風塵社的業務日誌

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ブタ箱物語(24)

2017年02月21日 | ブタ箱物語
我々を乗せたバスは、護国寺インターで降りるものとばかり思い込んでいた。ところがあにはからんや、そんなところはあっという間に通り過ぎてしまった。それで、行きとは逆順で数珠繋ぎになっている意味を理解した。つまりは、行きのとき始発の署であったところから順に降ろしていくということなのだろう。この平等性には文句のつけようがないけれど、そうするとM署に着くまでまだまだ時間がかかりそうだ。
どこまで行くのかなあと過去を振り返ってみれば、小生の列で一番最初に呼ばれた人は確かK区A署であった。そうするとA署まで行くのか。ずいぶん遠くまで運ばされるなあと、ウンザリした気分になる。こうした護送バスのルートというのも決まっているのだろう。車内の冷房の効きが弱く、蒸し暑くなってきた。
ようやくにしてA署に到着。バスはその裏口へと着けられた。私服と制服の警官数名が監視するなか、1名が降ろされたのかな。逃亡防止のためだと思うが、バスのなかでロープの入れ替えがある。それが終わると号令がかかり、バスのドアが開けられて外に出される。さらにまた人数確認の号令があってようやく出発。そして、お次の署へ。結局いくつの署を回ったのかは忘れてしまったけれど、各署でそんな手間隙のかかることが繰り返されるから、すっかりいやになってくる。
パクられてからまったくその気がわかなかったのだけれど、不思議なもので、これでタバコが吸えてビールが飲めると思い始めたら、もうたまらない。外の風景を眺めつつ、オツムのなかは、プシュウ、グビグビとスッパ~ばかりがリフレインし始めた。プシュウ・スパー、プシュウ・スパー、プシュウ・スパー、いやあ、これはたまらんなあ。
小生の前に座っていたCさんが、「暑いだろ。もっとエアコンを効かせてくれ」と同乗の警官に文句をつけている。「すみません。この車、エアコンの調子が悪くて」と警官は謝っているが、それならば窓を開けて通風をよくするなり工夫してもらいたいものだ。そういえばT区I署には停まらなかったので、その日、I署から送検された人はいなかったのだろう。小生としては、どうせなら自宅に近い方のI署に勾留されたかったものだ。しかし、警察の管轄があって、そういうわけにもいかないのである。
ようやくにしてM署に到着。19:00前後だったような記憶だが、不確かだ。Cさんと小生ともう一人が降ろされる。バスを降りる前に誘導用のロープに付け替えられ、外に出た。裏口から署に入り、階段を上らされて留置所エリア前に到着。行きと同じだが、その間、要所要所に見張りの警官が立っている。そして、号令があって留置所エリアに三人は入れられた。そして壁に向かって並ばされ、手錠に通っているロープが抜かれ、ようやくにして手錠も外された。あ~、やれやれ、ようやくもどって来たとホッと一息である。
そこで隣りに立っている警官に「わしゃ、どうすればええの?」とたずねると、「いま荷物を持ってきますから、面会室に入ってもらえますか」とのこと。さらに、「私たちが昼間話していたのでは、あっちの人(Cさんを指す)が釈放になるかなあなんて言っていたのに、よく、あなた釈放になりましたねえ」げな。これには苦笑するしかなかったけれど、どうりでCさんの機嫌が悪かったわけだ。
そこで、小生の入っていた房に近寄って、AさんとBさんに「どうもお世話になりました」と小声で告げて、頭を下げておく。そのままUターンして警官が待っている留置所エリアのトビラから出て、面会者が入るほうのドアから面会室に入った。それほど待つこともなく、一人の制服警察官が小生の荷物一式を持ってきた。そこで、これまで着ていた下着と上下の黒いスウェットを、逮捕時に着ていたTシャツと短パンに着替えることになる。ところがその警官、部屋から出ようともしない。つまりは、小生が着替えている様子を監視するということのようだ。
拘置所に入るときは、全裸にさせられてケツの穴まで調べられるとはよく聞く話であるが、小生の場合は留置所なので、入るときにそこまでのことはなかった。しかも、手術着のようなものをかぶって着替えられた。ところが、釈放される段になると全裸の着替えを監視させられる。その程度のことで怒る気もわかないが、入るときとの対応のギャップに一貫性が感じられない。
そこで手荷物などに紛失物がないことを確認し、書類に押印したんだっけな。ここはよく覚えていない。ご丁寧に、履いていたランニングシューズは紐が全部抜かれているので、これを締めないと履くこともできない。紐を通し直しているとその警察官が、「先ほどから奥さんがお待ちですよ」とささやいた。これには仰天。実は、妻の前では禁煙していることになっているのだ。それでは、バスのなかでずっと待ち望んでいたスパーができないではないか。警官は励ますつもりでそう語りかけたのかもしれないが、小生は内心でガッカリしてしまった。

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