな批判をしていたのは夕飯をひたすら待っている同じ日本人なのである。

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